リネイチャー

自然はドミノの連鎖のように進化し続ける

発売年2020年
作者Michael Kiesling, Wolfgang Kramer
プレイ人数2-4人用
対象年齢8歳以上

ゲーム概要

自然テーマのクラキン琉ドミノ

クラキンことKramer&Kiesling『リネイチャー』です。本記事では、次いで発売された拡張『Valley』にも触れていきたいと思います。

こちらは基本ゲーム

本作は、荒廃した大地(渓谷)に動物と植物の自然を蘇らせることをテーマにしています。動物絵柄ドミノタイル(2つの絵柄が描かれた長方形の板、本家ドミノではドットで数字が描かれているが、本作では動物)をボード上に配置していき、植栽も行って自然豊かな世界をみんなで創っていきますが、その内情は「はげたかのえじき」要素のあるバチバチのマジョリティ争いのゲームです。閲覧注意!

配置可能箇所が決まったドミノ

前述の通り、基本ルールはドミノです。ボード上に複数あるスタートマスのいずれかから配置を始め、以降は隣り合うタイルの絵柄が合うようにタイルを1つずつ配置していきます(ドミノだ!)。タイルはあらかじめ各自に裏向きで配られており、ここから手番終了時に1枚補充することで、手札は(終盤を除き)3枚です。つまり、あらかじめ配置できるドミノは配られているので、全員の手番数は何をしようと変わりません。

手札は常に3枚

タイルには10種類の動物が2つずつ、すべての組合せで描かれており、合計55枚あります。木製でとても豪華な仕様です。

絵柄が動物なドミノ

タイルは小川(拡張では草原)に沿って配置する必要があり、本家のドミノのように自由に拡がっていけるわけではありませんので少々窮屈です。その代わりに、10種類の動物のいずれかがワイルドカード扱いとなっており、どの絵柄も受けることが可能になっています。ワイルドの種類は、フリーアクションとしてリソースを支払うことで変更が可能です。

絵柄を合わせて配置

植栽、オレも乗るぜ!そのビッグウェーブに!

今配置したタイルの隣のエリアマスに植栽可能

ボードのタイル配置箇所(小川)の隣には、植物を植えるための植栽エリアが小川に区切られる形で点在しています。手番でタイルを配置した際、今配置したタイルに隣り合う植栽エリアに自分の個人ボードから植物を1つ植えることができます。このゲームでは、動物を蘇らせるだけでなく、植物豊かな自然も蘇らせるのです。

左から順に1〜4の価値の植物

植栽できるのは、草/低木/針葉樹/広葉樹の4種類で、順番に価値が1〜4となっています。各自がプレイ人数に応じた数の植物駒(自分の色&中立の色)をもってゲームをスタートします。植栽では、自分の色でも中立色でもどちらでも植えることができます。どの種類の植物を植えたのかにかかわらず1勝利点を獲得でき、さらにそのエリアに既に植えられている植物のうち、今植えた植物の価値以下の植物の数の勝利点が入ります。この得点をコツコツとためていくために、多くの植物が密集するエリアには積極的に関わっていかなければなりません。ビッグウェーブを逃してはいけません。

これで終えたらマイナス6点

ゲーム終了時に個人ボードに未植栽の植物が残っている場合には、その価値に応じたマイナス点となります。

はげたかのマジョリティ

白と中立は被っている(2価値ずつ)のでオレンジが1位で4点(4マス)

そして、このゲームの肝であり、最もバチバチとプレイヤーを痺れさせるのが各植栽エリアのマジョリティ争いです。基本ゲームでは、各エリアがタイルで囲まれる(もしくは、それ以上タイル配置が不可能になる)と各エリアの植栽マジョリティにより1位(エリアのマス数分)と2位(マス数の半分)のプレイヤーに勝利点が分配されます。また、そのエリアを囲ったプレイヤーにも勝利点が分配されます。

エリアを囲ったプレイヤーにはチップの裏面(ランダム)得点が分配される

この時のマジョリティは、そのエリアに植えられている植物の価値合計で競うのですが、名作バッティングゲーム「はげたかのえじき」のように、同数はそのマジョリティ争いから除外されてしまいます。そして、この争いには全員のプレイヤーが所持している中立の色の合計値も含まれます。そう、中立色の植栽価値の合計が、トップのプレイヤーの植栽価値と同数になるように調整することで下位のプレイヤーが1位の勝利点を獲得することも可能なわけです。この手のエリアマジョリティにはげたかシステムを組み合わせるのは新しい視点でとても面白い試みです。

