ストーンエイジ

パンがなければ、レンガを食べればいいじゃない

メーカーHans im Glück
発売年2008年
作者Michael Tummelhofer
(Bernd Brunnhofer)
プレイ人数2-4人用
対象年齢10歳以上

ゲーム概要

石器時代をテーマにした最高のワカプレ

石器時代の人類の生活をテーマにした「ストーンエイジ」です。メカニクスはワーカープレイスメントダイスロールの資源セットコレクションとなっています。盤面を見るだけでもワクワクしますが、ダイス運の揺らぎも含めたその内容も傑作の部類です。

実は、筆者は少年時代に読んだ「地底世界ペルシダー」の影響もあり、石器時代のテーマは大好きです。多分にひいきしてしまうかもしれません(ちなみにこの小説、ジュールベルヌ風の物語ですが、もっと荒唐無稽。ドリル船で地中に潜ってたら制御が効かなくなり、マントル向かって一直線。でも地球の中が空洞だったお陰で助かります。そしてそこには石器時代の人々が他の種族に抑圧されて暮らしており、主人公が大活躍。という血沸き肉踊る傑作冒険小説です。控えめに言って最&高。)。

ワーカープレイスメントの源流の1つ

各プレイヤーは、自分の家族のボードを1枚ずつ持ち、1家5人の駒と共にゲームをスタートします。この家族駒を石器時代の村を模した大きなボード上のアクションへ順番に配置していく事により、自分の家族に仕事を与えて1家の発展を促します。ただし、各アクションに配置出来る駒の数は厳しく制限されています。また、駒は各プレイヤーが時計回りに1カ所ずつ置いていくルールなので、自分の置きたい場所全てに置けるとは限りません。今やこのシステムは「ワーカープレイスメント」として広く認知されていますが、このゲームが発売された当時はまだそこまで一般的ではなく、「アグリコラ」「ケイラス」に続いてこのシステムを巧みに取り込んだゲームとして今でも「ストーンエイジ」の名前が挙がる程です。

革製のダイスカップまで付いてきます

ゲームボード上の駒を配置する箇所は大きく3つに分かれています。

家族駒を配置でいるエリア

① 子作り、開墾、石器作成という基礎能力向上エリア
② 食料を得るための狩り場、木材を伐採する森などの資材採掘エリア
③ 集めた資材で家を建築したりする勝利点獲得エリア

① 謎の小屋!

①の「基礎能力向上エリア」は非常に重要なアクションで、これを実行しないと家族の規模を大きくすることができません。皆でこぞって駒を配置するエリアのため、すぐに駒で埋まってしまいます。スタートプレイヤーとなるラウンドではまず間違いなくここに駒を置くことになるでしょう。「謎の小屋」の前に家族を2つ配置することで、新たな家族も生まれます。

② ヘイ!アリーナ!ストーンエイジはーーっ?

ステージからマイクを向けられたら元気よく「運ゲー!」と叫びましょう。このゲームはよく、ダイス運ゲーと呼ばれますが、それが良いのです。

②の「資材採掘エリア」は駒を配置した分だけサイコロを振り、出た目を資源の価値で割った数だけ採掘できるというトレジャーエリア。サイコロの目次第でゴールドラッシュもあれば、丸太一本なんてことも。例えば、木材を伐採する場合、サイコロの出た目/3の木材が、金の場合はサイコロの出た目/6の金が採掘できます。

駒と同数のダイスを振ることができる

③ 勝利に向けたセットコレクション

③の「勝利点獲得エリア」では、コレクションした資源を建物や市民カードという得点ボーナスカードと交換して勝利点を得る事ができます。ここで得られる市民カードには「家族の人数×2点」や「開墾している畑×1点」などがあるので、プレイヤーそれぞれの方向性は次第に変わっていきます。つまり、色々な勝ち方があるのですね。

個人ボード

建物タイルには自分しか使えないアクションマスがあります。ここで、コレクションした資源を勝利点にかえることができるようになります。

最後は食料!

これらのアクションを解決した後は、家族を食べさせなければなりません。「アグリコラ」と一緒です。石器時代は資源と同じくらい食料が大事なのです。ここで、食料が足りないと、資源か勝利点を支払わなくてはいけません。そして、甲斐性なしというあだ名が付けられます。

超余談:デザイナー名はペンネーム

余談ですが、デザイナー名として箱に記載されている「Michael Tummelhofer」というのはペンネームです。実はこのゲームのデザイナーはハンス社を設立した人です。つまり、社長の「Bernd Brunnhofer」その人なのです。Berndはこのゲームの発表に際し、資金的に援助を受けた「Michael Bruinsma」「Jay Tummelson」への謝辞として3人の名前を混合してペンネームとしたのです。

拡張セット:文明への第一歩

メインボードを覆うように配置

「ストーンエイジ」には「文明の第一歩」という拡張セットがあります。拡張セットを追加することにより、5人までプレイ可能になり、さらに装飾品(マンモスの牙)という要素が追加されます。装飾品は任意の資源と交換ができたり、新たなカード置き場のカードを手に入れたりすることに使えます。できることが増える良拡張です。

