残念ながらタイルは全部裏向き!量は沢山だ!
メーカー | Schmidt |
発売年 | 2015年 |
作者 | Heinz Meister |
プレイ人数 | 2-6人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
紛うことなきラックオー亜種!
『コンプレット』は、アメリカ伝統ゲーム「ラックオー」亜種の数字昇順並べゲームです。「ラックオー」との関係性は以前書いたことと大きく変化がないので「ラッキーナンバー」の記事を参照ください。1〜100の数字の書かれた22枚のタイルを手牌とし、左から右に向かって数字が大きくなるように並べ切ったプレイヤーが勝利します。
コンポーネントは総木製のタイルとなっており、質感も良質です。シンプルなゲームゆえに雰囲気にこだわった仕様です。
一次元の数字並べ
『コンプレット』は「ラックオー」と同じく、数字を1列に並べるだけです。最初に17枚のタイルを裏向きで1列に並べ、そこに5枚のタイルを1枚ずつ表向きに挿入していきます。これでゲームの準備は完了です。ポイントは「表向きに並べたタイルは2度と動かせない」というところです。ゲーム開始時に挿入する5枚のタイルも一旦配置した後は動かせません。つまり、これから引ける可能性のあるタイルを考慮しながら表向きのタイルを配置していくゲームということです。他のプレイヤーの手配と狙いも考慮しながら進めていく必要があります。
手番では、場の裏向きのタイルを1枚表向けてとり、自分の裏向きのタイルと交換するか、自分の裏向きのタイルの位置を変更するかのどちらかを実行します。
①で表向けたタイルを自分の手配に入れることができなかった場合は、場に表向きのまま残し、それ以降の手番のプレイヤーはこのタイルを取ることができます。このルールのポイントは、②で自分の裏向きのタイルを移動させることによって、2手番消費すれば必ず場の表向きのタイルを自分の手配に入れることができるという点でしょう。
連続手番と2wayタイル
単純な数字並べに捻りを加えるのは、連続手番と2wayタイルです。連続する数字を配置した場合には、続けてもう1手番実行できます。連続手番に成功することで爽快感を感じつつ他のプレイヤーと差をつけることができます。
もう1つ、このゲームの特徴は、「9/6」や「18/81」などのように逆さまにしても成立する数字はどちらとしても利用可能という点です。これを利用して起死回生の配置ができた時の感覚はクセになります。
プレイ記
AMIと2人プレイ。お試しルール確認のために1回遊んだ後の本戦である。
タイルに愛されているCOQは最強の「100」をセットアップで引いている。引いた数字をどこに配置するかの悩ましさが本作の楽しさの一端を担う中で、端の数字はその悩ましさとは皆無の最強タイルである。
初手「85」をめくり、どのあたりに配置しようか悩む。1〜100の数字が1枚ずつあるので当然「73」と「100」の真ん中位が丁度良いのだけど、実際には2wayタイルの存在と相手の手配で既に明らかになっているタイルや相手も欲しがっているタイルなどを考慮しないとうまくいかない。
そして「19」かと思いきや「61」にすると60と連続の数字を配置したことによる”連続手番”発動。2wayタイルの特徴を活かしてうまく配置できた時と連続手番が決まった時の爽快感は気持ちいい。
しかし、その後はCOQがめくって配置できなかったタイルをAMIが2手番かけて自分の手牌に吸収していき、かつ連続手番を発動させる負のスパイラルに苦しめられる。当然だが、数字がある程度並んでくると配置できない数字も増えてくる。終盤になるに従い、手牌をスライドさせて隙間を作り、表向けられているタイルを配置していくアクションポイント制のパズルゲームのような一面も見せる。それに対抗するのは場のタイルに賭けるギャンブルだが、2人プレイでは明らかになっている情報が少ないのでギャンブルは分が悪い。
結局、負のスパイラルからうまく抜け出せずに終了。
お試しも勝ったから2連勝!
プレイ時間20分
2人プレイだと終盤のギャンブル味が強くなる。後日3人で遊んでみたところ、こちらの方が公開情報が多くて思考性が高まり、より面白くなった。
総評
Bronze
立体的なタイルの見た目もあり、やはり麻雀の楽しさに似たゲームだと思います。待ち受けの多様性を確保しながら毎回運試しの牌めくりをするような感覚。公開情報を加味しながら可能性を広げるパズル的な思考とPUSH YOUR LUCKを楽しむクセになりやすいゲームです。
総評では、同じく「ラックオー」亜種である「ラッキーナンバー」との比較を主に語っていきましょう。後発である本作は「連続手番」という特徴を持っていましたが、ブルーノ・カタラによる”もう1手番ヴァリアント”が追加されて完全体となった2次元数字並べの「ラッキーナンバー」とその部分での差は無くなりました。
リプレイにも書きましたが、次第に明らかになってくる残存タイルの情報が判断とタイルめくりのギャンブルに大きな影響を及ぼすので、3〜4人程度で遊んだ方が断然面白いと思います。2人だと運ゲーの要素が強すぎますね。「ラッキーナンバー」ではプレイ人数に応じてタイルを増減させるので問題はありませんが、本作のプレイ人数は重要です。
「ラッキーナンバー」は「ラックオー」を2次元タイル配置に昇華させましたが、本作は「ラックオー」をシンプルなままより楽しみやすくチューンしたような印象です。
収束性という良い面もあるのですが、場に表向きで残ったタイルを誰でも2手番で手牌に組み込めてしまうので、計算しやすい反面味気ない部分もあります。最後の1枚をこの方法で埋めるのは少し抵抗がありますね。一方「ラッキーナンバー」で表向けられた数字は終盤になる程そう簡単には組み込めないドラマを産みます。
シンプルなゲーム性を補填する意味で木製の見た目の良いタイルは良い点です。シンプルゆえに、誰でも僅差のゲームを楽しめる点が良いと思います(リプレイでもゲーム経験の浅いAMIに筆者が2連敗しています)。また、手牌の数が少なくなりますが、本作は一応6人まで一緒に遊べるところはポイント高いです。
中毒性があり、初級者から楽しめる数字並べゲームです。