すべてのエリアにマス数に応じた得点チップが置かれている

さらに、自分の色と中立の色の植栽は、リソースを支払うことで引っこ抜く(個人ボードに戻す)ことができます。わかりやすい程にバチバチのエリアマジョリティ争いが起こることは想像に難くないと思います。そして、エリア囲って勝利点の集計が終わったあとに、自分の色の駒を一旦手元に戻して再利用する計画もこのゲームの醍醐味の一つなのです。

価値分の雲トークンを支払うことで引っこ抜ける

エリアを囲って閉じることでも勝利点が発生するため、マジョリティ争いに関係のないプレイヤーもタイルを配置してきたり、植栽によるポイント争奪にいっちょ噛みしてきたりするので、局地的にかなり激しい攻防が繰り広げられます。ちなみに、どうやっても配置が不可能な場合には、タイルを1枚捨ててパスをする必要があります。

フリーアクション

手番中、雲の形のリソースを支払うことでフリーアクションができます。雲の形のリソースは6個持ってゲームを開始します。ゲーム中にもボード上にの所定の位置に植栽することによって(数は限られていますが)補充可能です。未使用のリソースはゲーム終了時に1個1点になります。

アクションは個人ボードにサマライズされている

・2個:ワイルドカードの変更
・1〜4個:植栽を戻す
・4個:連続手番

こうして、全員がタイルを置ききったらゲーム終了です。未決算のエリアを囲われたエリアと同様に処理(囲った得点はなし)して勝者を決定します。

拡張:Valley

キノコが世界を救う

2023年に発売された拡張では、ボードが差し替えられ、新要素としてエリアを結合するキノコが登場します。また、エリアを囲うことで得られる得点がなくなり、同時にゲームの途中でエリアの得点が集計されることもなくなりました。

キノコタイルが点在し、雲トークンもタイルの配置で取得可能になった

この拡張により、バチバチのエリアマジョリティで自然の復活どころではなかった地球上にも爽快感が生まれ、よりボード全体に自然が拡がっていくようになりました。雲トークンがタイル配置で取得可能になったのも良いですね。キノコにいくか、雲に行くかの選択ができました。

エリアの結合でさらなるビッグウェーブが発生

雲のリソースと同じく、タイルを配置することでキノコタイルを獲得することができます。獲得したキノコタイルは、植栽エリアの縦横に隣接するタイルは位置箇所にただちに配置する必要があります。こうしてエリア同士を結合することで、より広大なエリアが誕生するとともに、キノコ自体もエリアの一部となるために植栽が可能です。これ以上植栽のポイントは得られないと考えられていたエリアを拡張することでさらなるビッグウェーブに乗ることもできますし、圧倒的に支配されているエリアに横槍をいれることも、その逆も可能でしょう。

キノコでエリアを結合する

エリアを囲うことによる得点集計はなくなり、囲った時に得られる勝利点のためのタイル配置がなくなったので、ゲームの準備も少しラクになりました。

拡張は両面仕様

ちなみに、拡張は両面仕様で、裏面は中心から外側に拡がっていくマップになっており、雲のリソースが植栽によって獲得できるようになっています。

そして真の再生リネイチャー

本拡張により、エリアを閉じることに利点が薄くなったため、局地的な展開よりもまだ誰も手を付けていない地域に自分の駒を置きにいくことや、植栽のポイントのビッグウェーブに乗ることの重要性が増しました。その結果、バチバチのエリアマジョリティは少しだけマイルドになり、ゲーム終了時にボード全体に自然が広がるようになりました。

プレイ記

今回は、ワトクさん、くりをさん、花さんと「拡張Valley」を適用して4人プレイ。COQは白。

拡張ボードではマップの4辺のそれぞれ中央に湧水(スタート地点)があり、各自がスタートしていくが、4番手であったCOQ(白)のみが他のプレイヤーが置いたタイルに寄せて植栽の得点を第一手番から増やしていく。他のプレイヤーも2番手目からはエリアに相乗りを始めていく。

その土地にはついでオレンジが価値2の植栽をしてきたが、COQが価値3の植栽をしてこのエリアのマジョリティを(現時点では)確定させる。5マスのエリアのマジョリティをとってもたったの5点なので、これは駒の無駄遣いの部類である。

エリアのマジョリティが確定したことを見て、オレンジが駒を引っこ抜き撤退する。そして、中央の大きなエリアにも駒が集まり始める。例の5点のエリアからオレンジは撤退したが、エリアは閉じられていない。これが基本ゲームとの変更点の賜物である。基本ゲームではエリアを閉じると駒の配置に関係なく得点がもらえるので誰もが閉じたがり、狭い場所に無理矢理にでもタイルを配置しようとする。拡張ではここが閉じられにくいため、この後も広がる可能性がある。

オレンジはその隣の2マスのエリアに価値1の植栽をしてシレッと2点を獲得しようとするが、そこにすかさずCOQがキノコでエリアを結合し、このエリアも含めてマジョリティをとる。

COQ
COQ

逃がさないよ!

