あまりに大きいことを避けなさい、小さいことを喜ぶことを忘れない様に
メーカー | Pearl Games |
発売年 | 2010年 |
作者 | S Dujardin, X Georges, A Orban |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 12歳以上 |
ゲーム概要
なぜか日本語版が発売されないダイスワカプレの傑作
ベルギーのパールゲームズの傑作『トロワ』の紹介です。このゲームはダイスを使用したワーカープレイスメントのゲームです。独特のアートワークのボードが美麗な作品です。
ゲームの目的は「中世トロワの街で街の実力者達の要望に答えながら都市の開発に貢献して名誉を獲得する」こと。プレイヤーは影響力を駆使して自分の市民を街のリソースに配置し、その恩恵を利用して名誉点を稼ぎます。かなり面白いゲームですが、ルールが少し複雑です。
美麗で機能的なゲームボード
独特のタッチで描かれた街は大きくわけて3つ、軍事(赤)/聖職(白)/農民(農民)のエリアに分かれており、どこに注力するかはプレイヤー次第です。冒頭にルールが複雑と書きましたが、ボードが機能的なので一度理解してしまえばゲームに没頭できます。
上部に描かれたトロワの街は軍事(赤)、聖職(白)、農民(黄)のエリアに分かれています。聖職のエリアの右隣にあるのは建設途中の大聖堂です。中央広場にはそれぞれのプレイヤーの労働力(ダイス)がカラフルに並びます。
下部のカードの列はイベント。毎ラウンド、ここに表示されたイベントを解決してから手番が始まります。イベントでは、戦争が起ったり、聖職者が破門されたり…と、多彩なイベントがプレイヤーを翻弄します。
ダイスは労働力
各プレイヤーは、3つのエリアに派遣した自分の色の市民駒の分だけラウンドの最初にダイスを振って自分の労働力とします。それぞれのエリアに配置できる市民駒は6つまで。すなわち、毎ラウンド合計18個のダイスが振られる事になります。
ゲーム開始時、カタンの初期配置のように市民を置いていくのですが、ゲームが始まったらここは容赦のないバトルロワイヤルとなります。ダイスの目を使用して市民駒を再配置が行われ、新しい駒が配置されると、今までの駒ははじき出されてしまうのです。
市民は配置されているエリアによって農民や兵隊になりますが、配置している駒の数に応じてラウンドの最初に給料を支払わなくてはならないので注意が必要です。
各エリアに配置した市民駒に対応する色のダイスを振って自分の労働力とします。この労働力は様々なアクションに使用します。ダイスの目をそれぞれ対応する色のエリアで使用するわけです。
この時、ダイスは自分のものを使用しても他人のものを使用してもかまいません。ただし、他人のダイスを使用する場合には使用料を支払わなくてはなりません。ダイスは1度に3つまで使用できるのですが、1度に使用するダイスの個数によって他人に支払う使用料が変動します。ダイスを沢山使用したほうが大きなアクションを行えます。ここが実に悩ましく、そして面白いところです。
ゲームの進行
それでは、アクションの内容を少し紹介しましょう。エリアへの市民の配置については既に述べました。
活動カード
このゲームは6ラウンドに渡って行われるわけですが、最初の3ラウンドには活動カードが公開されます。
アクションの一部はこの活動カードに対して行われます。活動カードの左下に記載された色のダイスの目を使用すると宣言し、分母で割った数だけカードに書かれている効果を適用することができるようになります。活動カードにはダイスの目を有利にしたり、お金を稼いだりと勝利に欠かせない多彩な効果が描かれています。
ところで、活動カードをの効果を適用する時は、お金を支払って市民駒を配置しなければなりません。これが中々金のかかる作業で、全ての効果を無尽に使うというような無計画は許されません。ただ、つらいことばかりではなく、市民駒は配置した順番に応じて1位と2位のプレイヤーに名誉点を与えます。
また、効果には即時効果と自分のキューブを配置しておく事により後々便利に使用できる遅発効果があります。
これらをうまく絡めないと絶対勝てません。
大聖堂
こちらは大聖堂。聖職のエリアに建設中です。プレイヤー達は、大聖堂の建設にも責務を負っています。建設には、白ダイスの目を使用し、対応する列に自分のキューブを配置して1〜3階の階層を建設していきます。大聖堂は、建設するとすぐにその場所に応じたボーナスが貰えるおいしい施設です。
