ハリウッド

Short Review

ロシア産ハリウッドの謎

メーカーHobby World
発売年2013年
作者Nikolay Pegasov
プレイ人数2-6人用
対象年齢13歳以上

ゲーム概要

ハリウッド映画を作ろう

ロシア産とは思えない、ちょっと前のアメリカンドリームみたいな箱絵のゲーム「ハリウッド」です。名前の通りに想像を裏切らない、ハリウッド映画を作成するカードゲームとなっています。

基本的にはセットコレクションです。監督、俳優、脚本を基本としたカードのセットを作成し、3年(ラウンド)にわたって作成した映画を公開して得点していきます。カードは主に、競りとカードドラフトによって揃えていきます。カードにはレアなカードと普通のカードがあります。まずはレアなカードを前年度の勝者が1枚ずつ配り、その後で普通のカードを各自に7枚配ってその中から1枚ずつ選択しては残りを隣に渡していきます。ユーロゲームでは「世界の七不思議」でお馴染みのシステムです。その後、最後のレアカードを1枚、秘密ビッドの競りで獲得し、合計9枚のカードで映画を作ります。

映画には最低でも監督、脚本、俳優1人が必要なため、1ラウンドに最大3本の映画を作る事ができます。その他、演出家やエキストラなど特殊な効果を与えるカードも用意されており、役を作る事によって得点が高くなるようになっています。得点はそのままお金にもなっていて、次のラウンドで競りにつぎ込むことができます。また、各カードにはアクション映画や恋愛映画などのジャンルが付与されており、それらを集めることでも得点が高まるようになっています。さらに、ラウンドごとにオスカーシンボルのついたカードを最も持っていた監督にはアカデミー賞が与えられ、次のラウンドでカードを分配する権利が与えられます。

これはプロモカード

さて、映画ゲームというと実在映画のパロディが期待されます。おまけとして付属していたプロモカードはユニークなイラストの俳優カードでした。版元のホームページを見てみると、どうやら元のロシア語版には「ディカプ○オ」「シガニー○ィ―バー」等の俳優が採用されていたようです。

しかし、残念ながら多言語版でその要素は取り除かれてしまったらしく、全て均一なイラストが採用されていました。これは、ちょっと致命的です。

総評

駄目です。この手のゲームの大きな楽しみである実在の俳優や監督を揃えるという要素が欠落した時点で手足を捥がれています(逆にこれさえあれば多少のことは許されるのですが…)。おまけに、オスカー駒はどう見ても修道士です。

クニチーの「ドリームファクトリー」も版権の問題で新版に実在の俳優が登場しなくなり駄作となりましたが、これも同じ運命を辿っています。そもそも、版権の問題でロシアから出るときにこのような状態になることは分かっていた筈です。俳優が多少なりともユニークな状態でロシアの永久凍土に埋もれていたほうが幸せだったことでしょう。

また、必ず必要な3種類のカードが確実にゲームに登場するロジックが欠落しているため、誰も映画を作れないラウンドが発生する可能性があります。多人数であればまずないでしょうけれども、3人程度ではたまに発生します。

とにかく、俳優や監督、脚本に固有名詞のない映画ゲームなんて、アカデミー賞どころかラズベリー賞も危うい超ド平凡なドラフトゲームでしかありません。

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