そうこうしているうちに中央の8マスエリアには大量に植栽がされていて、価値の高い駒を植えれば一気に7点、8点と入る展開。皆が「このビックウェーブに乗り遅れるな!」と叫びながら椅子から飛び上がり、空中で一回転した勢いで植栽をしていくが、COQは手番順のアヤもあってこれに乗り遅れる。なんとかキノコでエリアを広げてここに相乗りして行きたいが、タイルの絵柄が合わずに叶わない。

仕方ないので左上の全色が混在しているエリアに価値4の植物で殴り込む。これだけでも5点獲得できるオイシイエリアだ。このエリアはほぼタイルで囲まれているので、”今置いたタイルの隣に植栽できる”というルールが効いて他の駒は乗り込んで来れない。

少し見ずらいが、そこにさらにキノコを追加してワトクさん(青)がエリアを拡大していく。すでにタイルを置くスペースはないため、他のプレイヤーはこれを見守るしかない。

という感じで奮闘していくも、やはり中央のビッグウェーブに乗れなかった痛みは最後まで癒えない。実はワイルドの多用により終了時に得点となるリソースも使い切ってしまったCOQには再浮上を目指す作戦はなかった。

そして得点計算。計算したエリアの植物を横倒しにすることで得点計算がしやすくなっている。

COQは惨敗。これを世間ではインスト負けの誉れという。上手にインストできた証拠である。バチバチのエリアマジョリティではあるが、それを楽しめるメンバーに恵まれたこともあり、清々しい自然の再生であった。

最終得点

花:61、くりを:55、ワトク:54、COQ:53

総評

Silver

実にシブいゲームです。コツコツと植栽の得点を伸ばし、ここぞのタイミングでフリーアクションを実行して駒の再利用をはかり、そしてマジョリティでひっそりと勝利していく…。最高にシブいゲームです。近年の草食系ノンインタラクションゲーマーには少々刺激が強すぎるほどのインタラクションの塊ですが、ゲームが終わった後、「あの時はごめんね」といえばそれでOKなやつです。

本作は日本でかなり過小評価されているゲームだと思います。古典的なドミノをベースにしながら、そこに植栽によるエリアマジョリティを加えることで今までにない独自のゲーム性を提供しているだけでなく、はげたかのえじきのバッティングメカニクスを導入したことで神がかった面白さを生み出しています。かなりバチバチのマジョリティ争いのため、一手一手に「今、私はあなたをおとしめています」感が強く、現代のゲーマーには受け入れがたい側面もあるかと思いますが、是非チャレンジして欲しい作品です。

コンポーネントにおいても、総木製のタイルと植物駒が付属するなど、かなり凝っていますし、箱絵も美しいです。自然テーマに傑作なしというジンクスはすでに「カスカディア」が打ち破りましたが、本作も同様にそのジンクスを跳ね返していますね。

基本ゲームも面白いのですが、拡張ルールを導入することでさらにこのゲームの長所を伸ばしているように感じます。拡張で変更されるのは、エリアの結合が起こること、ゲーム途中にエリア囲いによる集計がなくなること(そして囲ったプレイヤーへの得点がなくなること)です。これによって、エリアを囲うことを狙う必要性が薄れ、より拡がりをもってプレイできるようになりました。また、地味に面倒だった各エリアへのタイル配置がなくなり、ゲームの準備がラクになりました。そして、エリアを囲うことによって得られていたランダム得点がなくなったため、よりシンプルに植栽ポイントとエリアマジョリティに集中できるようになりました。ランダム要素はタイルの引きの部分にあるため、得点のランダム性に関しては蛇足だと思います。ゲーム終了時の得点は肉薄していることが多いので、タイルの引き運で勝敗が決するのはあまり面白くないのです。エリアの結合が発生することによって、連続手番のフリーアクションにも拡がりが出た点も評価したいです。

これまで、クラキンデザインの3傑として「カッラーラの宮殿」「ポルタニグラ」「アサラ」を挙げていましたが、本作を加えてクラキン4傑としてよいと思います。強いインタラクションを好む方には特にオススメのゲームです。拡張を適用すれば、最早爽やかさすら感じる中量級の名作の1つです。拡張の日本語版が発売されるかどうかは定かではないのですが、逃すとQINの拡張マップのようになりそうです。

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