ただし、大聖堂の建設を疎かにしていたプレイヤーはゲーム終了時に名誉点を失います。すなわち、自分のキューブが一つも無い階層一つにつき、ゲーム終了時に罰則があるので注意が必要です。
イベント
下段のカードの列はイベント。毎ラウンド、赤いイベントカードが1枚めくられ、その内容に応じて白もしくは黄色のカードが1枚めくられます。イベントでは、基本的にあまり良いことは起きません。戦争が起ったり、誰かの市民駒がエリアから追い出されたり、お金を失ったり。
イベントには「発生」と「対処」があります。「発生」とは、毎ラウンドの最初に上記のように新しいイベントが公開され、以前より並んでいるイベントと合わせて強制的に適用されるものです。この中で、戦争などの襲われ系イベントではスタPが代表して黒いダイスを振り、出た目を上回る様に自分の労働力を犠牲にして解決していきます。この時、スタPから順番に目の大きい敵を解決しなければならないというルールがあり厳しいです。ただし、自分の労働力の中に赤いダイスがあれば、その目は倍にして解決することができるようになっています。
「対処」とは、アクションの1つとして、イベントカードの旗のようなマークに自分のキューブを配置してイベントを消去することです。旗が全てキューブで埋まれば、そのイベントは対処されたことになり、キューブの数に応じて名誉点が分配されます。最多貢献者は、そのカード自体も獲得することができます。
手番順に1アクションずつ行っていき、ダイスが全て無くなるか、全員がパスを行ったら次のラウンドへ移行します。
名誉点という名の勝利点
ゲームで名誉点を得る方法には上記の4つがあるのですが、ゲームの最後にはさらにボーナス得点のチャンスがあります。それには、街の実力者達について説明しなければなりません。
街には6人の実力者がおり、ゲーム開始時に内緒で1枚ずつ配られます。それぞれのカードには、終了時の特典ボーナスが記されています。ボーナスとは、大聖堂に置いている駒の数に応じて得点…などです。
ここで重要なのは、配られた実力者はゲーム終了時、全員に適用されるという点です。自分のものは確認が可能ですが、他人のものは、その行動から推察しなくてはなりません。隠匿情報として配られた得点カードをゲーム終了時に全員に適用するという仕様はかなり珍しいです。このあたりの読み合いも熱い仕様になっています。
MPみたいな影響点
最後に。このゲームには名誉点の他に影響点というものがあります。これは、魔法使いのマジックポイント(MP)のようなもので、市民駒をストックから召還したり、ダイスを振り直したり、ダイスをひっくり返したりという行動が行えます。
影響点は、襲ってくる黒いダイスを撃退したり、大聖堂を建設したりすると手に入ります。この影響点にも最終ボーナスを与える実力者がいるようです。
さぁ、説明が長くなりましたが、最終的に名誉点を最も獲得したプレイヤーが勝利します。
拡張:トロワの淑女達
本作発表の後年、拡張セット「トロワの淑女達」が発売されています。5種類のルールが同梱されており、任意の組み合わせでゲームをより複雑にすることができます。具体的には、カードの追加やダイスの追加、壁外警備の追加などです。この拡張の評価は高く、これを適用してこのゲームが完璧になると評するプレイヤーもいます。
プレイ記
ほーまるさん、MOGさん、海賊船さんと4人プレイ。COQは青い駒を担当。
このゲームのアートワークは独特でとても綺麗。ダイスもカラフルで目を引く。
右端の数字の書かれたマス目は影響点を表すトラック。イベントの列には必ず襲われる系のカードが1枚表になっている(というか、ボードに印刷されている)。まずは、実力者の分配からスタートする。
フィレンツェの男、COQ
COQに配られたのは「フィレンツェの男」。めちゃ胡散臭い感じの見た目だが、活動カードにのせた市民駒の数に応じて最終ボーナスを与えるという中々強いカード。これはガンガンのせていくしかない。
続いて自分の市民駒を各エリアに配置。カタンの初期配置のように手番順と手番と逆順を繰り返して手持ちの市民を置いていく。なるべく押し出されない位置を狙いつつ、襲撃に備えて軍事力を重めにしたりと最初から悩ましい。