プレイ記

ホーマルさんあしかさんと3人プレイ。

ホーマル
ホーマル

このゲームはいかに木を切るかですよ。

その通り。実際、プレイしてみると彼の言っていることは正しい事がわかる。家を建築するときは、カードによって必要な資源が明記されているが、市民カードを手に入れる時は資源の個数のみが決まっている。従って、一番価値の低い木材で支払うのが一番お得なのである。

最初に5人の家族と食料を12もらってゲームスタート。3人プレイでは、①のエリアに誰か一人が駒を置くと、そのラウンドは誰も置く事ができなくなるという特殊ルールが適用される。

①のエリアは大概スタートプレイヤーで埋まってしまうので、下々の者は木を切ったり、石を切り出したりして日々を過ごす。資源がある程度たまったら、建築や市民カードで勝利点を稼ぐのだ。ゲーム概要にも書いたが、資源を手に入れるには、資源のエリアに駒を配置して、配置した数だけサイコロを振る。このサイコロの目を食料なら2、材木なら3で割った分だけ採掘できる。

しかし序盤、誰よりもこのゲームに慣れているホーマルさんのサイコロの目が奮わない。毎回、賽の目は期待値以下、ほとんどの場合、1が混じっている。一方、COQのサイコロは絶好調。材木王となりホクホクす。あまりに簡単に材木が手に入ったので、COQはこれを利用して建物を建てまくって勝利点を荒稼ぐ。 

材木が貯まる貯まる

それでも、ひたすら家族を増やし続けるホーマルさん。そんな大家族、喰わせていけるのか、大家族テレビ番組を見た時と同じ類の不安がよぎる。

案の序、賽の目の不運も相まって、彼は日々マンモスを追いかけるだけのプレイに。なにやら、たまに材木も食べているようだ(食料がない場合、資源で支払うことができる)。これも貧乏ゆえの凶行である。

賽の目の運に恵まれたCOQは、恵まれているうちに…と勝利点となる建物をどんどん建てていく。このゲームの終了条件は2つあって、そのうちの1つが4つの建物カードの山札のうち1つが無くなる事。したがって、ゲームを終わらせたい時には、重点的に一カ所の山から建物を建てまくればよい。ただし、建物カードはカードごとに必要な資源が異なるため、そう簡単にはいかない。

個人ボード

このまま逃げ切って勝利できるか!?という展開の中、狙っていた山の建物カードが要求する資源がなんと全種類に。木造の日本家屋ばかりを建築していたCOQはここで急激な伸び悩み。バブル終了。もう新入社員は採りません。タクシーなんてもっての他。みそ汁で顔洗っておととい来やがれ。

すると、初プレイでじっくりと手番をこなしていたあしかさんが、豊富な種類の資源を活用して建築を始め、じりじりと追い上げてくる。しかたなく、第2の終了条件、市民カードの枯渇を目指す事に。市民カードとは、上の大きな写真の左に並んでいる4枚のカードのことで、資源を支払って獲得する事により、ゲーム終了時にボーナス得点を叩きだすカードだ。

ホーマルさんはこのカードで「ゲーム終了時、家族の人数×勝利点」というものを集めていた。この他にも、市民カードには8種類のシンボルが描かれているものがあり、これを複数種持っているとその二乗分の勝利点がもらえるので、勝敗を左右する重要な要素となる。

優位なうちに終わらせようと、ひたすら市民カードの山を削り、ゲーム終了。最終得点計算。ぎりぎり勝っているはず。

しかし!なんとあしかさんが市民カードのシンボル8種全てを揃えていた。これだけで、8×8で64点。一気に青得点マーカーが2週目に。 赤のホーマルさんは終始マンモス を追いかけているうちに行方不明になった。COQはあしかさんにわずかに届かず、苦渋の2位。

プレイ時間60分

総評

Gold

雰囲気が最高。テーマがピッタリで、石器時代をたっぷり楽しめます。ゲームシステムとテーマが融合していると感じるほどです。ゲームの中核をなす資源を得る手段全てにサイコロが関わっているので、サイコロの目が伴わないとどんなに良い手を打っても勝てないため、運ゲーとして敬遠する人もいるゲームですが、筆者はそれでも好きなゲームです。この運ゲーの部分もゲームが進むとコントロールできるようになっていきます。つまり、揺らぎも計算された一部ということです。いかにもボードゲームをしているという体験ができます。

サイコロ以外にも、駒を嫌らしく配置して他人の邪魔をしたりと絡みどころは多数あり、手軽に楽しめるワーカープレイスメントの良ゲーです。ワーカープレイスメントのいやらしさが序盤のダイス運の揺らぎで消えていてとても良きです。3人プレイでは、①エリアに制限がかかるため、4人プレイだともっとスピーディに発展します。したがって、ベストは4人ですね。5人目はプレイ時間が長くなるので必要性に応じて。

なんで、ドイツゲーム大賞とれなかったのだろう(ノミネート止まり)。というぐらい、お気に入りのゲームですが、まぁ私の場合、ペルシダー補正がかかっているのかもしれません。テーマの融合もあって、ゲームのインストも楽です。

拡張セットは装飾品という新たな要素が加わり、より多岐に渡ったプレイが可能になります。必須ではないですが、良拡張の部類と思います。

購入先情報

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