ヘックメックカードゲーム

やっぱりムシが好きになる

メーカーZoch
発売年2021年
作者Reiner Knizia
プレイ人数2-6人用
対象年齢8歳以上

ゲーム概要

16年の時を超えて調整されたヘックメック!

ムシコナーーズ!で有名な、クニチーのダイスゲーム代表作の1つヘックメック。虫を奪い合う鳥になりきるダイスゲームの傑作であった前作ですが、その大いなる盛り上がりの反面、収束性が悪く最終局面でダレるという欠点を抱えていました。そのせいもあり、公称7人まで遊べる仕様ですが”せいぜい3〜4人までが限度”という不文律がありました。

そんな傑作からダイスを廃し、カードゲームとしてクニチー自身がリメイクしたのがこの『ヘックメックカードゲーム』です。慣れ親しんだDoris Matthäusの最高のアートワークで2021年に登場した本作は、懐かしいヘックメックのルールに似ていながら、全然別のゲームとして調整され、良くも悪くも安定的な面白さを約束するゲームとなりました。

とにかくアートワークは100億点

筆者はDoris Matthäusのイラストが大好きなので、カードを眺めているだけでも楽しい気分になれます。ドイツゲームのアートワークといえば、Doris MatthäusかMichael Menzelでしょう。とにかく最高です。

奪い合う虫が描かれた牌は本家と同じくセラミック製。ドミノの牌と同じような仕様です。もちろん、ドミノ倒しを楽しむこともできます。前作の使い回しではなく、新たに虫の匹数などが調整されています。

カードゲームのタイルは虫の数が多くて少し数えにくい

ダイスの代わりに手札を出す

既に自分で出している種類のカードは出せない

初期手札として6枚を持ってゲームをスタートします。中央には、今回のラウンドで取り合う虫タイルがプレイ人数分置かれます。カードは1〜5と虫(数値は5扱い)の6種類。手番では、このラウンドで自分がこれまでに出していない種類のカードを1枚以上自分の前に出していきます。出せない、もしくは出したくない場合にはパスをしますが、ハードパスのため以降このラウンドでは手番が回ってくることは無くなります。カードを出した後は、自分の前に出したカードの合計値を宣言してからカードを1枚山札から補充して手番を終えます。

虫を出せなければ失敗!

パスをした時に、自分の前に1枚でも虫を出していれば成功、虫を出していなければ失敗です。失敗した場合は、場のタイルの最も数字が低いタイルを取得します。虫を1枚でも出してからパスをしたプレイヤーは、ラウンド終了まで結果を待ちます。最後のプレイヤーがパスをしたら、成功していた(虫を出していた)プレイヤー間で合計値順に虫タイルを取得していきます。

つまり、失敗したプレイヤーは合計値は関係なくパスした順に虫タイルを取得し、成功したプレイヤーは合計値順(パスした順に関係なく合計値が大きいプレイヤーが数字の大きいタイルを得る)に虫タイルを取得するということです。獲得した虫タイルは自分の前に積み重ねていきます。さらに、成功したプレイヤーは、合計値が他のプレイヤーの虫タイルの一番上の数値と同じ数字だった場合に、虫タイルを1枚盗むことができます。大きな数字を目指すのと同時に、合計値の調整を狙う作戦もあるということです。

虫あり(成功)で「19」ピッタリの合計値のため、右隣の19タイルを盗める

そして、最後にパスしたプレイヤー以外のプレイヤーはパスした際にカードを2枚山札から補充することができます。カードは常にカツカツであることは想像に難くないと思いますが、この2枚補充を受けるか最後までラウンドに残り続けるかのジレンマが発生します。

手札を減らしすぎないことが重要

約束された収束性と面白さ

本家「ヘックメック」では、虫タイルの奪い合いが発生した際に中々ゲームが終わらなくなる展開がありましたが、『ヘックメックカードゲーム』ではタイルの奪い合いが発生したとしてもキッチリと規定ラウンドでゲームが必ず終了します。ダイスを廃し、カードを採用したことで完全なる収束性を手に入れたというわけです。

なるべく手の内を見せないようにしながら、相手のタイルを盗む算段をしつつ、他のプレイヤーがパスをするまでお互いに水を張った洗面器に顔をつけるように我慢しながらカードを出していくゲーム…ルールを聞いただけで面白いことが想像できます。

