オイ!それは俺の魚だぜ!

オイ!それは俺の○○だぜ!

発売年2003年
作者Günter Cornett, Alvydas Jakeliunas
プレイ人数2-4人用
対象年齢8歳以上

ゲーム概要

貴様は今まで喰った魚の匹数を覚えているのか?

超さわやか系アブストラクト『オイ!それは俺の魚だぜ!』です(注:ここでは「抽象的な」ではなく「運の要素の低い」意でアブストラクトという単語を使用しています)。ドイツ語版は「Pinguine!」、英語版は「Hey!That’s my fish!」です。日本語のタイトル名は英語版を訳したもののようですね。

名作ゆえに様々なバージョンが発売されていますが、この記事で紹介しているのは彩色済みのフィギュアが付属したデラックス版です。いずれのバージョンも味があるのですが、このゲームを遊ぶなら筆者は断然デラックス版をオススメ。デラックス版に付属する各色4つのペンギン駒はいずれも表情が異なり、ゲームを盛り上げてくれます。単純なルールのアブストラクトだからこそ、ポップな見た目のフィギュアがゲームをよりさわやかにするのです(サイトRebootに際し、加筆して再掲)。

さわやかな閉じ込め合い

このゲームでは、ランダムに四角く並べたタイルをペンギン駒を用いて奪い合い、タイルに書かれた魚の匹数を競います。獲得できるタイルは動かした自分のペンギン駒が元々居た場所のタイル(移動元のタイル)です。ペンギン駒は好きな方向に好きなマス数だけ動かすことができます(*)。ただし、タイルの無い場所や、他のペンギンを飛び越すことはできません。

ゲーム終了時には、周りタイルがすべて無くなって孤立したタイルに乗ったペンギン駒を取り除く事によって、無駄無くタイルを回収する事ができます。最終的に、獲得した魚の匹数の多いプレイヤーが勝利します。ルールはこれだけ。超シンプル。このゲームを遊んだ後は「おい!それは俺の〇〇だぜ!」が流行ります。

(*)旧版では、ペンギン駒を何か(タイルのない場所や他の駒)に遮られるところまで動かすというルールだったようですが、現在の任意の位置で止まることのできるルールの方がより熱いです。

めちゃ悪そうなペンギン駒が付属

プレイ記

COQ(緑)、カジ(青)、JJ(赤)、ナカ(黒)と4人プレイ。

昔、通常版をプレイした時はそれほどときめかなかったが、デラックス版を手に入れてからは印象が激変して雰囲気の重要性を認識したゲーム。今回はオセロ日本ランカーのナカが参戦しているのでアブストラクト味のあるゲームとしてこれを遊ぶ。

まずはタイルをランダムに四角く敷き詰め、それぞれの駒を魚1匹のタイルの上に置く。4人プレイの時は各プレイヤー2つずつの駒を使用。人数が少なくなるにつれて使用駒は増えていく。

序盤はそれぞれ自分が狙っていた魚3匹のタイルへとまっしぐら。今回は、魚が集中していた中心部にペンギンが集中している。ペンギンは海(タイルの無くなった場所)を越えられない。あまり端っこに居ると海で囲まれて孤立させられてしまうので、警戒して中心部に集まってくるのがセオリー。まるで、氷上で体を寄せ合っているペンギンのようだが僕らの仲は悪い。

3手番目辺り、中央に集まっていたペンギン達が各々好きな方向へと移動したため、盤面が上下に分断される。下部にいるCOQペンギンをうまく操れば大きめの島を独り占めしてウハウハになれる可能性を秘めている。

しかし、そうはさせじと他プレイヤーも侵入してくる。なんだか混戦模様なので黒と青ペンギンを一緒に閉じこめてしまう作戦に出る。フィギュアがコミカルなので台詞も自ずとコミカルになる。

COQ
COQ

俺は東京に出てビッグになってやる!

流石のオセロランカーのナカはゲーム開始時に魚の総匹数を数えておかなかったことを後悔しながら、この島に残るか否かを熟慮しているようだ。

結局カジ(黒)の様子を伺ってから決断することにしたナカ(青)。一歩手前で止まり、カジの動きを待つ。こういう動きができるのが、現在のルールの良いところだ。

するとカジは残るか島ごと渡すかの選択を迫る1手を打つ。悪そうなカジペンギンが後輩に決断を迫る。

結局ナカはこの島をあきらめ、全ての魚はカジのものに。いくつかどう動いても取れないタイルがあるのものの、この島を独り占めできたカジが勢いづいて鬱陶しい。しかも、上部に居たもう1匹のナカペンギンも一緒に閉じこめてしまうというウルトラCまでやってのける。これでナカの魚総獲得数は決定。閉じ込められるとペンギンの獲得可能なタイル数が決定してしまう。公務員の年収のようにゲーム終了までに得られる魚の匹数が判明するのだ。

「このシャバ憎が!それは俺の魚だっつってんだろ!」

すかさず、JJがカジのウルトラC駒を孤立させ、カジも公務員に。その後はCOQとJJの一騎打ち。一触即発のにらみ合いだが、すでに獲得できるタイルは決まっている。そして、セオリー通りにお互いの島を分断してゲーム終了。残りのタイルを回収。

どうやっても取れなかったタイルだけが場に残され、ゲーム終了。

COQ:25 JJ:25 カジ:24 ナカ:22

魚は同数だったが、獲得したタイル枚数の多かったCOQの勝利。

ナカ
ナカ

オセロと違い、複数人でのプレイは読み通りに動かず苦戦しました

複数人での予測は皆が最良の1手を打ってくれないとなりたたないよね。

対戦の後に行った餃子パーティでは、当然「おい!それは俺の餃子だぜ!」が流行語大賞を獲得した。

総評

Silver

コミカルなタイトルやかわいい駒とは裏腹に、ゲームの中身は完全なアブストラクトゲーム。最初のランダムタイル配置を終えた以後は運の要素がまったく無くなります。しかし、ゲーム全体の雰囲気がコミカルなので、負けても残るのは軽い敗北感と次戦への欲求のみ。「もう一回!」となるのがこのゲームの魅力でしょう。初心者やカップル同士、子供と遊ぶのにもおすすめです。筆者の家では7歳の子供が大人顔負けのプレイをしています。

7歳児も十分に楽しめる

ゲームのタイトル「オイ!それは俺の魚だぜ!」は英語版のタイトルを訳したものと思われます。通常、ドイツのゲームが米国で流通する際に英語のタイトルが付せられると不評のことが多いのですが、こればっかりはアメリカ人のセンスに脱帽です。このタイトルと、それにマッチして作られた悪そうな駒がゲームの楽しさを何倍にも膨らませてくれていますね。現在、日本で手に入るのはコストを抑えたプラスティック製の駒が付属したバージョンなのですが(安いのでこれはこれでメリットがあります)、海外ではアクリル製タイルのようなバージョンも手に入るようです。

運の少ない陣取りゲームですが、ゲーム全体が持つ楽しい雰囲気に乗っかって、悪態をつき、笑いながら楽しむのが楽しいです。

本国では携帯アプリも出ている程の人気ゲームなのですね。このゲームをプレイした後はどうしても「オイ!それは俺の○○だぜ!」と言いたくなります。

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