AIでボードゲームを快適に②応用編

AIをボードゲームに活用する応用例

こんにちは。以前に掲載したAIでボードゲームを快適にする記事にはとても多くの反響がありました。今回は、AI活用したボードゲームの快適化について、さらなる応用例を紹介していきたいと思います。

前回のおさらい

前回は、AIを使ってボードゲームのルールを要約したり、用語集を作成したり、Youtubeなどの動画から情報を時短で取得する方法を紹介した。今回は、さらに進んで、AIを使ってルールを比較したり、FAQチャットボットを作成したりする方法を見ていこう。まだ読んでいない方は、こちらから読まれることをお勧めする。

更なる応用例

NotebookLMを利用したルール差分解析

ボードゲームには、同じゲームでも異なる版が存在することがある。例えば、最近発売された「宝石の煌き」の旧版と新版でルールが異なるかどうか、気になった人も多いはずだ。「BRASS」の様に微妙にルールの違う似たようなタイトルもある。拡張セットが複数発売されている例もあるだろう。これらのルールブックを比較して、どこがどのように違うのかを分析するのは、なかなか骨の折れる作業だ。そこで、NotebookLMの出番である。

NotebookLMにルールブックを読み込ませ、差分を分析させる。例えば、「ブラス:ランカシャー」「ブラス:バーミンガム」のルールを比較させると、両者の違いだけでなく、どのようなプレイヤーにおすすめかまで提案してくれる。ルールの違いはどこなのか、アップデートされたとしたら差分は何か、拡張を入れるとどうなるのか、目を凝らして比較しなくて良いのは心強い。

特筆すべきは、ルールブックが日本語でなくても分析可能である点だ。これは、海外のボードゲームをプレイする際に非常に役立つだろう。単にルールブックが更新された際にも役立つ利用法だ。

NotebookLMを利用したルールFAQチャットボット

近年のボードゲームはルールが複雑なものが多く、インスト後もプレイ中にルールを忘れてしまうことがよくある(筆者の脳が劣化しているせいかもしれないが)。例えば、先日遊んだ「シヴォリューション」というゲームは、ルールブックが44ページもあった。これをゲーム中にルールブックに戻らずに遊ぶことは難しいだろう。そんな時に便利なのが、NotebookLMを使ったルールFAQチャットボットだ。

NotebookLMにルールブックを読み込ませておけば、チャットウィンドウでルールを質問することができる。そして、これも日本語ルールである必要はない。近年のゲームであれば、大抵は原語のルールPDFが公開されているので、ほとんどのゲームに応用できるアイデアだと思う。画像に示すように、44ページもある「シヴォリューション」のルールブックからでも、ピンポイントに回答を得ることができる。この時は、チップの補充のやり方がわからず、チャットで聞いたみたところ、ズバリ答えてくれた。

ルールブックの理解という観点からは、NotebookLMの音声概要機能の日本語対応が待たれる。これが実装されれば、ルールブックを日本語の音声で聞くことができる様になるため、通勤途中やジョギングの最中にルールを把握することが容易になるだろう。

さらに、インストの音声を録音しておけば(もちろん、了承を得て!)、NotebookLMは録音をソースにしてまとめFAQを作成してくれる。後ほどテキスト化してインストの台本を作ることも可能だろう。

NotebookLMを利用したルールサマリーの事前共有

事前にプレイするゲームが決まっている場合は、NotebookLMで作成したルールサマリーを参加者に共有しておくと良いだろう。システムに共有の機能が備わっているので、プレイヤーの配信先を入力すれば良い。ルールブックだけでなく、ルール説明動画(これも外国語でもOK!)もソースとして読み込ませておと、より理解が深まるサマリーができるはずだ。サマリーの出来が不安なら、出来上がったサマリー自体をもう一度ソースとして読み込ませて、抜け漏れの分析をNotebookLMに依頼するという手もある。

再び44ページ君の登場

これらの情報を事前に共有することで、参加者の知識レベルが上がり、インストがスムーズになる可能性がある。ただし、ソースによっては著作権で保護されている場合があるので、共有範囲には注意が必要だ。有料版のNotebookLMを使えば、チャットのみを共有し、ソースは非公開にすることもできる。

Geminiを使ったカードテキスト和訳

LLM(大規模言語モデル、ここではGemini 2.0を使用)を使えば、カードのテキストをピンポイントで翻訳することも可能だ。マルチモーダル(画像や動画、テキストなど様々な形式のソース)に対応したLLMを使えば、画像に含まれるテキストも翻訳できるので、外国語のカードテキストやゲームボードの翻訳も容易になる。やることはカードを並べてスマホで写真を撮るだけ、スキャナーも要らない。

今回は、フレーバーテキストだけの翻訳にチャレンジ

例として、「ユニオンストックヤード」のカードの上半分に書かれた年号とテキストのみを翻訳し、表にまとめてみよう。プロンプトには、シンプルに「このカードの上半分(年号と説明文)のテキストを翻訳して、表にまとめて下さい」とだけ指示する。必要に応じて、プロンプトでテキストの長さを調整したり、口調を変えたりすることも可能だ。

驚くべきことに、これだけでほぼ完璧な翻訳ができてしまった。ポイントは、カードの一部のみの和訳でも指示できるところだ。この翻訳結果をワードなどに用意したシールラベルファイルにコピペし、印刷すれば、簡単にカードの和訳が完了する。(ちなみに、スプレッドシートにエクスポートする機能は2025年2月時点では有料版のみとなっている。)筆者は、シールではなく普通の紙に印刷し、貼って剥がせる糊でカードに軽く貼り付け、スリーブに入れている。

スマホに搭載されているGoogle翻訳のアプリでカメラを通してリアルタイムに自動翻訳するのもありだけど、カードが多い場合にはやはり事前に翻訳しておきたい。

今後の展望

AI技術は日々進化しており、ボードゲームへの応用も広がっている。今後は、AIがゲームの進行をサポートしたり、ゲームブックやマーダーミステリーのNPCとして登場したりするゲームも出てくるだろう。また、ゲーム制作におけるバランス調整やルールライティングにも、AIが活用されるに違いない。また何か便利な使用法が閃いたらお知らせをしたいと思う。

AIとボードゲームの融合は、まだ始まったばかりである。

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