複雑なルールとコンポーネント?
そんなものは君の頭の中にでもしまっておきたまえ
メーカー | Lui-même |
発売年 | 2011年 |
作者 | Hervé Marly |
プレイ人数 | 3-6人用 |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲーム概要
革ジャンを大事にするバイカー達の熱い闘い
バイカー達の争いをテーマにしたブラフゲームの傑作『髑髏と薔薇』です。バイカー達はチーム同士の争いを決するのにバイクに縄で縛り付けて引きずり合う闘いをするのが常でしたが、いざこざのたびに革ジャンが駄目になるのを避けるために、コースターを使ったこのゲームで勝負を決することにしたそうです。
ゲームには、自分のバイクチームのエンブレムがデザインされたコースター4枚を用います。コースターの裏面には、薔薇が描かれたものが3枚、髑髏が描かれたものが1枚あります。
手番では、このコースターを自分のマットの上にロゴを表にして(髑髏か薔薇かは見えないようにして)1枚ずつ置いて行きます。手番が1周した後は、コースターを置くか、チャレンジをするか選択できるようになります。
チャレンジとは、薔薇の数を宣言し、宣言した数だけ薔薇を表向けることです。ただし、チャレンジの最中に髑髏を表向けてしまうとチャレンジは失敗です。チャレンジに失敗すると、自分のコースターから1枚をランダムで抜かれてしまいます。
ここで重要なルールですが、チャレンジの最初に自分のコースターをすべて公開する必要があります。チャレンジしたいけど髑髏もめくらせたい、その狭間で苦しむことになります。
ゲームの目的は、チャレンジを2回成功させること。誰よりも早くチャレンジを成功させ、他のチームをぶっちぎりましょう!!
複雑なルールは殆どありませんが、プレイヤーの間で何重にも思惑が絡むでしょう。
プレイ記
たっくん、流さん、JOSSさんと4人プレイ。
白熱するバイクチーム同士の抗争を感じていただけたらと思う。
Welcome to the hotel California ~
勝負は既に始まっている。ブラフゲームでは飄々としたイメージを植え付けることが重要。
開始当初は変化の兆しを待つ
そして、第1ラウンドの初手。まだ手番が1周していないので、チャレンジはできない。そもそも、手札が平等のうちにチャレンジするのは運まかせになってしまう。だから、ある程度場が歪むまでチャレンジは控えようと思っていた。
そうなれば… 出すのはこれ。1択である。今朝起きた時から決めていたと言っても過言ではない。自分でチャレンジはしないのだから、髑髏が出せる。あまり悩む素振りを見せないように、能の所作のようにスッと出す。
すると、流さんいきなり2枚でチャレンジ。この時点で彼のコースターが薔薇なのは決定だろうか?
次のJOSSさんは3枚でチャレンジを上乗せ。このように、チャレンジが始まると、レイズか降りるかのチキンレースとなる。
自分以外の全員がパスをしたので、JOSSさんは3枚のコースターをめくり、すべて薔薇をださなければならない。まずは自分のをめくる「薔薇」。そして、流さんのをめくる「薔薇」。流さんはブラフではなかった。
ここまでは順等。あとは2択、そして、、、
COQの髑髏の毒牙にかかる。COQには髑髏を引かせたご褒美として、JOSSさんのコースターからランダムに1枚をゲームから取り除く権利が与えられる。そしてコースターを抜きながらも揺さぶるのを忘れない。1/4の確率で髑髏を引かれてしまったら、相手を打ち取ることのできない安パイとして生きていかなければならない。
ひょっとして、これ髑髏じゃないんですか? これでもう死に体?