最終的にはこんな感じになった。余った場所には灰色の中立駒が置かれる。中立駒の分はスタPがダイスを振り、中立の労働力として働く。使用料は銀行行きだ。街の中央に自分の色に対応したディスクを置き、自分の労働力を識別できるようにする。
戦いの開始(ラウンド1)
そして、最初のラウンドがスタート。各自、市民駒に応じてダイスを振る。出た目を変えない様に気をつけてボードに移動し、準備完了。ボードにカラフルなダイスが並んでいる様子が実に美しい。
ゲームの開始時には5金が配られる。そして、各ラウンドの最初に10金の収入がある。この中から、労働力を雇うのに使用した給料を支払う。軍事(赤)は2金、聖職(白)は1金、農民はタダ。というわけで、残りは11金。
そして、1ラウンドのイベントが表向けられ、イベント発生。ボードに書かれたカードによってダイス1つが襲って来て、軍人のエリアに継承権争いが起る。右端の「支援」は、左隣の2枚のイベントが自然に解決されていくという珍しくマイナスでは無いカード。
というわけで、イベントが発生。継承権争いの的になって市民が1人軍事エリアからはじきだされる。襲って来た敵は、スタPのほーまるさんが赤ダイスを犠牲にして撃退。1影響点を得る。
どろ沼の弾き出し合い
そして、アクションの選択。ここからは、スタPから1アクションずつ行っていく。ほーまるさんは最初のアクションで自分の白ダイスを使用して聖職エリアに市民を配置。そして、はじき出されたのはCOQ駒。しかしこの先も、切ないくらいにはじき出されまくっていく泥沼の戦いが続くのでこのくらいでへこたれる暇は無い。
一応、死体で発見されている駒(弾き出された駒)の持ち主が同一ラウンドで2回はじき出されることは無いのだけれど、結構凹む。まぁ、返す刀でやり返すわけだが。
COQは、MOGさんのところに「6」の白ダイスが転がっていたのでこれを2金で買い取り、「司祭」で活動カードに市民駒をのせる。「司祭」は黄色のダイスを使用する際に出目を+3できる強力カード。
使用するダイスが1つならガンガン購入(2金)してしまったほうがお得。ダイスの購入は断れないので良い目は早めにお金を払ってでも使用したほうが良いのだ。これが、2つ3つ使用したときのうちの1つだった時には悩ましい(4金か6金!)。ゲーム序盤、お金は結構カツカツ。
なんたって、フィレンツェの男なので、少々無理してでも置いていかなければならない。早めに市民を置ければ、最終ボーナスだけでなく配置による勝利点もついてくるし。ただ、あまり露骨にやると、COQがイタリア人だということがバレてしまうので程々に。
続いて海賊船さんがCOQと同じところに市民を配置する。2番目に置いた為に、得られる勝利点は少ない。同じリソースを支払っているのに、勝利点が少ないというのはかなり悲しい。やはり積極的に配置を進めていかなくては。
そして、MOGさんは騎士団へ駒を置く。軍事力を鍛えてイベントの解決に道を見いだす作戦のようだ。さては、あの実力者がバックにいるか?
騎士団の効果は即時型。自分のエリアにある赤いダイスの数に応じた数のキューブをイベントカードの対処に使用できる。従って、わざわざ自分のダイスを使用せずに他人のダイスを購入してのアクション。この辺りにも、悩ましいポイントが潜んでいて面白い。
イベントの対処は貢献1位がとてもお得。同点の場合は先置き勝ちなので、「支援」の1位はMOGさんで揺るがない。
手番は1周し、再びスタPのほーまるさん。ほーまるさんは、大聖堂の建設を行う。それを見てCOQは、自分の白「4」を用いて聖職エリアへ再び市民を配置し直す。代わりにはじき出された海賊船さんの悲鳴が心地よい。
本当は、エリア上段に潜り込みたいのだが、奇数の白ダイスが無い為に断念。聖職は大聖堂の建設にも使用できる白ダイスを振れるため、重要なエリアと考えてあえて再参入。
さらに、3回目の手番では因果応報でほーまるさんをはじき出す。ダイスの数だけ給料の支払いも発生するので、むやみに増やすわけにもいかないのだが、市民はタダなのでオーケー。
先に「司祭」を活性化しているので、黄色のダイスを増やして市民系のアクションで暴れる予定。
が、海賊船さんにはじき出されてあっという間に3体目の死体に。そうそううまくはいかない。コメディのように次々に市民が入れ替わる。
目ぼしいダイスがなくなったら次のラウンドへ
ここらでめぼしいサイコロも無くなり、パスを選択するプレイヤーが増える。パスをすると、自分のエリアに2金が置かれる。以後、自分の手番が回ってくる度に1金が加算され、次のラウンドに移行する際に全てが手に入る。
