レオ・コロビーニ

Leo Colovini
出典:ボードゲームギーク
レオ・コロビーニ(Leo Colovini)

1964年 イタリア生まれ

プレイヤーを楽しませる巧妙な仕掛けを用意するイタリア生まれのイケメンデザイナー。複雑なルールでプレイヤーを縛り付けるのではなく、自由度の高い中でプレイヤー自身が戦略を考え、ゲームを作り上げていくことを理想としている。彼は、複雑なルールに頼ることなく、シンプルなメカニズムとプレイヤーのインタラクションによって、深い戦略性とドラマティックな展開を実現する。

レオ・コロビーニ:シンプルとドラマの両立

ボードゲーム、特にユーロゲームが好きなら、レオ・コロビーニの名前を聞いたことがあるだろう。彼は「カルタヘナ」「クランズ」といった名作で知られるイタリアのゲームデザイナーだ。今回は、そんなコロビーニについて、彼のゲームデザインの特徴や魅力、そして近年の活動までを詳しく紹介する。

多彩なゲームを生み出すコロビーニ

出典:BGG

コロビーニは1964年に水の都ヴェネツィアで生まれた 。彼は100を超えるゲームを世に送り出しており、子供向けのものからゲーマ向けの重量級ゲームまで、その作品は多岐にわたる 。

彼の代表作といえば、やはり「カルタヘナ」だろう。海賊たちが刑務所から脱獄するというテーマで、手札のシンボルカードを使って自分の海賊コマを進めていくシンプルなレースゲームだ。しかし、ただコマを進めるだけでなく、時には後退して手札を増やす必要があるなど 、戦術的な駆け引きが楽しめる。「カルタヘナ」は、そのシンプルながらも奥深いゲーム性で高い評価を受け、2001年のドイツ年間ゲーム大賞推薦リストにも選ばれている 。また、2002年にはオランダゲーム賞を受賞するなど、国際的な人気を博している。

コロビーニのゲームデザインの特徴:シンプルさの中に潜むドラマ

コロビーニのゲームは、シンプルで分かりやすいルールでありながら、プレイヤーを飽きさせないドラマティックな展開を生み出すのが特徴だ 。

「カルタヘナ」出典:BGG

例えば「カルタヘナ」では、海賊コマが目的地と同じ絵柄のマスに重なると、そのマスを一気に通過してコマを進めることができる。これは「leap-frog(蛙跳び)」と呼ばれるメカニズムで、これによって順位が大きく変動し、最後まで目が離せない展開になる。シンプルなルールながら、他のプレイヤーの動きを読み、時には後退も活用するなど、戦術的なプレイが求められる。子供から大人まで楽しめる、まさにファミリーゲームの傑作と言えるだろう。

「クランズ」出典:BGG

また、「クランズ」では、自分の部族コマを配置していくことで村を形成し、得点していくエリアマジョリティゲームだ。しかし、各プレイヤーがどの部族を担当しているかはゲーム終了まで分からない。そのため、どの村でどの部族が優勢になるか、そして誰がどの部族を担当しているのか、推理しながらゲームを進めることになる。

このように、コロビーニのゲームは、シンプルなルールの中に、プレイヤーの選択によってドラマを生み出す巧妙な仕掛けが隠されていると言えるだろう。

ゲームデザイン哲学:少ないルールで深いゲーム性を実現

コロビーニは、ゲームデザインにおいて「できるだけ少ないルールで、できるだけ深いゲーム性を実現すること」  を重視している。彼は複雑なルールでプレイヤーを縛り付けるのではなく、自由度の高い中でプレイヤー自身が戦略を考え、ゲームを作り上げていくことを理想としているのかもしれない。たまに、最後の詰めが甘いゲームがみられるのもコロビーニの特徴だが、多くの作品での信条は達成されていると感じられる。

「カルタヘナ」は、この哲学を体現した好例だろう。非常にシンプルなルールながら、プレイヤーの選択次第で、毎回異なる展開が楽しめる。後退して手札を増やすか、それとも前進してリスクを冒すか、プレイヤーは常に悩ましい選択を迫られる。また、「クランズ」では、秘匿要素とエリアマジョリティを組み合わせることで、シンプルなルールながら奥深い戦略性を実現している。

