Short Review
さあ漕ぎ出せ!壮大な…坊主めくりの世界へ
メーカー | Pegasus Spiele |
発売年 | 2014年 |
作者 | Alexander Pfister |
プレイ人数 | 2-5人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
2014年にペガサスシュピーレから発売された「ポートロイヤル」です。日本ではホビージャパンから発売され、完全日本語版の発売もありました。近々ビッグボックス(本体と拡張の同梱版)の発売の予定もあるようです。
いきなり超余談:ルックアウト調の見た目
まず、箱絵の妙にヘタウマな感じからルックアウトゲームズを思い出します。それもそのはず、アグリコラやルアーブルのアートワークを担当した人と同一人物がイラストを描いています。ルアーブルを買いにきた少年が間違えて手に取っちゃうこの感じ、悪くないです。コンポーネントはカードのみですが、中のイラストもおおむねこんな調子です。
同人ゲームからの出世作
本作は元々同人ゲームとして発表され、それが賞を受賞してメーカーから発行されるに至った経緯があるようです。TBGLゴールデンラズベリー賞の「ダブルエージェント」と同じアブナイ匂いがします。BGGでの評判も上々のようで、平均レート7以上を維持しています。なぜだかわかりませんが。
さあ漕ぎ出せ!壮大な…坊主めくりの世界へ
ゲームの内容は、”少し複雑な坊主めくり”です。チキンレースとも言えます。大きく分けて4種類(海賊船、建物(またはキャラクター)、指令書、徴税)のカードが混ざった1つの山から手番のプレイヤーが1枚ずつカードをめくっていき、数種類ある海賊船の同種2枚目をめくってしまうとそれを撃退できない限りドボンになり手番終了となります。ドボンのリスクを考えながら、適度なところでめくるのを辞めた後は、手番のプレイヤーがカードを一枚獲得し、次にその他のプレイヤーも手番のプレイヤーにお金を支払えばカード獲得のチャンスがあります。
ドボンの引き金となる海賊船は、カード獲得の段階ではお金となり、このお金を利用して建物を建てていくことになります。カードの獲得チャンスがあっても、お金がないと建物を建てる事は出来ません。建物には勝利点が付与されており、これを一定数集めることが終了&勝利条件となります。
また、建物には特殊能力が設定されており、「X枚以上めくるとお金が貰える」とか、「同種2枚目の海賊を撃退するための攻撃力+1」など、建物を建てることで次第に手番を有利に進められるようになります。また、指令書を達成することにより勝利点を効率よく延ばすことができます。指令書の達成にはその為の建物を建てる必要があります。
手番の手助けが何もないうちは慎重に手番をすすめて他のプレイヤーに決して遅れをとらないようにし、手助けを少しずつ増やして次第に大きな勝負をしていくゲームです。
総評
良く出来た同人ゲームという感じ。決して遅れをとらないように、リスクベースで手番をコントロールするのはルールを読んだだけだととても面白そうですが、良くも悪くも坊主めくりです。全てのカードが一山に凝縮されているため、(当たり前ですが)ゲーム上重要な海賊船がでる時はでるけどでない時はいくらめくってもでません。まったく海賊船がでなくて延々とカードを引き続け、プレイが冗長になることが度々ありました。どうせなら、「ダイスを降って海賊がでたら海賊のデッキから引く」としたほうが、ゲームをコントロールできたような気がします。一旦差がつくと埋める事が難しいシステムとカードの偏りが起こることの相性が凄く悪いと思います。このゲームについて興味があるのは、なぜこの言語依存ゼロのカードゲームを日本語版として発売しようとしているのかという一点のみです。手軽なチキンレースゲームとして重宝されている一面もなくはないようですが。