ムシコナァーーーーズ!
メーカー | Zoch |
発売年 | 2005年 |
作者 | Reiner Knizia |
プレイ人数 | 2-7人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
虫を奪い合う鳥になりきるダイスゲーム
クニチーの熱狂系ダイスゲーム『ヘックメック』です。箱を開けると入っているのはドミノのようなセラミック製のプレート16枚と虫の面がかわいいダイス8つ。値段の割に、非常に良質なコンポーネントの材質にまず驚きます。
プレイヤーは箱に描かれている鳥になります。鳥の大好物は虫。ゲームの目的は「虫をたくさん獲得すること」です。鳥達はダイスを振り、プレートを獲得してそこに書かれた虫を獲得していきます。
勝敗を決するのは虫の数
手番では当然、ダイスを振ります。ダイスには1~5と虫の面があります。プレイヤーは8つのダイスを同時に振り、その中から好きな目をキープします。目をキープしたら、残りのダイスをもう一度振ります。そして、その中からまだキープしてない目をキープ…というようにゲームは進みます。
プレートの獲得条件を満たしたら、場から又は他のプレイヤーからプレートを獲得することができます。獲得したプレートは並べて置くのではなく、獲得した順に重ねて置いていきます。他のプレイヤーから奪えるのは一番上のプレートのみです。つまり、奪われにくい(数字の大きな)プレートを一番上に置いておくことで下のプレートを守ることができます。
手番にはリスクも付きまといます。手番の失敗は以下の3つ。
手番に失敗した場合、自分のプレートの1番上から1枚を場に戻さなくてはなりません。そして、場に出ている最も大きい数字のプレートが裏返され、ゲームから取り除かれます。ダイスゲームにありがちな後半の冗長性を調節して収束性を高めるための配慮と思われます。
裏返されたもの以外のプレートすべてが獲得されたらゲーム終了。最も沢山の虫を獲得したプレイヤーが勝利します。
プレイ記
カジ、JJ、ナカと4人プレイ。「キャントストップ」で冬山に散ったカジはダイスゲームというだけで震えている。
序盤は平和が常
手番は、JJからスタート。順調に目をキープし、数字を稼いでいく。
初手「26」を達成し、26番のプレートをゲットするJJ。最初のうちは、21〜プレートがあるので、手番を失敗することはあまり無い。でも、プレイヤー達はお腹を空かせた鳥なので、もっと虫が欲しい。
そしてカジ。無事に?「25」を達成し、プレートゲット。序盤なのでもっと攻めても良いが、相変わらず煮え切らない男だ。
続くCOQ、ナカもプレートゲット。未だ誰も失敗していない。緩やかな風の中、日のあたる草原で仲良く虫を分配している様にしなやかな展開だが、このゲームの序盤はいつもこうだ。
そして2巡目。JJもカジも無事プレートゲット。2段、3段とプレートが重なっていくにつれ、安心感が増す。
しかし!このゲームの勝負は、ほとんど後半に集中していると言っても良い。30近辺の高得点プレートしか無くなってからが、本当のヘックメック。8つのダイスでキープをしながら合計値30以上を目指す難易度は高いのだ。
「ムシコナァーーーズ!!」
そして待ちに待ったひととき!!カジの手番、サイコロ7つをキープして1・1/3/4・4/5・5(合計:23)。そう、虫がいないのである。サイコロの残りは1つ…
全員、ゲーム開始当初から用意していた一言がカジに浴びせられる!
「ムシコナァーーーーズッ!!」
ここからがダイスゲームの真骨頂
ここからは、今まで溜め込んだムシの吐き出しタイム。ダイスゲーム特有の、周りの景色がぼやけるような熱狂が押し寄せる。1投1投にまるで命でもかかっているかのようにダイスの目を慎重にかつ真剣にキープしていく鳥達。そしてこだまする、ムシコナァーーーーズ。
しかし、熱気とは裏腹にJJ、カジのプレートはどんどん場に吸収されていく。それにつれて場のプレートはどんどん裏向けられ、ゲームは終了に近づいていく。
ナカとCOQはお互いにプレートを重ねており、もはや余裕の展開。共にプレート1枚ずつ保有した、JJとカジのビリ決定一騎打ち。
最後は、カジが2枚目のプレートを獲得し、全てのプレートが獲得されてゲーム終了。
最もムシを獲得したCOQの勝利。ビリはJJとなった。
プレイ時間30分
総評
Bronze
きっとあなたもムシが好きになる
ダイスゲーム特有の熱狂がクセになる。絶対、脳内に快楽物質が分泌されていると思う。
ダイスを振るだけの単純なルールですが、それだけにすぐに盛り上がる事ができるでしょう。キャントストップと双璧を成す、ダイスゲームの傑作だと思います。
ここでやめるか、更に上を目指してあえてムシをキープしないか・・、悩みながらもついもう一度サイコロを振りたくなってしまう巧妙なクニチーの罠です。ただ、キャントストップと比べると、プレートを裏返すルールなどシステムは少しだけ複雑。
ダイスゲームの宿命として、ゲーム終盤にダレて冗長な展開になることがありますが、このゲームでは手番の失敗によりどんどん場のプレートが少なくなっていくデザインとすることでこの宿命を手当しています。それでも、(対応人数は7人までとなっていますが)プレイ人数が多すぎると他のプレイヤーからプレートを奪うチャンスが広がり過ぎて冗長になってしまうので、ベストは3人以下、ギリギリ4人位までが許容範囲と思います。
ゲームに使用するプレートは、陶器のような質感のセラミックで出来ており、触り心地満点。水に濡れたりしても大丈夫なので、宅飲み等の宴会の盛り上げ役としても活躍しそう。しかも、コンポーネントの割に値段が凄く安いのでお得です。箱が小さいので携帯性に優れるという利点もあります。
こんなに虫が出て欲しいと思いながらサイコロを振ることになろうとは。そして、ゲームの最後には必ずあなたもムシが大好きになるでしょう。