勝利点は栄光を表す!
メーカー | Wizkidz |
発売年 | 2011年 |
作者 | Mike Elliott, Eric M. Lang |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 14歳以上 |
ゲーム概要
130個のダイスが踊る、圧巻のダイスバックビルド
130個のダイスが付属するという圧巻のデッキ構築ゲーム『クォーリアーズ!』です。「キュビトス」から遡ること10余年前、こんなゲームが出ていたのです。箱までもが立方体で、紙枠を取り外すとそれ自体がゲーム中最強キャラのサイコロを模しているという徹底ぶり。カラーダイスからクリアダイスまで、当時でもダイスの出来は中々でした。
ゲームは「ドミニオン」の流れを汲むデッキ構築ゲーム。「狩り場」と呼ばれるダイスプールからダイスを獲得して自分のデッキを作ります。現在ではダイスバッグビルドという名前でも呼ぶことができます(当時は適切な呼び方がありませんでした)。デッキはカードではなく大量のダイスです。ダイスを自分の袋の中に入れ、カードをひく代わりに袋に手を突っ込んでダイスをひきます。
毎回、必ず並ぶ基本カードが3枚、モンスターが7枚、魔法が3枚という内訳です。それぞれに対応するダイスを置くと中々カラフルな見た目です。テキストで特別効果の説明があり、下部には対応するサイコロの6面が記されています。振って出た目に特殊効果があれば、確認は中央のカードを見ることで行えるというわけです。
基本となるカードは3枚。魔力を生み出す「魔力ダイス」、サンダーストーンの民兵的役割の「助手ダイス」、そして振るダイスを追加できる「時限扉ダイス」です。
ゲームの手順
ゲームの手順はこう。
使用したダイスは自分専用の捨て場に一旦置いておき、袋が空になったらそこから袋に戻すシステム。
モンスターの召喚!
上記の手順で一番重要な、モンスターの召還から戦闘、勝利点の獲得までを説明します(ダイスは小さくて説明しづらいので、外箱のフタで説明)。これはドラゴンのダイスのモンスター出目と一緒なのです。
右の数字はパワー(上)/タフネス(下)です。左の数字はレベルを表しており、召還に必要な魔力の意味も兼ねています。右下のアスタリスクは爆発マーク。このマークがある場合には、特殊能力が発動する場合もあります。
召還に成功したモンスターは、一斉に他のプレイヤーを攻撃します。攻撃ではまず、各モンスターの攻撃力を単純に合計したものに魔法の効果等を適用し、最終的な攻撃力を算出します。その後、その攻撃力を他の全てのプレイヤーにぶつけていきます。攻撃されたプレイヤーは、自分の召還済みモンスターでこれに対抗しなくてはなりません。自分のモンスターを1匹ずつ防御にあたらせ、タフネスが攻撃力を完全に吸収できるまでモンスターを失い続けます。ただし、モンスターがいなければ、もしくは全滅すれば、それ以外に何も起きません。1人のプレイヤーの戦闘を解決したら、同じ攻撃力を次のプレイヤーにもぶつけます。
誰かが召還を行うと、その他のプレイヤーは必ず攻撃されるということです。こうして、次に自分の手番がやってくるまで生きていたモンスターは、勝利点を生み出して捨て場所へ行きます。勝利点を生み出すには、是が非でもモンスターを召還し、生き残らなければならないわけです。そして、モンスターを召還することは、他人の勝利点獲得を邪魔する事にもなります。
こうしてデッキを構築しながら勝利点を獲得していき、規定の勝利点に達したプレイヤーが現れるか、一定の枚数のカードに対応するダイスが全て獲得されるとゲーム終了です。
超余談:3枚ずつ用意されたモンスターカード
ここからは蛇足。ところでこのゲーム、各モンスターごとに3つの強さを持ったカードが用意されています。これらのカードは一度に同じゲームに現れる事は無い様になっています。従って、サイコロは1組で済むわけです。そのために、「*」を使用して強さにバランスをつけているのですね。「*:パワーを+1する」等を最初に見た時は、「ダイスに反映すればいいじゃない!」と思いましたが、同じダイスで違う強さを表現するための手段だったわけです。130個のダイスを使用するのがウリのゲームですが、その裏で使用ダイスを減らす努力もしているのですね
超余談2:コピーが極限にダサい
蛇足の蛇足。所々に日本語コピーのダサさが全開。「諸君の栄光を表す勝利点を記録するための勝利点ボード!」や「勇者の力が爆発!」など。対象年齢は14歳以上とありますが、これらが手に取るヒトの年齢を下げたであろうことは想像に難くないです。
オフィスに蔓延しているような、堕落に満ちあふれた拡張セット!
