我が名はジャン=ピエール=ポルナ……
メーカー | Eagle-Gryphon Games |
発売年 | 1993年 |
作者 | Reiner Knizia |
プレイ人数 | 2人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
超熱いフェンシングゲーム
クニチー先生デザインのフェンシングゲーム『アン・ギャルド』です。手札のカードを使用し、押したり引いたりしながら必殺の一撃を叩き込みます。ゲームには、細長いボードと金属製の駒が同梱されており、双方がボードの両端から始め、相手の駒へとにじり寄って行く様はまさにフェンシングを再現しています。
たった25枚のカードでここまで熱い
使用するカードはたったの25枚(1〜5までが各5枚ずつ)。これを各自に5枚ずつランダムに配ってゲームスタートです。残りは山札となり、山札が無くなったらラウンド終了。
手番では、以下のうちのどれか1つを実行し、その後、手札を5枚に補充して相手のターンとなります。
攻撃と移動攻撃
攻撃では、同じ数字のカードをプレイして、その数字分先のマスにいる相手を攻撃します。攻撃された相手は、同じ数字を出された枚数と同じ枚数手札から出せればこの攻撃を受け流せます。カードを出せなければ攻撃が決まり、1本取られてしまいます。
前進攻撃では、1枚のカードで移動した後に、攻撃を繰り出せます。最初に出すカードで距離を詰め(距離を合わせ)、その後に同じ数字のカードを2枚出して攻撃をするわけです。
この場合は、防御側のプレイヤーは受け流すか、カードをプレイして後退するかを選択できます。攻撃でも移動攻撃でも、受け流す事に成功すればそのまま(カードの補充無く)、防御側だったプレイヤーに手番が移ります。後退した場合は、攻撃側が手札を補充して手番を続けます。後退ばかりしていると、後ろに追いつめられて負けてしまいます。
勝敗の決定
攻撃が決まったた場合と、相手を端まで追い詰めた場合にはその時点でそのラウンドの勝敗が決定します。しかし、山札が無くなるまで攻撃が決まらなかった場合、勝敗は手札と駒の位置に委ねられます。山札が無くなった時点で、手札に相手を攻撃できるものがあれば、その枚数の多いほうが勝ちます。無い場合には、駒の位置で勝敗を決します。
ただし、山札が無くなる直前の行動が「前進攻撃」だった場合は特殊です。版によってルールに2つのバリエーションがあります。
ルール1は通常版に付いているルール。ルール2は別のバージョンに付いているルールのようです。どちらを選択しても良いと思いますが、ルール2のほうが熱い戦いを演出してくれそうです。
先に5本先取したプレイヤーが勝利します!
プレイ記
3分に凝縮された駆け引き!
このゲームの面白さを伝えるべく、1ラウンドの様子を詳細に紹介します。
初手、「1」が3枚被っている。各数字は5枚ずつしかないので、3枚あるということはかなり有利。ただ、「1」は間合いをかなり詰めなければならないので難しい1手ではある。
初動が重要!一気に距離を詰める
ともあれ、まずは移動から。移動で出遅れると駒の位置関係上とても不利になるので最初のダッシュは必須。「5」をプレイして山札から引いてきたカードは「2」、これで「2」が2枚となるが悩ましい。
序盤に消費されたカードは記憶するべし
当然、相手もダッシュしてくる。こうして大きめの数字は序盤にある程度消費されることが多い。この数を覚えておくのも非常に重要。カウンティングとまではいかないが、ある程度までは把握しておきたい。
結局、「2」を移動に使っている間に「3」が2枚となった。相手の目の前まで間合いを詰めなければならない「1」よりも3のほうが使い勝手が良い。「1」で攻撃を決められれば良いが、仕留められなかった時に間合いの外に逃げるのが大変なのだ。こうして、臨戦距離へ近づく間に手札を整えていく。
神の間合い「6」
そして、神の間合い「6」へと達する。カードの数字は「5」までしか無いので、通常攻撃を仕掛けられる心配は無い。相手の出方を伺い、カード構成を予測する絶好の間合い。この間合いに入った時に駒が相手側に近づいているかどうかがラウンドの有利不利のバロメーターの1つ。なるべく相手側に移動できるように、手札を整えながらにじり寄る。
そうこうしているうちに、「3」が3枚。これは仕掛ける絶好のチャンスだ。しかも山札の数は残り少ない。
そして、間合いは6。
見切った!
前進攻撃!
「3」を1枚消費し、6マスから間合いを一気に3マスに詰めての「3」攻撃。
たまらず相手は後退を選択。ここで山札が尽き、ラウンド終了。相手の陣地近くまで侵入したCOQのポイント。
1ラウンドの消費時間:3分
この短時間の中での濃厚な駆け引き、感じていただけただろうか。
総評
Silver
たった25枚のカードでここまでの駆け引きを演出するクニチーの手腕に驚きを隠せません。テーマとゲームがここまで見事に融合したゲームは他にないのではないでしょうか。これをデザインできるクニチーはやはりDr. Kniziaなのだと改めて尊敬します。
攻撃が2種類あり、山札終了時のルールが少し複雑なので、少々取っ付きにくい部分がありますが、慣れてくると流れる様にプレイできるようになり、その駆け引きの部分だけに集中できるようになるので大丈夫です。
かなりソリッドなゲームなので、(筆者は)一旦箱を閉じると再び箱を開くまでに少し時間がかかるのですが、一旦始めてしまうと中毒性がかなりあり、このゲームだけを日がな一日中プレイしていても飽きないと思えてしまいます。2人で勝負する際には、箱を開ける前に何戦行うかあらかじめ決めておくと良いでしょう。
駒は金属製でかなり尖っているので小さい子供の居るお宅は注意です。厳重に梱包がされていますが、たまに破損している場合があるようですので購入時は要チェック。今はニューゲームズオーダー社による日本語版が流通しています。
2人でゲームをする機会のある方は持っていて損なし。オススメです。ウィスキーをロックでカラカラまわしながら白熱電灯の下でプレイしたい。
シャツの色はもちろん白で。