K2

一歩を踏み出せるなら、もう一歩も踏み出せるはずさ

メーカーRebel
発売年2010年
作者TAdam Kałuża
プレイ人数1-5人用
対象年齢8歳以上

ゲーム概要

死と隣り合わせの登山ゲーム

ありそうであまりない、登山をテーマとしたゲーム『K2』です。K2とは世界で2番目に高い山で、未だ冬に登頂されたことが無い(発売当時)と言う難関のことです。このゲームでは、2つの登山家チームを率い、難攻不落の頂を目指します。本作はソロでもスリリングなゲームが楽しめますが、今回はマルチプレイの紹介です。

ゲームは18日間(ラウンド)に渡って行われ、自分の登山チームを如何に頂に近づけるかが勝敗を決します。ただし、登山家が死んでしまっては元も子もありません。生き残る事ができなかった登山家の功績は、大きく減点されてしまいます。蛮勇は評価されないのです。

メインボードと個人用のプレイヤーマット


メインボードには登山ルートがマスで表されています。それぞれのマスは6000 m 、7000 m、8000 mの線で区切られており、上へ行くほど過酷な環境となっています。メインボードの右側の列は登頂の度合いによって与えられる功績を記録するマーカー。

自分のチームに所属する2人の登山家駒は2つずつあり、それぞれ1つずつをどこまで到達したかを示すマーカーに置きます。さらなる高地へ踏み込むごとに、対応するマーカーで功績を遺すわけです。一度遺された功績は、下山しても消える事がないのが特徴です。この功績マーカーが勝利点となるわけですが、対応する登山家が死ぬと点数は一気に最低の1点に戻されてしまいます。

個人用のプレイヤーマットは2人の登山家の順応力を示しています。平たく言えば、HP(ヒットポイント)のようなものですね。これが無くなると、登山家は死んでしまうのです。

手札を駆使して最高峰を目指す

登山のマスを拡大したのがこちら。赤と青の数字は登山家の順応力に与える影響を示しています。つまり、山の裾であれば体力が回復し、上の方では体力を奪われるということです。黄色の数字は、そのマスへ移動するのに必要な移動力を示しています。黄色の数字が書いていない場合の必要な移動力は1となります。

また、各登山家は好きなマスにテントを1度だけ張ることができます。テントのコストは、そのマスに入るのに必要なコストと同等です。登山家はテントのマスに留まる事により、順応力を1回復することができます。

こちらは手札となるカード、1人分は15枚です。基本的にランダムで6枚を手札として持ちます。上の段の緑の数字は移動カード、数字が2つ書いてあるカードは上昇と下降で移動力が変わります。下の段の青の数字は順応カードです。

マルチプレイではバッティング要素あり

手番でプレイヤーは、手札の中から3枚のカードを裏向きでプレイします。全員の準備が出来たら一斉に手札をオープン。移動カードは自分の登山家の何れかに適用し、移動力の分だけ移動させることができます。順応カードも自分の登山家の何れかに適用し、数字の分だけ適応力を上げることができます。

こう書くと、ただ大きな数字を出せば良いだけのように思われますが、そうではありません。プレイしたカードのうち、移動力の合計値が一番大きいプレイヤーは、リスクトークンを取らなければならないのです。冬山で大きく前進し過ぎることはリスク以外の何物でもありません。

リスクトークンは0〜2があり、ストックから常に3枚が表向けられています。3枚のカードの移動力合計値が最大のプレイヤーはこの3枚のうちから1枚をとる必要があります。リスクトークンは、カードの効果を適用する際に、カードの効果を数字の分だけ減弱するなど、何かと厄介なお荷物です。

真冬の神峰を制するのは誰だ

最後に天気のお話。天気カードには、3日間の天気が予報されています。6枚の天気カードのうち、常に2枚が表向けられ、6日間の天候がしめされます。晴の日には何も起りませんが、曇りや吹雪では、順応力が容赦なく削られます。天気予報は高度のメーターにもなっており、悪天候の効力がどの高さまで及ぶかもわかるようになっています。

ちなみに、各高度では、1マスに最大何名の登山家が留まれるかが厳しく決まっています。手札のバッティング要素だけではなく、単純に足止めすることでもプレイヤーインタラクションができるのですね。

天気カードは夏バージョンと冬バージョンの2種12枚が用意されており、好きに混ぜて使用できます。当然、最凶は冬バージョン6枚です。また、ゲームボードも表裏に初級と上級のバージョンが印刷されています。冬の上級K2はまさに難攻不落の神峰です。さぁ他の探検家を抑え、真冬のK2の頂を初制覇することができるでしょうか!



プレイ記

Fさん、Kunさん、Jさんと4人プレイ(COQは赤)。

マルチプレイの場合は単純に総得点数で勝敗を決定する。また、ソロプレイの場合は登山家が1人でも死亡すると即ゲームオーバーとなるが、マルチプレイの場合は、どんなに高地まで至っていようと死んだ登山家の点数は1点となる。

今回はボードは初級、天気は冬を選択。天候を読めれば登頂も夢ではない山といった条件である。

いよいよ登山開始。基本、死ぬ前提。

初期手札はこんな感じ。この中から3枚をプレイする。多人数プレイでは、欲張るとリスクトークンをとらなくてはならないので注意が必要。しかも、上に行く程に1マスの滞在人数が限られてくる。先に行きたいが、リスクはとりたくない、このジレンマに痺れながらの登山だ。

