何かをさせようと思ったら、一番忙しい人間に任せれば良い。
メーカー | Cocktail Games |
発売年 | 2009年 |
作者 | Klaus Palesch, Horst-Rainer Rösner |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲーム概要
世界を股に掛けるビジネスマンに贈るアブストラクト
2001年に発表された「Combit」が2009年に「トレーダー」としてリメイクされました。元は2人用のアブストラクトゲームでした。リメイク後は、2人用ゲームの内容にはほとんど変更はありませんが、テーマが世界を股に掛けるビジネスマンになったのと、「トレーダー」では3人用、4人用のルールが追加されました。
掛け算はビジネスマンの嗜み
このゲームのルールは、大まかに説明すると「場のカードを購入してセットで売却し、資金を増やすゲーム」です。簡単!
セットアップすると、カードが5列に並びます。手番は交互に行います。手番で出来るのは:
カードの売却は同種2枚セット売りです。お互いに、1枚ずつだけジョーカー(2)を持っているので、これをセットとしてもかまいません。売却額は、2枚の数字を乗算した金額です。3と2のカードをセットで売却すると6で売れます。これらのカードの購入には、5=(3+2)かかっているので、1儲かるというわけです。
こうして、カードの購入と売却を繰り返していき、残りが2列になったらゲーム終了。最後に1組だけカードを売却するチャンスが与えられた後、所持金の多いほうが勝利します。
3つある同作の中で一番綺麗
「トレーダー」には自身も含めてバージョンが3つ(「Combit」と「Ka-Ching!」)ありますが、デザインが一番綺麗なのが本作です。リメイク前と同じく、お金もすべてカードで提供されていますが、かなり素晴らしい出来です。3〜4人でも遊べることを含めれば、本作1択でしょう。
3人プレイでは、市場閉鎖カードを使用し、ゲーム展開にアクセントを加えます。カードを購入した後、このカードを動かして1列閉鎖するという手順が加わります。4人では、2組に別れてプレイします。
プレイ記
Tさんと2人プレイ。(3人プレイの時の様子はジョーコデルモンドあきおさんの記事を参照ください)
初期資金は20。開始と同時になるべく自分が大きい数のカードを購入できる様にカードを購入していく。恐らく次の手番で相手が買うであろうカードを予測しながら。
カードは完全に公開なので、セットアップ後に運の要素が入る余地は全く無い。完全なアブストラクトである。極端な話、最初の盤面を見るだけで、勝者がわかる人もいるかもしれない。
開始のスタートダッシュも、資金が底をついてくる。ある程度の段階で必ず売却をしなければいけないわけだ。売却するということは、相手が2回連続でカードを買うチャンスを得るということ。この辺りのことも十分に考えて売却を行いたい。
しかし逆に考えると、売却にはお金を得る以外に非常に重要な意味がある。相手に2回連続でカードを購入”させられる”のだ。相手が売却可能なセットを持っていなければ、自分の売却行為が手番をコントロールすることになる。こうして、金額の高いカードを相手に掘り出させることができる。
カードがなるべくセットになるように、そして高い金額で売れるように獲得していく中盤。ジョーカーカードは余ったカードを売却することに使用することが多そう。
でも、終盤まで使用することはオススメしない。なぜなら、前述の通り売却は手番のコントロールの意味を持つから。相手だけがジョーカーを持つような展開は、非常に不利となる。核抑止力的な意味合いを持っているカードだ。
終盤の攻防、COQの手番で緑2枚の列に5と6のカードがある。前を見ると、Tさんは緑のカードを持っていない。そこで6のカードを買ってプレッシャーをかける。売るアテの無い5をどうするか。
すると、Tさんは苦しそうに5のカードを購入。ここで、5のカードを売却されたら一気に30(6×5)の収入となり、大きく引き離されてしまう。買わざるを得ないというタイミングも少なからず存在する。
さらにこの後、COQが緑カードの売却を行うと、売却するカードが無い(ジョーカーはあるが)Tさんは、またしても安めのカードを買わざるを得ないという展開が続いて苦しい。
最後の手番、ジョーカーと黄色の4を売却し、2枚残してゲーム終了。結果、中盤〜終盤にイヤラシく場のカード操作を行ったCOQの勝利。
プレイ時間20分
総評
Bronze
缶箱といえば、フランス:カクテルゲームズ。流石フランス、テーマもアートワークもオシャレに纏めてきました。場所も取らず、スタイリッシュで持ち運びも便利。しかも4人まで遊べちゃう。
ゲームは、リプレイにも記載した通り、完全情報公開アブストラクトです。ただし、カードの枚数がそれなりにあるので、序盤はそうそう展開を読むことはできないと思います。カードの枚数が減り、お互いの狙いが明らかになり始めたところで、ジワジワと熱い駆け引きが始まります。売却すら手番の調節に効いてきます。
ルール自体は小さい子供でもできる簡単なものです。しかし、その中にはカード獲得順番の駆け引き、相手へのプレッシャー、所持金マネジメント等、思考性の高い面白さが詰まっています。特に2人プレイでは読み合いが比較的単純となるので、胃が痛くなる悩ましさを備えていると言えるでしょう。
リメイク作なので、敢えてそれ程「トレーダー」自体の面白さを叫ぶ必要もないですが、普段アブストラクトを遊ばない自分も、これは非常に気に入りました。ゲーム展開がスピーディなところがアブストラクトでも面白いと思っているうちに終われる重要なポイントです。掛け算ができればキッズも遊べるところもSO GOOD。
オススメは偶数プレイですけどね。