こうして次のラウンド。手番は、チャレンジをしたJOSSさんからとなる。タン、タンと小気味良くコースターが置かれてCOQの番。
絶対〜と考えるギャンブラーに未来はない
ここでCOQは考える。次は無いだろうと思って再び髑髏を喰らったら、このゲームではまさに死に体だよねと。そこで、0.2秒迷った後に、再び初手髑髏。三味線を弾いて注意を引くことを忘れない。この中の誰か一人でも「2回連続髑髏は絶対ないよな、COQのコースターは計算できる」と考えてくれれば良いのだ。
写真を撮ってると髑髏っぽく見えるよね〜
ここでたっくん、なんと「4」でチャレンジ。自分のコースター2枚を表向け、薔薇2つ。
…で、伸びて来た。
手が。
これでたっくんもコースター3枚に。机の下でコースターを混ぜてから引かせようとするたっくん。一番引きにくそうな所にあったコースターを引く。
攻勢
場に歪みができ始めたのでここからは攻勢に出る。
たっくん、悩んだ振りしてるけど、さっき髑髏捨てられたからどれ出しても一緒じゃないの?
そして、ここでチャレンジを試みる。チャレンジは「4」!まずは自分のを2枚。口では死に体を投げかけながらも、実は1/4の確率を引けていないと思っていたCOQ。この間、静かにプレイする流さんもそろそろ勝負にでるのではないかと思い、思い切ってめくる。
…が、失敗。COQも手札を減らされる。
COQさあ、もう死に体なんじゃないの?w
ここは流さんの三味線にのる。髑髏が生きているときに死に体の振りをすることは強烈なカウンターに繋がるからだ。
そのセオリーの通り、九死に一生を得た髑髏で再びJOSSさんを討取る。これでJOSSさんは残り2枚だ。ここで再び勝負。口三味線を弾きながら髑髏らしい雰囲気を醸し出して種をまく。
そして、渾身の薔薇!
「2」のチャレンジを宣言すると、他に誰も乗ってこない。結局このチャレンジに成功し、頭ひとつ抜きん出ることに成功した。
でもここで焦るとロクなことがない。また暫くは髑髏の人となるべく、髑髏を投じ続ける。場はコースターが少ないうちに仕掛ける流れだったので、なるべく1枚目に。作戦が成功し、流さんとたっくんをそれぞれ討取る。頭ひとつ抜きん出たCOQが早々に次のチャレンジを試みるのではないかと考えた面々がCOQの初手薔薇に期待した結果である。
最後は「2」のチャレンジを無事成功させ、COQの勝利。続いて行った2戦目は流さんが勝利しました。
終始笑いの耐えない展開でプレイ時間20分
総評
Gold
ルールは極限までシンプルですが、口三味線あり、予想あり、性格の読み合いあり、様々な駆け引きが発生します。また、髑髏を使って相手を討取る楽しみと、一気に勝負にでる楽しみ、そしてその両方を行いたい狭間での悩みがあります。単純なルールとコンポーネントでこれだけの心理戦と爽快感を共存させたのは発明と評しても良いと思います。
プレイ人数としては4〜6人くらいが良いと思います。一度だけ12人で遊んでみましたが、カオスでした。
筆者の所有しているのは2011年にフランスで発表され、大賞も受賞したバージョンです。この版はフレーバー(バイカーの革ジャンの件)も素晴らしく、コンポーネントも非常にシャレオツです。飲み会の最中にカバンからふと取り出してもまったく違和感がありませんし、砂だらけの荒野を走る車のダッシュボードからおもむろに取り出し、車をPUBの駐車場に突っ込んで、ビールを飲みながら1ゲームしても様になります。好みの問題かもしれませんが、現行の「スカル」の絵柄だと筆者の評価はSilverに下がってしまいます。
単純であるが故に多少の雰囲気作りが求められると思います。「コースターの髑髏が瞳に映ってるよ?」とか、「そういや君の髑髏は表に傷が付いていたね。」などウソでもなんでも織り交ぜて場を盛り上げましょう。バイカーは陽気なのです。ブラフゲームの真髄は「負けたら悔しい」と思わせる場の雰囲気作りにすべてがかかっていると言っても過言ではないのですから。
ブラフゲームでは他の追随を許さない傑作だと思います。他は要りません。