本作の拡張第一弾。新たなる魔法、ドラゴンを超えるモンスター魔神、そして堕落源ダイスが同梱された「魔神到来!」です。その他、基本モンスターの堕落対応カードとプロモカードが付属しています。
この拡張の特徴は、【堕落源ダイス】。他人のデッキに無用のダイスを放り込めるのです。以前はどうしても走り始めたプレイヤーを止めるのが大変でしたが、相手への干渉がし易くなりました。また、堕落源ダイスに対応したモンスターカードも全種類分用意されており、基本のモンスター達も堕落源ダイスを操ることができます。
また、特定のプレイヤーの勝利点を削る能力も用意されており、増々混戦演出が可能に。ダイスゲームを盛り上げる仕様です。最強のモンスター魔神(魔界の王)は、他人のダイスを勝手に追放する極悪仕様。新しい魔法は、他人の堕落源ダイスを得点に変えたりと、これも中々面白い。
プレイ記
カジ、と2人プレイ。
最初は、弟子が4つと魔力が8つ。この中から6つをひく。2手番目までは初期デッキというのはドミニオンと一緒。
で、カジの1投。最初のデッキはショボイので、こんなもの。魔力が5と弟子の召還権利だ。
カジは弟子の召還と、クレリック的なモンスターのダイスを購入して終了。この弟子が、次の手番まで生きていれば勝利点となる。1点だけど。ちなみに、2人プレイでは20点に達した方が勝ち。
クレリック的なモンスターのカード。防御力強し。それぞれに用意されたサイコロの見た目は綺麗でワクワクする。
…でCOQ。弟子など粉砕してやろうと意気込むが、全部魔力。
まるで金の亡者ですね。
魔力だって言ってるだろ。
結局、サイコロをさらに追加して振る事の出来る「時空扉(黄色)」を購入して終了。サイコロの追加と圧縮を繰り返せば、「ずっと俺のターン!」に持っていけるはず。
カジがコツコツと得点を重ねる横で、やっと強力なモンスター(赤いダイス)を獲得。ダイスを袋に入れるのは、袋の中身が枯渇してからなので、反撃にはもう少しかかる。
そして、袋の中身が一巡して反撃開始。この2つのダイスが攻撃で命を落さなければ、次の手番で大きな勝利点となる。しかも、得点したダイスの数だけ「解雇」を行い、デッキの圧縮もできるので一石二鳥。
これらは無事得点となり、野望を達成する。デッキの圧縮も進んだ。
だが、カジも負けじとモンスターを召還してくる。1対1の戦いなので、他力本願になるわけにもいかない。なんとか倒したいが、いかんせんひきに恵まれずに攻撃部隊が組めない。
双方、得点を重ねながら弟子を解雇してデッキを圧縮していく。ただ、カジはデッキを圧縮し過ぎたせいか、モンスターの数と比べて魔力を生み出す術が少な過ぎるようだ。
そうこうしている間にきた。亜空間チャンス。
時空扉で追加に次ぐ追加。ダイスをひくとそこには再び時空扉ダイスが。振ったダイスはどんどん増えていき…
こんなに沢山魔力を生み出す事に成功。これを待ってましたとばかりに、場内最強のモンスターのダイスを購入。
ここからは独壇場、追加で購入した時空扉のせいもあり、最強モンスターを連続購入。それらが戦場にでれば、勝利は揺るがない。
カジも、一矢を報いようと魔法で防御力を強化して勝利点を狙ってくる。
しかし、それも強力部隊で粉砕。この戦闘後、COQ20点到達。勝負有り。
プレイ時間:40分
カジ「これはサイコロ触るだけでときめきますね。サイコロと言うのは、お店で売ってるのを見ると★あjf;おいあほいふぁおんf…、それだけゲーマーにとっては◇そdhふぉあいshdふぉあえf…」
