ワーリング・ウィッチクラフト

そういう時は、ジタバタするしかないよ。

メーカーAEG
発売年2021年
作者Erik Andersson Sundén
プレイ人数2-5人用
対象年齢14歳以上

ゲーム概要

新人デザイナーの処女作

スウェーデンの新人デザイナーによる魔女の争いをテーマにしたゲーム「ワーリング・ウィッチクラフト」です。軽量級のカードドラフト&エンジンビルドゲームとしてSNSで評判が上々だったので、米アマゾンから取り寄せてみました。

個人ボードとなる「作業台」。5人分、それぞれが異なり、ユニークなデザインとなっている。5種類の材料駒を配置するマスが描かれている。

ルールは簡単!

このゲームのルールは非常に簡単な部類に入ると思います。

大まかなルール

魔法の材料が並べてある自分の作業台があります。そこから毎ターンできるだけ多くの材料を取り、それらを自分で選択したレシピ通りに他の材料に変換して隣の魔女に押し付けます。押し付けられた材料が作業台の限られた保管スペースから溢れてしまったら、溢れた分は押し付けたプレイヤーの得点となります。そして、5得点以上を最初に獲得したプレイヤーが勝利します。

基本的にはこれだけです。これに、アルカナという補助効果の発動とキャラクターごとの特殊能力が加わるのみです。根幹のルールが簡単というのはとてもポイントが高いですね。

ダウンタイムなし、魔女は黙って全員同時進行

手番は2つのフェイズで構成されています。各フェイズの手番は全員同時に実行します。(第2フェイズは原文でBrewingなので直訳すると醸造なのですが、気分が出ないので意訳して煮込みにしています。調合でもいいかもしれませんね。)

手番

1:学習フェイズ(カードドラフトでレシピを1つ選択して公開する)
2:煮込みフェイズ(公開している任意のレシピを使用して出来るだけ多くの材料を醸成する)

学習フェイズでは、4枚の手札から1枚を選択してレシピとして自分の前に公開します。この時、アルカナのシンボルが記載されていれば、それを獲得します。3種類あるアルカナが偶数になるたびに、補助効果(自分の作業台から材料を2つ破棄など)が得られます。選ばなかった3枚の手札はラウンド終了時に左隣に渡します。

こちらはレシピカード。自分の作業台からカード上部の材料を置くと、共通サプライから下部の材料を取り変換することができる。「逆向きのS」のようなマークは公開時のみ上下入れ替え可能の印。

エンジンビルドで材料こねくり回しの爽快タイム

煮込みフェイズでは、公開しているレシピを任意の枚数、任意の順番で使用して自分の作業台の材料を変換していきます。2枚目以降のレシピでは、今まさに醸成した材料を使うこともできます。これがこのゲームのメインフェイズであり、爽快な材料変換タイムです。レシピの枚数が増えると材料を捏ねくり回すのがどんどん楽しくなっていきます。変換した材料はすべて大釜にのせ、右隣に押し付けます。

レシピカードの多くには上部に「アルカナ」という3種類のシンボルがついており、これを偶数個貯めるごとに補助効果を得られる。
左図のように、自分のレシピを1枚ずつ使ってカード上部の必要な材料を自分の作業台から埋めていき、すべての材料を揃えられたら共通サプライから変換後の材料を取る。2枚目以降は、自分の作業台/変換後の材料のどちらでも使うことができる。
配置の例。手札から1枚をドラフトし、目の前にレシピとして公開していく。

落ちものパズルライクな押し付け合い

隣から受け取った材料を自分の作業台に並べていき、オーバーフローした分は押し付けたプレイヤーの得点となります。

出来上がった材料を隣に渡す時に使う大釜の出来は非常に素晴らしい。

ラウンド終了前に各プレイヤーの得点を確認し、5得点以上のプレイヤーが勝者となります。

プレイ記

自宅にてAMIと2人プレイ。

魔女は初心者用のお姉さん(この魔女のみ5人分同梱されている)。特殊能力は「ゲーム中1度だけ手札を4枚全部捨てて引き直せる」である。魔女カードは裏面に初期材料が書いてあるので、その通りに材料を自分のボードに置いてからゲームを始める。

最初に選んだのはこのレシピ。基本的に相手の材料をオーバーフローさせるのが目的なので、高効率なレシピが良い。ただ序盤は相手がどんな材料を送りつけてくるかわからないので探り合いの状態。蜘蛛が来ても蛙が来ても良いレシピで迎え撃つ作戦。選ばなかった残りのカードは相手に渡るため、相手に渡るとやばすぎるカードがあった場合にはカットが必要になる。

