カルカソンヌ

でっかい街を作ろうぜ

メーカーHans im Glück
発売年2000年
作者Klaus-Jürgen Wrede
プレイ人数2-5人用
対象年齢7歳以上

ゲーム概要

あまりにも有名なドイツゲームの金字塔

2001年度ドイツゲーム大賞受賞の傑作『カルカソンヌ』です。ゲームの目的は「南フランスの街カルカソンヌに要塞都市を始めとした施設を作り、沢山の勝利点を得る事」です。今なお世界中で人気を博しており、2人プレイには競技性があるため、毎年世界大会も開催されています。

出典:ボードゲームギーク

ゲームのコンポーネントは得点ボードが1枚と各自の部下駒(人型の駒でミープルと呼ばれています)、そして沢山の街タイルです。ミープルという呼称が登場したのはカルカソンヌからです。ゲームは1枚のスタートタイルから始まります。

スタートタイル

図柄を合わせるタイル配置を周知のものにしたシステム

手番で行う事はシンプルです。街タイルを1枚ランダムにひき、既に並べられているタイルの図柄に合う様に並べ、今自分が置いたタイルに自分のミープルを置くかどうかを選択するだけ。

めくったタイルは絵柄が合うように置く

ミープルは、都市/道/草原/修道院に置く事ができます。写真のスタートタイルのように、都市/道/草原が1枚のタイル上に書かれている場合には、この中のどれかに置く事を選択できます。置いたミープルは、その建物が完成するまで街に置きっぱなしです。

完成するまで戻ってこないのでマネジメントが重要

ミープルの多数決マジョリティ争いが熱い

自分のミープルを置いた建物が完成すると、その規模に応じて得点が入ります。建物を完成させるのは自分でも他人でもかまいません。もしも、1つの建物に複数のプレイヤーのミープルが居る場合は、最も多くミープルを配置しているプレイヤー達が平等に得点します。

別々の街を合体させて乗り込む

ただし、(ここがこのゲームの肝です)駒が既に置かれている建物に、単純に自分のミープルを送り込むことはできません。このような建物に自分のミープルを送り込むには、一旦、将来的に繋がるであろう別の建物にミープルを送り込み、違う手番で建物同士を繋いでやらないといけません。当然、空けておいたスペースは誰のものでもないので、意図とは違うタイルを配置され、シャットアウトされてしまうこともあります。

草原を制するものがこのゲームを制する

また、建物のうち草原だけは少し特殊なルールをもっています。草原はゲーム終了まで「完成」しません。草原にミープルを配置したプレイヤーは、その草原に隣接している完成した都市の数だけ得点を得る事が出来ます。草原に配置したミープルはゲーム終了まで手元に返ってくることはありません。

草原に置くとゲーム終了時まで帰ってこないのでタイミングが重要

さらにゲーム終了時、未完成の建物に置かれたミープル達も、完成した建物から得られる得点よりは少ないですが、得点を得る事ができます。全てのタイルが無くなったら、街に配置されたミープル達による得点を集計し、最も得点を得たプレイヤーが勝利します。

2人プレイの競技性

ゲームにはタイル構成の一覧表が付属しており、これを記憶することで計算高いプレイをすることが可能となります。タイルの引き運は大きいものの、配置する場所は絵柄が合致する任意の場所であることから、強者同士の2人プレイはバチバチのマジョリティ争いと駒のマネジメントのゲームとなり、高い確率で実力者が勝利するゲームとなります。

元々のゲームの人気が高いこともあり、日本大会・世界大会が開催されています。筆者も第一回の日本大会に出場した経験がありますが、将棋さながらに対局時計を使用した本格的なものです。毎年、各地で予選大会が開催されているため、是非チャレンジしてみて下さい。

無数の拡張と続編

作者のユルゲン・ヴレーデは(実際には他にも佳作を幾つもリリースしているけど)、カルカソンヌがヒットし過ぎたお陰で殆どカルカソンヌの拡張か続編しか創らせてもらえていないのではないかと思うほどに派生作品が溢れています。その中には「商人と建築士」などみるべきものもありますが、玉石混淆な状態です。興味があれば、色々と試してみて自分の好みに合う拡張を探すのも一興です。

続編としては小屋や狩猟の要素が加わった「カルカソンヌ2原始の営み」があり、変わり種としてはクニツィアがデザインした「2人用カルカソンヌ:城」などがありますが、評価としては本家を超えていないと思います。

プレイ記

自宅にて、カジ、JJ、ヒロシ、ナカと5人プレイ。COQは赤。
正式ルールでは、タイルを幾つかの山にするのだけど、面倒なので適当にひくルールで。

ゲームスタート。早速、道を引くカジ。後半になればなるほど道オンリーのタイルには虚無感がつきまとう。これが後々うらやましがられるタイルになった。

スタートタイルに合うように配置。まずは道に配置して様子をみるカジ。

次の手番。COQは都市の端っこ部分のタイルを引いたので、スタートタイルの都市の部分に配置し、ミープルをのせる。この瞬間、2マスの都市が完成(都市の城壁が閉じた状態)したので、得点が発生してミープルが返ってくる。都市の完成は1マスにつき2点。完成せずにゲームが終了してしまうと1点にしかならない。