さてCOQは。

頂上を目指すアタッカーと、それをサポートするサポーターを用意することにした。来るべきアタックのタイミングにむけて、手札に高移動力のカードを温存するのだ。

そんなわけで、まずは移動力1のカードを消費。さらに、順応力を上昇させるカードで体力をつけておく。

1ラウンドのリスク評価では、FさんとKunさんが同じ移動力だったために何も起きなかった。1位が複数いた場合にはリスクトークンをとる必要がないのだが、これが結構頻発する。何やら固い握手を交わす両者。

各自、思い思いの登山家を出発させていく。1点集中のKunさんに対し、COQはツガイで行動。

そして、早速マルチプレイの洗礼。6000メートル以下のマスは4人プレイだと3人までしか入ることができない。手番が4番目のFさんは思惑通りに登山家を1マスずつ進める事ができなかった。

登山2日目、山の裾に蟻のように散らばって行く登山家達。COQはソロリソロリと山の環境に体を慣らしながらルートを探る。

次第に、手札が揃って来た。ここでJさんが聞く

J
J

適応力上昇0のカードって何の意味があるんでしょう?邪魔カードってことかな?

そう、その通り。頂上付近、カードの引き運に登山家の命がかかっている状況でこれを引いたときの絶望といったら。そうならないためにも、安全なうちに処理しておきたいカードだ。

そうこうしているうちに、先行するKun隊、F隊が山の中腹まで駒を進める。一応、同点の場合は頂上へ到達した順番で順位を決定するので、先行することも重要。

そして、天候が回復。ここから2日間は快晴のため、天気によるダメージはない。

ここだ!

登る、一気に。今までためていた手札を一気に消費してアタッカーを中腹へと誘う。リスクトークンをとる羽目になるが、低地で十分に体を慣らしていたので問題は無い。

そして、目的地に到着し、テント建設。このマスはK2登頂にかなり重要な意味を持つマス。何故かと言うと、体力の削られない、最高地のマスなのだ。天候が悪くなければ、このマスにいる事によって体力を回復できるのが大きい。頂上を目指すアタッカーは、ここで英気を養うことにする。

続いて、サポーターで限界まで攻め、8000m手前にテントを建設。頂上へとアタックし、下山してきた登山家をこのテントで保護する作戦。サポーターで限界ギリギリまで攻めたので、得点的にもCOQが一躍トップに踊りでる。

ここで秘密兵器。上りと下りで移動力の異なるカード。サポーターを救うためにためておいた。このカードのリスク評価は上りの値で計算されるので、リスクを負う危険も少ない作戦。

一気に下山。危機を脱し、サポーターの役目は終わった。あとは癒しのテントで休むだけ。

すると、COQとは反対側のサイドから攻めるFさんが頂上一歩手前まで駒を進める。同点に追いつかれ、初登頂の栄光も危うし!

だが…。上空は超絶悪天候。それは無謀というもの。案の定、Fさんの様子がおかしい。

F
F

次のターンで適応力回復のカードを引かないと死亡です…

しかし、(残念なことに!)なんとか1の回復カードを引いたF隊は生き延びる事に成功。だが当然、下山を余儀なくされる。

そんなFさんが下山し、天候が張れると共に人も掃けてきた。このチャンスに、サポーターを癒しのテントに収容し、アタッカーを遂に頂上へと向かわせる。カードも揃い、天候も良好。あとは勇気だけだ。

そして…、前人未到の頂上を制覇。地球は青かった。などと言っている暇もなく、命の危険を感じて下山準備。

計算通りにテントに帰り着いて一息。全てを出し切ったCOQ隊は、残り1ターンをテントの中でミカンを食べて過ごす。その間、Jさんが果敢にアタック。だが、1日足りずに頂上1歩手前で時間切れ。

ゲーム終了。天候を冬にしたにも関わらず、1名の死者もでない大人プレイとなった。

最終得点

COQ:16 F:13 J:12 Kun:11

プレイ時間 70分



総評

Bronze

テーマがゲームを劇的に面白くする好例です。ゲーム自体は比較的単純なハンドマネジメントですが、K2を表現した美麗なコンポーネントと「一寸先は死」の臨場感がエキサイティングな体験を産みます。

ゲームボードに書かれたマスは単純なゲームを想像させますが、K2登山は甘くなく、油断すればあっという間に死ぬバランスが見事です。登頂するには最悪な天候を想像しつつ、チャンスを見逃さずにアタックする度胸が必要。手札を整えて頂上を目指す瞬間は本当にドキドキしますし、テントの幕内から雪にぼやける頂上を望む気持ちです。また、慣れてくれば残りのカードの内容も考えられる中々戦略的なゲームです。

一歩一歩着実に、ルートと順応力を鑑みて登って行く様が登山をうまく表現していると思います。頂上へのアタックは見事にエキサイティングで、死が決定した時には絶望します。生き残る事が必須というのが面白いところです。K2という強大な敵に全員が挑むわけですが、登山というテーマのおかげで各自の得点がとてもわかりやすく競争できるところも良いです。

本当に、登山をしているかのような雰囲気が再現されています。繰り返しになりますが、テーマ性は抜群、2022年現在でも群を抜いた出来ではないでしょうか。

本作はソロでもエキサイティングな体験ができますが、マルチプレイには毎回のリスクトークン押し付け合いやルートの占拠等によるバッティング等、更なる楽しさがありました。単純に競争相手が見えているというのは燃えますよね。筆者の感想では、ソロプレイも面白いですが、このゲームはマルチプレイのほうがその真価を発揮すると思いました。

現在はテンデイズゲームズより拡張入りの「最高峰エディション(日本語版)」が発売されています。

購入先情報

駿河屋

ボードゲームK2 最高峰エディション 日本語版 (K2)
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