自分の意見を隠すか、さもなければその意見の陰に自分を隠すか
メーカー | BFF Games |
発売年 | 2022年 |
作者 | A Müller, M Müller (II), R Stocker |
プレイ人数 | 2-6人用 |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲーム概要
アートワーク1億点の正体隠匿系カードゲーム
互いの正体を隠匿しながら2つの駒の位置関係を調整していくカードゲーム『ヒドゥンリーダーズ』です。原題はHidden Leaders(隠れたリーダー)なので、タイトルがそのままゲーム性を反映しています。ユーロゲームの古典「アンダーカバー」を複雑な綱引きにしたようなカードゲームですが、そのゲーム性はともかく、日本人アーティストによる世界観の統一されたグラフィックは圧巻です。
正体を隠しながら行う綱引き
中央にはハシゴ状のゲームボードと2つの駒が置かれています。このボード上で2つの駒の位置関係を調整していきます。ゲームには4つの陣営が登場し、それぞれ「赤い駒が緑の駒より2つ先にある」などの勝利条件が設定されています。綱引きの対象が2つあることで、4つの陣営の勝利条件を表現できるようにしています。
プレイヤー達はゲーム開始時にランダムにキャラクターを選択しますが、各キャラクターはこれらの陣営のうち2つに所属しています。ゲームの目的は、自分のキャラクターが所属するいずれかの陣営の勝利条件を満たすことです。4つの陣営の勝利条件はいずれも相反しているので、1つの陣営しか勝利条件に到達することはできません。しかし、同一の陣営に所属するキャラクターは複数居ますので、何人かのプレイヤーが勝利条件を満たす場合があります。その場合には、各人がプレイした勝利陣営のカードの枚数で勝敗を決します。
手番が来たら、カードを捨てる/1枚プレイするを実行し、駒を移動させていきます。その後、カードディスプレイ若しくは山札からカードを補充して手番終了です。裏向きのカードは非アクティブですが、プレイしたカードの効果などでアクティブ(表向き)にすることができます。誰かが規定の枚数のカードをアクティブ状態で自分の前に並べた場合にゲームが終了します。
ゲーム終了時の駒の位置関係からどの陣営が勝利したのかを判定し、キャラクターカードを公開して勝者を決定します。
総評
正体隠匿でお互いに異なる目標を目指しているゲームにありがちな”アンコントローラブル(予測・制御できない)”感はあるものの、各自がプレイするカードの色から次第に大体読めるようになっています。この手のゲームには、最後まで誰が何を狙っているのかわからないどうしようもないゲームが多くありますが、本作はゲームとして成立していると思います。終盤になると同じ目的を持つもの同士でも戦いになっていく点も良いと思います(プレイしているカードのマジョリティ争い)。
ただ、初期キャラクターのカードの配り方によっては4人プレイで3:1の戦いになったりすることがあるのは難点です。キャラクターカードとプレイ人数を対応させておくとよかったかも知れません。また、カードの引き運は大きめです。自分の陣営に関連するカードが引けないと難しい展開になります。
プレイ済みのカードの色に対するコンボなどもあり、プレイ回数が増えると上手く立ち回れるゲームと思いますが、カードの効果はかなりシンプルなので物足りないと感じる方もいるかも知れません。比較的プレイ時間は短くまとまっています。アートワーク重視でライト層をターゲットにしているゲームだと感じました。
美麗なグラフィックと世界観は素晴らしいです。アーティストのファンの方はもちろんのこと、素晴らしいアートのコレクションのために所有するのはアリだと思います。
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