ヒロシ
ヒロシ

オイシィーーッ おいしくないすか?それ

そう、ミープルはすぐに返ってくるしタイル2枚の街は美味しい。とても他人にはあげられない美味しさだ。

続くヒロシは2匹目の美味しいドジョウを捜して都市に配置。JJは道に、ナカはいきなり平地に寝そべる。平地に置いたミープルは、わかり易いように寝そべらせる。こんな感じでカルカソンヌの街は次第に大きくなり、ゲームが進んでいく。

大概、最初はチマチマと都市が出来ていく展開。右のほうに大きくなりそうな都市をヒロシが配置すると、そこへ便乗しようとJJが迫る。便乗するには、都市が合併する前に駒を配置しておかなければならないのだ。

次々と出来ていく都市の達成感、タイルをひくドキドキ感、そして乗っ取り/便乗のしてやったり感がカルカソンヌの醍醐味である。

そこへさらに、ナカも便乗しようとタイルを並べる。

COQ
COQ

便乗はいいけど、そのタイルを繋げたら完成は難しいのでは??

ナカ
ナカ

大丈夫です、便乗してみせます。

ここでナカは修道院を配置。修道院は周り8マス(修道院を入れて9マス)にタイルが配置されれば完成。タイル枚数分の得点を得る事が出来る。

そうこうしているうちにヒロシは都市を占有すべく、2人目のミープルを送り込む準備を進める。ビッグシティをめぐる攻防に目が離せない。

ゲームは中盤にさしかかり、今アツいのは草原の利権。最初にナカが寝そべった草原は広がりを見せ、広大な草原へと成長している。しかも、既に完成した都市が幾つも。草原は完成した都市1つにつき4点も獲得することができるので、勝利には欠かせない。

ナカ・JJ・カジが既に1つのミープルを寝そべらせ、ヒロシもその一員になろうと、右端にミープルを寝そべらせる。草原に侵入する場合も、都市と同じく既にだれかしらの駒が有る場合は寝そべらせた後に繋げなければならない。

人知れず、ナカはまたしても修道院。

そうはさせじ!とJJが2人目のミープルを寝そべらせる。しかし、その野望を成就させるタイルはかなり限定的。恐らく、カジが初手に引いた道と同じものが必要なのではないだろうか。

JJ
JJ

カジ君、道を粗末にしちゃいかんよ

はたして。

続く手番、ナカはまたしても修道院。この時点で、ナカのあだ名は修道士に決定。何日か経った後も修道士と呼ばれていた。

次第にタイルが少なくなり、草原勝負に終止符が打たれるかどうかが勝負の分かれ目に。JJに草原を繋がれる前にもう一人寝かせたいヒロシ、ヒロシにもJJにも来て欲しくないカジとナカ。

全員、語尾を強めてタイルをめくる。なんとしても自分でひいて、終止符を打ちたい。テーブルが燃えるようにアツい。

そしてついに、JJが道をひき野望を成し遂げる。広大な草原に単独で部下を2人送り込み独占。

その草原になんとしても食い込もうとするヒロシ。ここもカジ初手の道タイルがくれば繋がる。

ヒロシ
ヒロシ

カジ、道を粗末にするなよ

なぜか罵られるカジ。はたして、同じ道はまだ残っているのだろうか。タイルをめくるヒロシの声に力が入る。

そんな中、見当違いのタイルを引く修道士。全タイル中1枚しかない、都市の拡張を運命付けるタイル。流石修道士、スケールが違うぜ。

そして、タイムアップ!2度目の奇跡は起らず、草原はJJが独占して終了。

結果はやはり、草原の独占が勝負を分ける。完成した都市による草原ボーナスで一気に得点したJJが得点ボード2周目に突入して勝利。道をひくことができていればヒロシの勝利、と僅差の勝負だった。

タイルをひくのに力を込めすぎて疲れた!

最終得点

JJ:56 修道士:45 ヒロシ:43 COQ:38 カジ:33

プレイ時間60分

総評

Gold

友人が持って来てくれたこのゲームを初めてプレイしたとき、ボードゲームの無限の可能性にめまいを覚えました。「こんな世界があったのか!」本当にそんな感想だったと思います。筆者のカタンで始まったボードゲームへの興味は、カルカソンヌで確定的になりました。

ルールはカタンよりも少しシンプルかつ交渉の要素がないので、初めてボードゲームをプレイする人に勧めるならば、こちらのほうが良いかもしれません。ボードゲームと言えば人生ゲーム、という方ならば、このアイデア、美しさ、そして楽しさにめまいを覚える事でしょう。

都市を完成させる達成感や駒が得点ボードを駆け抜ける爽快感、タイルをめくるドキドキ感でもう1回、もう1回とプレイが重なると思います。ドイツゲームに興味をもったなら、まず最初に揃えて損の無い作品です。

もの凄い数の販売数を誇る本作ですが、その人気に応じる様に追加キットも沢山でています。新たな建物が登場するものや、6人プレイを可能にするもの、建築士駒が登場するものなどその内容は様々です。

それにしても、2001年のドイツゲーム大賞受賞作ということは、あれからもう20年以上も経ったのですね。早いなー。

2人プレイによる競技は、命をかけているようなシビアなプレイヤーがいるので気をつけてください。筆者が第一回日本大会で何を見たのか、気になる方は飲み会ででも聞いてください。

購入先情報

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