居残りでアクションすれば、サイコロは独占できるが他のプレイヤーがお金を獲得してしまうのだ。ここの選択も悩ましい。全員のエリアにお金が置かれたら、次のラウンドへ。
第2ラウンド開始。活動カードが各エリアでオープンされて、各自が労働力のダイスを振る。ダイス運の無いCOQとほーまるさんは互いを慰め合う。でも大丈夫、他人のダイスも買えるから。
このラウンドのスタPはCOQ。襲ってくる敵(黒ダイス)を自前の軍隊(赤ダイス)で撃退する。敵の撃退は、敵の中で最大の目を選択していれば+αの選択も許される。ダイス目のおつりは返って来ないので、一気に撃退したほうがお得。これで2影響点が貰える。
実は影響点も結構重要。序盤からガンガンと活動カードに市民を配置する戦略を取ると決めたので、市民駒が沢山必要なのだ。市民駒は2影響点を支払うことによってストックから手元にやってくる。
常にお金がない
イベントカードの仕業によってCOQ駒と海賊船駒がはじき出されて死体となった後、スタPのCOQから手番がスタート。活性カードへどんどんと市民をのせていきたいところだが、お金が無い。活性カードに市民をのせるのには結構なお金がかかるのだが、日々の収入は殆どダイスへの給料で消えてしまう。
無い袖は振れないので自前のサイコロを2つ使用して大聖堂を建設し、勝利点の影響点を稼ぐ。これで1階と2階は制覇。
他のプレイヤーはイベントカードの対処を主体とした戦略を選択している模様。イベント対処に便利な赤ダイスの目を強くする「鍛冶屋」に海賊船さんが飛び込み、MOGさんが騎士団の力を利用して各イベントカードに自分のキューブを並べていく。しかも、ほぼ全てのカードで半分&先置きをしているのがうまい。
この手のゲームで他のプレイヤーと向いている方向が違うのは有り難い。
だがそれにしても金がない。なけなしのお金を支払って市民を「粉屋」へ送り込み、聖職エリアに配置している市民に応じたお金を回収する。自転車操業だが、他のプレイヤーが違うところで地盤を固めている間に沢山の市民を活動カードへ送り込みたい。
すると、ほーまるさんも赤ダイスを強化する「鍛冶屋」へ突入。軍事に精を出す3人対COQという図式が成り立ち始める。もはや、イタリア人であることを隠す必要もないくらいの展開である。
前半の最後(ラウンド3)
そして第3ラウンド、3枚目の活動カードオープン。これで今回のゲームで使用される活動カードが全て現れた事になる。よしッ!市民を置くぞ!
と思ったら、イベントカードの魔の手でCOQがピンポイントに2カ所のエリアで死体に。中立駒でエリアからプレイヤー駒をはじき出すイベントに狙い撃ちされるのは痛い。2つはじき出されたということは、このままでは次のラウンドに振れるダイスは2つしかなくってしまう。これは流石になんとかしなければ…と思いながらも活動カードにも配置しなくては。
さぁ、どうするCOQ。
既に死体となっている駒がいるプレイヤーの駒ははじき出せないので、どのダイスを使用するのが金銭的にも得かな、などと考えているとMOGさんが大枚をはたいて黄色ダイスの6を3つ使用し、これまた鍛冶屋に殴り込む。活動カードには3人目4人目も駒を置き、その能力を使用する事はできる。ただし、当然ながら名誉点は貰えない。
軍事に集中する3人のプレイヤーと、完全に袂を分けた瞬間だ。やはり方向性が異なっているうちに活動カードへの配置を済ませてしまいたい、とブレない戦略を目指す。
合計18もの黄色ダイスを適用したMOGさんはいつでも発動できるキューブを6つも鍛冶屋に置く。これで赤ダイスの合計値に+5することができる魔法が6回使える。いやぁ、もうイベントの対処はまかせることにする。
COQの手番。ダイスも大分減ってきた。目下の目標は市民の活動カードへの配置。どうするのが一番効率的かと考えていて良い手が閃く。
聖職エリアの3枚目の活動カード、「行進」はサイコロを一番沢山残しているプレイヤーへ名誉点を与える。そこで、、、
MOGさんとほーまるさんからダイスを1つずつ購入し、「行進」に自分の市民駒を配置して2回活性化する。この時点で、自分のダイスの個数が「3」で最大となったので4名誉点を得る。
名誉点を獲得しつつ市民を1番に配置し、さらに最終ボーナスも増えるという一石三鳥の手番が成功し、この辺りから勝利を意識し始める。システムが実に複雑に絡み合い、非常にいい味を出していて楽しい。