カジが何か言っていたが覚えていない。カードの構成を変更し、すぐに2回目もやってみた。
今度は、最強のモンスタードラゴンの居る場。序盤、カジの速攻戦略が、亜空間戦略を凌駕しかけるも、出目運に見放されたカジは涙の敗北。この後の感想戦は中々盛り上がった。
プレイ時間20分
堕落拡張
Tさん、流さんと3人プレイ。既に堕落した3人で堕落拡張を遊ぶって寸法だ。
問題の堕落源ダイス。拡張には、どの程度堕落感を楽しみたいかによって、拡張のカードを使う枚数が指示されている。今回は、適度に堕落。
写真の腕が堕落していて観づらいが、堕落を操る基本カードや魔界の王も入っている。魔界の王のダイスは、クレーム対策なのか、やけに綺麗。(注:基本セットのダイス文字が読み辛いなどのクレームがあった模様)
初手、見事に魔力ばかりを振り、惰力源ダイスを他人の袋に突っ込むモンスターを獲得。非常にシンプルで、今回の拡張の楽しさを味わえそうなモンスターだ。攻撃力と防御力のバランスも良い。初手は時空扉ダイスという、サイコロを袋から追加できるダイスを取るのが定番なのだが、ここは敢えて強力なモンスターから獲得する。
すると、早速召還することに成功。そして、アスタリスク(*)2つ付きの最強面。この面は、他人の勝利点を削ることができる。
流さん、堕落源ダイスお買い上げ!クォーリアーズは初手番順に有利さがあるので、1番手で始まった人は序盤叩かれる運命。運命の堕落。
なんだかこの日はダイス運が良く、他人を面白い様に堕落させたり勝利点を削ったり。
時空扉ダイスを沢山ひいて、ドラゴンダイスを獲得したTさんが追い上げてくるが、某ブログの懸賞等で使い果たしたせいか、ダイス運が付いてこずにドラゴンが露と消えていく。
結果、赤のCOQがブッチギリで堕落した2人を突き放して勝利しましたとさ。
プレイ時間33分
総評
このゲームは緻密にデッキを作っていくようなゲームではありません。うまくすれば、コンボも繋がりますし、大筋の狙い目はあると思いますが、袋からダイスをひくという行為と、ダイスを振るという行為が1度の手番に2度のランダム性を与える事になるので、狙い通りには中々いかないのです。
狙い通りにいかないこと自体がストレスにしかならないゲームもありますが、このゲームの場合は適度なパーティ性を与え、場を盛り上げるシステムとしてうまくまとまっていると思います。そもそも、ダイスを袋から出して振るという行為自体に魅力が詰まっており、原始的な楽しさがあります。
当初、ルールを読んだ時にはかなり不安になりました。遊んでみると、ここのルールはこうだったら良いだのと感想戦が盛り上がりました。ルールの改善点を指摘するようなら、それはもうはまっているということなのでしょう。ゲームシステム上、人数は多い程盛り上がりそうです。複数人でないと殆ど機能しない能力もあるようなので、出来れば3人以上でプレイしたいところ。
拡張については、堕落源ダイスに代表される相手デッキへの干渉で、走り出したプレイヤーへの抑制や、順位の交代がどの程度可能なのか、色々と試してみましたが、思った程干渉に効果はありませんでした。それでも、ある程度、トップ叩きを意図することはできる様になったので、ゲーム性は向上したのではないかと思います。とは言え、狙って叩く効果よりもダイス運のほうが大きいので、この拡張が嫌いという人は少ないと思います。総合的に、この拡張はあったほうが面白いと思います。クォーリアーズ!の基本セットのダイスゲー感にシンクロした方は是非。