AMIからは蜘蛛2つとキノコ1つが送り込まれてきた。

対策として蜘蛛をたくさん処理できるレシピを導入。送り込まれてきた蜘蛛をどんどん使っていく攻めと守りを両立したスタイル。このゲームの基本戦略はこれだろうと思う。

防御線も整ってきたところで遠くに目をやると、どうも蜘蛛(青)の処理に困っているように見える。

そこでなるべく相手に蜘蛛を送り込めるレシピを中心に集め始める。ドラフトの対象となる4枚のカードに対して、毎手番1枚ずつしか更新されないので中々切れ味の鋭いカードはこない。初心者用魔女の特殊能力である4枚全交換の使い所が重要。

こちらから送り込む材料は蜘蛛に偏っているため、AMIはレシピを稼働しきれず、次第に送り込んでくる数が減ってきている。コツを教えてくれと言うので、「そういう状態をジリ貧って言うんだよ」と優しく教えてあげる。一方COQは、いつでも蜘蛛を大量にお届け。

COQ
COQ

いいニュースと悪いニュースがある!
悪いニュースは、今日の晩メシは蜘蛛だ

良いニュースは、量はたくさんだ

途中、カラスのアルカナの効果で、一時溢れそうになった蛙もうまく処理する。結局、めでたくAMIの蜘蛛がオーバーフローしてCOQの勝利。

2回目はダイコン(マンドラゴラ)を送り込みまくったCOQがまたしても勝利しましたとさ。AMIはずーっとグツグツグツグツと呟きながら材料を煮込んでいた。

AMI
AMI

グツグツグツグツグツグツグツ

プレイ時間15分

総評

Gold

まず特筆すべきところは、軽い!今回2人で遊び、インストも含めて30分かからないで終わった。フィラーの役目も果たせる程の軽さは重ゲーばかりの近年ではポイントが高い。軽いけれど満足感が足りないわけではなく、むしろ「ゲームを遊んだ」という満足感はあって、その上で「軽いから許せる」ことが多い。そして手番が同時進行のため、プレイヤーが増えてもプレイ時間はほとんど変わらないのでここもポイントが高い。

今回は2人で遊んだけれど、おそらくベストは3人(次が2人かな)。カードドラフトと材料の押し付けが左右逆回りするので、両隣に別のプレイヤーが居る3人プレイの方が処理する情報量が多くなり、楽しそう。しかし、4人目以降は全く関わりのないプレイヤーが増え、しかもキングメーカーとなり得るので蛇足だろう。

上記2点の特徴は、「世界の七不思議」で感じたものと類似している。これに加えて材料を隣に押し付ける様が落ちものゲーム、いわゆる「ぷよぷよ」などの対戦ゲームに似ていると評されることもあるようだが、確かに、押し付ける部分だけに注目すれば言い得て妙である。

とは言え、ゲームの主軸となるのはレシピの組み合わせによるエンジンビルドとそれを使った材料の変換作業である。不思議と材料変換のような作業はとても楽しい。レシピが増えていけば爽快の域まで達する。このゲームの楽しみはほとんどこの部分にあると言っても良いだろう。したがって、あまり他人の存在は関係ない。なお、アルカナのルールはたまに窮地を救ってくれて、程よくアクセントになっていて良き。

利点となっている同時進行と材料変換の爽快さの反面、中々他のプレイヤーの動向に目を配るのは難しい。システムとしてインタラクションが用意されてはいるものの、このスピード感でそこまで目を配れるプレイヤーは少数派であると思う。しかし、これは仕方のないことで、爽快な材料変換とスピード感を優先した故のトレードオフだ。ソロプレイ感が高まる中で、魔女のキャラクターによる個性がどの程度変化を与えるかが見ものである。

キャラクターと言えば、ユニバーサルはこのゲームを買い取って、「ハリーポッター」としてキャラをのせて売り出すべきだと思う。グリフィンドール対スリザリンで魔法使いカードにハリーやマルフォイがいたらキャラクターカードの個性に感情移入できそう。

総評としては、手軽にエンジンビルドの爽快さと資源が溢れるドキドキ感が味わえて、短時間で勝敗のつきかたも美しいことから、とても良いゲームだと思う。良作といえば重ゲーという近年のトレンドへの殴り込みを評価したい。これが作者の処女作ということが信じられない。

2022 Nov11:10回程リプレイの上、評価変更(Silver→Gold)

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