その男、イタリア人につき
続けてその隣りの「懺悔」にも市民を配置することに成功。
ヒソヒソ…「まぁ、あの人はフィレンツェの男で確定だよねー」
ヒソヒソ…「当然でしょ…」
第4ラウンド。活動カードへの配置に重きを置いたお陰で振ったダイスは1つ。非常に寂しいが、その分手元にお金が残るので、他人のダイスを購入し易い。
このラウンドからは後半となり、新たな活動カードは現れない。今までの戦略の集大成を見せていく戦いとなる。
一通り襲撃やイベントをこなした後、自分で振ったダイスの目と同じ2の目の大聖堂が2階層まで建築されていたので、まずは大聖堂の建築を行ってみそぎを果たす。これでゲーム終了時のマイナス点は無くなった。残りの手番は自分のダイスを増やす事に専念。
第5ラウンド、ダイスも3つに回復し、出目も好調。終盤にはいってきて、他のプレイヤーが所持する実力者の種類についても考えを巡らせる。影響力を貯めているプレイヤーが多いので影響力を点数に換える実力者が居そう。
しかし、市民を沢山置くという作戦をとっているCOQは、影響点をリクルートにかなり使用しているので今更影響点を貯めるわけにもいかない。エリアに市民を沢山配置しているというのもありそうだが、こちらも活性カードに配置しまくっているのできつい。
こうなったら、捨てるところはとことん捨てていくのが良さそうだ。影響点は0になるまで使ってしまおう。
ということで、影響点を惜しみなく使用して市民を雇い、活動カードにのせる生活。そして、ここでやっと第一ラウンドで仕込んだ黄色のダイスで暴れる作戦も実行。「金細工師」に駒をのせつつお金と勝利点を稼ぐ。これは中々効率が良い。
ミッション完了の後は
この時点で、COQの活動カード市民駒は5つ。フィレンツェの男による最終ボーナスでは6つ置いている場合が最も高得点なので、あと1つ置きたい。残すは他が全て埋まっているのに誰も駒を置かない「吟遊詩人」。
早く市民を置いて今回の作戦を完了し、ちりめん問屋のご隠居を名乗りたい。
ほどなく、念願通りに駒を配置してミッションコンプリート。残りの余生は気まぐれに大聖堂を建設したり、金細工でお金を稼いだりして過ごす。
第6ラウンドはそんな隠居生活をしながら横目でイベント対処の取り合いを眺めて暮らす。実に穏やかでしなやかな余生。
そしてゲーム終了!ここでそれぞれの実力者カードの公開。
予想通り、影響点を名誉点に換える実力者とエリアに配置した市民を名誉点に換える実力者がいた。残りの1人はお金を名誉点に換える実力者。
利用できたのはフィレンツェの男とお金の実力者のみ。諸々の名誉点を合計し、結果発表。
ギリギリの僅差で独り違う道を進んだCOQが勝利。熱い戦いだった。
プレイ時間:150分
総評
Gold
面白いです。一見、ダイスを使用した運の要素タップリの大味ゲームかと思いがちなのですが、ダイスの運を払拭するだけの戦略性に富んだ手段が用意されているので運が物を言う場面は逆に少ないです。それどころか、上記のリプレイのように殆どダイスを振らなくてもなんとかなってしまうというシステムが斬新で秀逸です。この時期、パールゲームズは本作、「トゥルネー」、「ブリュッセル」の3作を発表しましたが、最も尖っているのが本作でしょう。筆者はこの3作の中で本作が一番好きです。
作者が三人の連名となっていますが、人数のせいなのか実に隅々までケアが行き届いたディベロップメントがなされているという印象です。重箱の隅のほうまで色々な要素がキチンと絡み合っています。それらを利用した戦略がうまくいった時の感触は鳥肌ものです。
アグリコラやルアーブルと同様に、イベントや活動カードが複数枚用意されており、毎ゲーム違った展開が楽しめます。リプレイ性は高いと言えます。一方でダイスよりもカードの登場に運の要素を感じがちです。
さらに、特筆すべきは味のあるアートワークです。中世の街を見事に表していますし、カラフルなダイスが踊る広場は本当に映えます。木製の駒をたくさん使用しているところも高いポイントでしょう。
2〜4人のどのプレイ人数でも面白いです。2人でも面白い重量級のユーロゲームという枠で所有しておいて損のないゲームです。非の打ちどころがない面白さなのですが、重いので2〜3人が良いかもしれません。
とはいえ、待ち時間もほとんど気にならないほど、次の1手を考えるのが楽しいゲームでした。2022年にHUCHからドイツ語版が再販されるという情報があります。