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AIでボードゲームを快適に楽しもう①
世界中で生まれる様々なボードゲーム。その魅力の多くは、ルールブックに詰まっている。しかし、外国語で書かれたルールブックは時に解読するのが困難であったり、単に読むのが面倒だったりすることもある。そこで今回は、AIでボードゲームを楽しむ①として、Googleが提供する「NotebookLM」の驚くべき機能に注目し、外国語ルールブックの和訳(もしくはその逆)、要約、そしてFAQの自動生成という画期的な活用方法をご紹介しよう。
NotebookLMとは?
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「NotebookLM」は、Googleが開発した最新のAIノートツールである。ユーザーがアップロードした文書やウェブサイト、さらにはYouTube動画のリンクまでもソースとして取り込み、内容の分析や要約、翻訳などを自動で行ってくれるニクいやつだ。このAIの最大の特徴は、アップロードした情報のみを元に回答を生成する点にある。つまり、信頼できるソースのみに基づいて回答を作るため、AIが自信たっぷりに間違ったことを言い出す「ハルシネーション」が起こりにくいのだ。この特徴は、ルールブックを読み解く上でとても都合が良い。
ルールブックの翻訳&要約
和訳でルールの理解が一瞬に!
海外ボードゲームのルールブックを読み解くのは、意外とハードルが高い。しかも、すべてが私たち日本人が義務教育をオールインして学んだ英語であるとは限らず、しばしばドイツ語であったりもする。しかし、NotebookLMにルールブックのPDFやテキストデータをアップロードすれば、言語に依らず瞬時に和訳が可能な時代になったのだ。やり方は簡単。メーカーのホームページやBoardgame GeekなどでルールブックのPDFをダウンロードして、NotebookLMにアップロードするだけ。あとは、プロンプトに「ボードゲームを遊ぶためのA4用紙1枚のプレイサマリーを作成して」とか「ルールの全文を和訳して」などとお願いするだけである。
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FAQの自動生成で疑問解消!
ルールブックの内容を理解しても、どうしても疑問に思う点はあるもの。NotebookLMは、アップロードした資料からFAQ(よくある質問)を一瞬で生成する機能も備えている。ゲームをプレイする前に、参加者から寄せられる疑問点を自動で整理してくれる。たとえば「この特殊ルールはどういう意味?」といった質問に対し、該当箇所を引用しながら分かりやすい回答を作成してくれるのだ。資料の更新や新たなルールの追加があった場合でも、再アップロードするだけでFAQも最新の情報にアップデート可能となっている。さらに、今はまだ英語しか対応していないが、アップロードした内容について2人が話し合うポッドキャスト音声を作成する機能もある。
複雑な体裁のルールブックから文章を抽出する手間もなし!
近年のルールブックはとても綺麗にレイアウトしてあるおかげで読みやすい反面、自動翻訳ソフトが正しく文字を認識できないことも多い。しかし、NotebookLMはPDFをアップロードするだけで内容を把握してくれるので、とても使い勝手が良い。また、所々に参照ボタンがあり、その文章を原文のどこから持ってきたのか表示してくれるので、確らしさの確認も楽にできる。
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もちろん日本語→外国語にも対応
この機能は、もちろん日本語を他言語に翻訳することにも使える。近年、日本の同人ゲームが海外で人気を博すことも珍しくない。そのスピードを高めるためには質の良い英語ルールを添付するのが近道の一つと思われる。これが一瞬でできるのは凄いことだと思う。ソースとして、ボードゲーム用語の対訳表などがあるとさらに精度が増すかもしれない。
YouTubeを時短でチェック!
新作のレビューを見たいけれど、YouTubeを30分も1時間も動画を見るのは正直辛い…という人も多いだろう。人生の時間は限られているのだから、他人の収益のために大事な時間は浪費したくない。そんなあなたに朗報だ。NotebookLMのもう一つ特筆すべき点は、情報のソースとしてYouTubeの動画アドレスを直接貼れるところなのである。これをソースとすることで、内容を見なくても内容のまとめや分析の糧にしてくれる。
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この機能を使うことで、実際に動画を見る前にポイントを把握できるため、視聴時間を大幅に節約可能だ。
有料版と無料版
NotebookLMには有料版と無料版があり、無料でも100件のノートと各50件のソースのアップロードが可能だが、有料版になるとこれらのキャパが増加する。しかし、趣味で使う分には無料版で十分な気がする。現在はソースのアップロードが1つずつしかできないが、今後これらのアップグレードがされればさらに使いやすくなりそうだ。また、有料版は作成する文章のスタイルやトーンをカスタマイズできる。
まとめ
AIの進化によって、アナログゲームであるボードゲームの楽しみ方も大きく変わろうとしている。NotebookLMを使えば、ルールブックの翻訳・要約・FAQ生成・動画要約が一瞬ででき、よりスムーズにゲームを楽しめる。
今後も、ボードゲームとAIの面白い活用法を紹介していく予定なので、ぜひチェックして欲しい。それではまた!
追記!
この記事をSNSに投稿したところ、多くの反響をいただいた。それを受けて思いついたことを追記しておきたいと思う。
ルールの抜け漏れ
機械のやることなので、抜け漏れがないとは言い切れない。そこで試してみたのが「和訳させたルールをソースにして比較検証」である。マッチポンプみたいなやり口だが、検証結果を見るに、一定の効果はありそうだ。やり方は簡単。作成された和訳ルールの全文をコピーし、”コピーしたテキスト”としてソースを追加するだけ。あとは「アップロードしたソースは、同一のゲームの英語版と日本語版のルールブックです。二つの間に抜け漏れや差異がないか検証してください。」などと指示を出して検証してもらう。一定の効果がありそうな気がする。
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ソースを複数にする
これも効果があるかどうかは定かではないのだが、場合によってルールブックは多言語で公開されている場合がある。試しに英・仏・独の3ヶ国語で書かれたルールをソースに登録してみた結果、1つの日本語版を作成することに成功した。また、翻訳元のルールブックの間で差異がないかどうかを同時に検証することもできた。独→英の翻訳でエラッタが発生することも珍しくないため、このような使い方もアリかもしれない。