「占い師の私に予言で闘おうなどとは…!」
メーカー | Asmodee |
発売年 | 2012年 |
作者 | Brett J. Gilbert |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 13歳以上 |
ゲーム概要
最もイケてる占い師を選抜するカードゲーム
箱の中には、かなり出来の良い4種の占いボードが入っています。そう、このゲームは、最もイケてる占い師を決めるゲーム「ディヴィナーレ」です。ゲームの目的は、4種類あるタロットカードの各枚数を当てることです。当てまくったプレイヤーは、最もいけてる占い師としてロンドン辺りで表彰されます。たぶん、きっと、かなりの確率で。
真の占い師ならカードの枚数くらい予測可能なはず
ゲームには、ボードに対応する4種の占いが描かれたタロットカードが付属しており、ここから複数枚をランダムに除外してから各プレイヤーに配ります。実際に何枚のカードがゲームに登場しているのか、正確な枚数は誰も知らないわけです。
手番が来たら、手札のどれか1枚をプレイして、対応する占いボードの横に置きます。同時に、最初は予測放棄のマスにある自分のマーカーを、その占いのカード枚数の予測マスのどこかに移動しなくてはなりません。最終的に予測が当たれば、得点チップを得ることができます。
あれ、あの後ろ姿はクニチー?
ここまで説明を読むと、クニチーの「メンバーズオンリー」にそっくりなゲームであることに気付くと思います。実際、初プレイ直後の私は同作のリメイクだと信じて疑いませんでした。しかし、いくら説明書をめくってもクニチーへの謝辞は見つからなかったのです。
実際には、作者自身がデザインした「オラクルパスウェイ」というゲームをがプロトタイプの位置付けとなっているようです。このゲームはスペインで賞を取っているみたいですね。
メンバーズオンリー+ライアーズダイス=面白い
実は、このゲームのカード総枚数予測には、メンバーズオンリーには無いとても面白いアイデアが採用されています。それは、カードの交換です。プレイ人数に応じて、ゲーム開始時、中盤、終盤にそれぞれ手札のカードを隣のプレイヤーに何枚か渡すのです。自分も他のプレイヤーから同じ枚数のカードを受け取ります。
これには2つの効果があります。それは、「手札以上の情報を知る」ことと「手札を押し付けられる」ことです。前者は単純に、隣のプレイヤーから渡された分だけ情報が増えます。渡したカードの内訳を覚えておかなければなりませんが。そして後者は、「プレイしたカードのマーカーは動かさなければならない」というルールと密接に関わってきます。予測マスには1つしかマーカーを置く事が出来ないので、自分が良い位置をキープしているカードはプレイしたくないですし、良い位置をキープしている他人に渡してほくそ笑むのも一興です。
自分だけの情報を駆使して、ブラフを織り交ぜながら場の総数を宣言するというのは「ライアーズダイス(ブラフ)」にも似たシステムです。このゲームは、メンバーズオンリーとライアーズダイスを融合したようなゲームと言えるかもしれませんね。
予測に用意された2つのヒントが濃密なゲームに
このゲームが秀でているポイントは、メンバーズオンリーではほぼランダムであったカード内訳の予測を、2つのヒントにより思考的にしていることです。
そのうちの1つは、既に記載した「カードの交換で手札以上の情報を知る」ことです。そして、もう1つは「カードの総枚数にあらかじめ差をつけておく」ことだと思います。星占いのカードが最も多く12枚、そして手相占いのカードが最も少なく、6枚です。これにより、ゲーム開始直後は完全に運となってしまいがちなカードの予測にヒントを持たせたところが優秀です。
ちなみに、ラウンド終了時に与えられる予測的中のご褒美は、その値が極端なもの(例えば手相占いなら6枚中6枚ゲームに登場しているとか)程ハイリスクハイリターンとなっています。
じゃあ、「メンバーズオンリー」と比べて劣っている部分は?と聞かれると、得点の一発逆転が効かないところではないかと思います。このゲームはある程度差が付いたら、逆転は難しいですね。倍額のビット等はできないので。
2〜4人のどの人数でも楽しめるようにデザインされている
最後に、こちらはプレイ人数により使用するアクションカード。「アクションカード」というと何かに使うカードと勘違いしてしまいそうですが、要は他人と交換するカードの枚数とタイミングが書かれた、「ラウンドの手順カード」です。
特筆すべきは2人プレイ用のアクションカード。最初に各自2枚、合計4枚を裏向きにして置いておく。ゲーム終了時にこれが各占いに追加されるわけですが、自分のトークンは動かさなくて良いのです。2人プレイのみの特殊ルールですが、お陰で2人でもソコソコ楽しめるようになっています。それでも、真に面白いのはトークンの位置がバッティングしまくる4人だと思いますけど。
全体的に、往年の名作のルールを丁寧に改善してあり、少人数でも楽しめる様にデザインしてある印象です。クオリティ高いですね。
プレイ記
海賊船さん、JOSSさん、流さんと4人プレイ。
この日のCOQは感が冴えており、序盤はビシビシと占いを当てる超能力者状態。「負ける気がしない」とはこのことである。そのまま数ラウンド経過し、周りは事あるごとに、
あの人、あんなに宝石持ってますよ?
などと執拗にマークしてくる。しかし、基本的にはマークされてもそれ程影響を受ける事はない。でも、そんな軽口をかわすつもりで受け答えしてたら自分が他のプレイヤーに渡したカードの内容を忘れてしまう。前言撤回、「勝てる気がしない」。メモリーゲームの要素を忘れてた。
結局、最後のラウンドで海賊船さんに抜かれて2位!
プレイ時間40分
総評
Bronze
シンプルなルールだけど盛り上がれて、とても良いゲームだと思います。基本的にはカードゲームなのでそこまで場所も取りませんし。箱の大きさやカードの質なども良いです。
1つ気になるのは、「最後にまわってくるカードのどうにもならなさ」です。上述の通り、プレイしたカードのマーカーは必ず動かさなければなりません。すると、ゲーム終盤手札が2枚になった時に発動する「カード1枚の交換」で受け取ったカードがどうにもならないのですね。
これを運の要素として、もしくは他のプレイヤーからの最後の攻撃として受け止めれば良いのでしょうが、折角序盤からカードの内訳を予想する素晴らしいルールで構築されたゲ―ムなのに、少しもったいないと思いました。個人的には、「最後の一枚はマーカーを動かさなくて良い」等のルールがあると良かったと思います。
最後の1手ではカードの内訳はほぼ確定しています。従って、良い位置にいるマーカーは確実に判明しています。これを動かす羽目になった場合に、手番順のあやでハイエナされてしまうというのは辛いです。それをわかった上でライトに楽しめということなんでしょうけどね。ゲーム時間が短いのでありなのかな。
怪しげな箱のデザインのお陰で当初はあまり話題にならなかったゲームですが、現在は口コミでその面白さが広がっているようです。