彼は他の巨匠と同じように、メカニクスからゲームデザインを始めることが多いと語っている。テーマは後から決めることも多く、メカニクスとテーマがうまくかみ合った時に、魅力的なゲームが生まれるのだろう。

巨匠との出会い、そして共同制作

コロビーニのゲームデザイナーとしてのキャリアは、11歳の時にチェスクラブでアレックス・ランドルフに出会ったことがきっかけだった。ランドルフは「魔法の森」「ツイクスト」などの名作で知られる、日本でも馴染み深いドイツゲーム界の巨匠だ。

コロビーニランドルフにゲームのアイデアを提案し、ランドルフはそれを評価した。そして、二人は共同で「ドラッヘンフェルス」というゲームを制作し、コロビーニはゲームデザイナーとしてデビューを果たした。

「ドラッヘンフェルス」出典:BGG

その後もコロビーニは、ランドルフと共に「インコグニト」などのゲームを制作し、ゲームデザインのノウハウを学んでいった。ランドルフとの出会いは、コロビーニにとって大きな転機となり、彼のゲームデザインに大きな影響を与えたと言えるだろう。

「インコグニト」出典:BGG

コロビーニは、ランドルフ以外にも、多くのゲームデザイナーと共同でゲームを制作している。特に、ダリオ・デ・トフォリ とは長年のパートナーであり、「Theseus」「Dummy」「Lex Arcana」など、数多くのゲームを共に世に送り出してきた。デ・トフォリは、コロビーニのゲームデザインに欠かせない存在と言えるだろう。近年はガブリエル・ブボラとの共作で「オールドロンドンブリッジ」「クランズアンドグローリー」など、オールドユーロに回帰する名作を発表している。

ゲームへの情熱を注いだ場所「Città del Sole」

コロビーニは、ゲームデザイナーとして活躍する一方で、1993年には友人と共に「Città del Sole」というゲームショップをヴェネツィア近郊のメストレに開店した。これは、彼が家族の事情で銀行員を辞めたことがきっかけだった。この店は、おもちゃとゲームを販売する店で、コロビーニは店の経営に専念した。ゲームデザイナーとしての仕事はまだ趣味の域を出ていなかったが、ゲームを販売することで生計を立て、人々におもちゃとゲームの楽しさを伝えることに情熱を注いだ。

さらなる革新を目指して

彼はインタビューで、常に新しいものを創造し、過去のゲームとは異なる作品を生み出すことが自分の強みだと語っている。彼は、既存のゲームのメカニズムを参考にしながらも、そこに独自のアイデアを加えることで、斬新なゲームを生み出してきた。

「クズーカ」出典:BGG

例えば、「KuZOOka(クズーカ)」は、既存のゲームに、協力ゲームという新しい要素を加えることで、全く異なるゲーム体験を生み出している。また、彼は「人生」からインスピレーションを得ることが多いとも語っている。周囲の出来事や、読んだ本、様々な刺激からアイデアが生まれるという。これからも、コロビーニは私たちを驚かせるような、斬新なゲームを生み出し続けるだろう。彼の今後の活動に注目したい。

まとめ

レオ・コロビーニは、シンプルさとドラマを両立させたゲームデザインで、世界中のボードゲームファンを魅了してきた。彼のゲームは、子供から大人まで、幅広い層に楽しまれている。

彼は、ゲームデザイナーとしてのキャリアをスタートさせたきっかけとなったアレックス・ランドルフの影響を受け、常に新しいものを創造し続けている。ユーロゲームマニアの視点から見ると、コロビーニは、ユーロゲームの面白さを再定義したデザイナーと言えるだろう。彼は、複雑なルールに頼ることなく、シンプルなメカニズムとプレイヤーのインタラクションによって、深い戦略性とドラマティックな展開を実現した。

彼のゲームは、ユーロゲームの入門としても最適であり、多くのゲーマーにユーロゲームの魅力を伝えてきたと言えるだろう。これからも、コロビーニは私たちをワクワクさせるようなゲームを生み出し続けるだろう。彼の今後の活動に注目したい。

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