カスパー・ラップ

Kasper Lapp
出典:ボードゲームギーク
カスパー・ラップ(Kasper Lapp)

1979年 デンマーク生まれ

ユーロゲーム界に新風を吹き込む革新的なデザイナー。革新的な要素と脊髄に訴えかけるような面白さのゲームデザインが特徴。

新風を吹き込む革新的なゲームデザイナー

「マジックメイズ」出典:BGG

カスパー・ラップは知る人ぞ知る、ユーロゲーム界の俊英だ。彼の名を一躍有名にしたのは、2017年に発売され、ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた協力型リアルタイムゲーム「マジックメイズ」だろう。プレイヤー同士が一切の会話なしに、迷宮からの脱出を目指すという斬新なゲーム性で、世界中のゲーマーを魅了した。協力ゲームには距離を置く筆者でも遊んだことのある名品だ。

だが、ラップの才能は「マジックメイズ」だけに留まらない。彼はその後も、次々と独創的なゲームを世に送り出している。パーティーゲームから協力型ゲーム、タイル配置ゲームまで、その作風は実に多彩だ。

本ページでは、そんなカスパー・ラップの魅力に迫る。彼のゲームデザインの特徴、革新性、そしてユーロゲーム界への貢献について、詳しく考察していく。

カスパー・ラップとは何者なのか?

カスパー・ラップは、1979年9月26日生まれのデンマーク出身のゲームデザイナーだ 。コペンハーゲンを拠点に活動しており 、かつては児童書作家としても活躍していた 。

彼は元々コンピューターゲームの開発に携わっていたが 、後にボードゲームの世界へと転身した。その理由は、人々が画面越しではなく、顔を合わせてプレイするボードゲームの魅力に惹かれたからだという 。2017年に「マジックメイズ」でデビューして以来 、フルタイムのゲームデザイナーとして活躍している。

彼はデンマークのゲームファンドでゲームのレビューと資金提供を行い 、雑誌で紹介されたこともある 。さらに、ゲームスタートアップやゲームデザインコンサルタント会社の共同設立者でもある 。

カスパー・ラップのゲームデザイン

カスパー・ラップのゲームデザインは、一言で言えば「革新的」だ。彼は既存のゲームの枠にとらわれず、常に新しいゲームメカニクスやテーマに挑戦している。試作品を早期に作成し、プレイすることを重視しており 、ゲームデザインにおいて、アイデアを途中で捨てることも厭わない 。

「ファンファクツ」出典:BGG

彼の代表作である「マジックメイズ」は、協力型リアルタイムゲームというジャンルに、沈黙という斬新な要素を持ち込んだ。プレイヤーは、限られた時間の中、ジェスチャーだけで協力しなければならない。この独特なゲーム性が高く評価され、ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされる快挙を成し遂げた 。「マジックメイズ」はテーマも少し変わっている。ショッピングモールを舞台に、魔法使い、蛮族、エルフ、ドワーフといったお馴染みのファンタジーキャラクターが、次の冒険に必要な装備を盗むために協力するという設定がプレイヤーの笑いを誘うだろう。

また、「ザッツ・ノット・ア・ハット」は、記憶力とブラフを組み合わせたパーティーゲームだ。シンプルなルールながら、心理戦の要素が強く、大人数で盛り上がれる作品となっている 。プレイヤーは、プレゼントを贈り合いながら、誰がどのプレゼントを持っているかを記憶し、嘘をついたり、嘘を見破ったりする。このゲームは、記憶力ゲームでありながら、ブラフゲームの要素も併せ持っている点がユニークだ。

「5 Towers(ファイブタワーズ)」は、カードドラフトとタワー構築を組み合わせたゲームだ。プレイヤーは、カードを競って、自分の前に5つのタワーを建設していく。タワーは、数字が書かれたカードで構成され、数字が大きいほど高得点が得られる。しかし、タワーを完成させるためには、0番の屋根カードが必要となる。アートワークにスターウォーズや任天堂など、著作権的に際どいキャラクターが登場しているのも面白い 。

「Fun Facts(ファンファクツ)」は、質問カードに書かれた質問に対して、プレイヤーがそれぞれ数字で回答し、その数字の大小を当てるパーティーゲームだ。シンプルなルールながら、プレイヤー同士のコミュニケーションを楽しむことができるパーティーゲームである。

カスパー・ラップのゲームにおける革新性、影響力、そしてユーロゲーム界への貢献

カスパー・ラップは、ユーロゲーム界に新風を吹き込む、革新的なゲームデザイナーだと言えるだろう。彼のゲームは、以下のような点で、ユーロゲーム界に貢献していると考えられる。

  • 協力型リアルタイムゲームというジャンルの確立: 「マジックメイズ」の成功により、協力型リアルタイムゲームというジャンルが広く認知されるようになった。
  • パーティーゲームの新たな可能性: 「ザッツ・ノット・ア・ハット」は、シンプルなルールながら、奥深い心理戦が楽しめるパーティーゲームとして、新たな可能性を示した。
  • ユーロゲームの多様化: 多彩なジャンルのゲームをデザインすることで、ユーロゲームの幅を広げている。

彼の革新的なゲームデザインは、他のゲームデザイナーにも影響を与え、ユーロゲーム界全体を活性化させていると言えるだろう。

他のデザイナーとの比較

カスパー・ラップのゲームは、他のユーロゲームデザイナーの作品と比較しても、いくつかの点で際立っていると言えるだろう。

まず、テーマの独創性だ。彼は、「マジックメイズ」「ザッツ・ノット・ア・ハット」など、ユニークなテーマの作品を数多く手掛けている。

また、ルールのシンプルさも特徴の一つだ。彼のゲームは、複雑なルールを覚える必要がなく、誰でもすぐにプレイできるよう設計されている。それでいて、ゲーム性は奥深く、何度プレイしても飽きない魅力がある。

まとめ

カスパー・ラップは、ユーロゲーム界に新風を吹き込む、革新的なゲームデザイナーだ。彼のゲームは、独創的なテーマ、シンプルなルール、そして奥深いゲーム性が見事に融合した、傑作揃いと言えるだろう。

彼は、常に新しいゲームメカニクスやテーマに挑戦し、プレイヤーを飽きさせない。ユーロゲームの多様化にも貢献しており、今後も、彼の活躍から目が離せない。

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