規定のラウンドの後、最も多くの虫を獲得(タイルの数字ではなく、虫の匹数)したプレイヤーが勝利します。



プレイ記

あきおさん、えりえりと3人プレイ。

初期手札は6枚からスタート。虫カードにはユニークなナンバリング(写真では7)がされており、合計値が同数だった場合にはこの数字で順位を決する仕様だ。写真では見にくいが、虫の匹数は(21:2匹、31:6匹、35:7匹)である。2匹と6匹の差はデカい、従って最低でも2位以上になりたい、となるわけだ。

かといって、最初から全力でカードを出していくと次ラウンド以降にあっという間に息切れしてしまう。どこかのラウンドでは早々に撤退してカードを温存したいところだが、それはぜひ虫の匹数に差がないラウンドで遂行したいミッションである。

初手あきおさんは3を2枚、えりえりは1を1枚、COQはひとまず4を1枚出して様子を伺う。手番のたびに1枚カードを補充できるので、1枚プレイする分には手札は減らない。虫カードは手札にあるのでこの先の展開次第で出しても出さなくても良い。誰かが最初に脱落してくれれば、虫を出さずにパスをしても2位になれるからである。

あきお
あきお

4を1枚とかショボいんちゃうの〜?

すると手札補充で温存していた3を引き、3が3枚被る。カードの引きは超重要なので山札から引く手には自然と力が入る熱いドローだ。

第1ラウンドの結果、結局全員が虫カードをプレイする展開となったために最後まで全ツッパする羽目になったが、なんとか「ショボいんちゃうの煽りおじさん」を背にすることに成功して最も価値の高いタイルを獲得する。しかし、実は適度に力を温存して2位のタイルを獲得しているえりえりが一番有利な展開である。そして、そのゲーム巧者が毒手のような爪で第2ラウンドのタイルをめくる。

COQ
COQ

やっぱりそれって毎日毒の壺に浸けているんですか?

あきお
あきお

そうや、傷つけられたら死ぬでぇ

第2ラウンド早々にしゃがんだえりえりを横目に、あきおさんとの一騎打ち。結局COQはこの勝負から降りずに37のタイルを手に入れる。しかし!実は、えりえりの合計値は「21」であり、毎日欠かさずに毒の壺につけて育てた毒手で見事にあきおさんの虫を奪い取ることに成功。ドラマである。

以降のラウンド、虫の全くいない「0」タイルも何枚か登場する(プレイ人数によってタイルがランダムに抜かれるため、どのタイルが登場するかはわからない)。えりえりの毒手でふらつくあきおさんがこのゼロタイルを華麗に回収していき、勝負はCOQ対えりえりの一騎打ちの様相を呈してくる。

ラストラウンド直前、COQが合計値「19」を成功させ、えりえりからタイルを強奪する。しかし、ここまでえりえりのタイルは盤石。勝負の行方は?

最終ラウンド、このラウンドでは最早カード枚数を気にする必要はない。とにかく全力でカードを出していく。気にするのは山札から引くカードの被りで如何に合計値を稼ぐかだ。

結果、最終ラウンドの勝負ではえりえりの後塵を排したものの、合計数では4点差でCOQの勝利。4点差、実は終盤に奪った19(2点)が勝負を分けたのだった。

えりえり
えりえり

19のタイル獲られた差で負けた!悔しい!

COQ
COQ

毒手など効かぬのだよフハハハ。

あきお
あきお

これはヘックメックとは全然違うゲームやな。

最終得点

COQ:40 えりえり:36 あきお:33

プレイ時間30分



総評

Silver

やはりクニチーは天才。16年の時を超えてこんな調整をした作品を世に送り出してくるとは。「出目を成立させるためには虫が必要で、数値を合計してタイルを奪い合う」というルールは変わらないものの、ダイスをカードに変更したことによって全く別のゲームになっています。敢えてジャンル分けをするなら、PUSH YOUR LUCK(運試し)からAUCTION(変則的な競り)ゲームに変化しています。山札から引くカードは運試しですけどね。そういえば、クニチーは競りゲームのデザインにも定評がありました。

ぐるぐる手番を回して次第に競り上がっていくけれども相手のビッドを上回るのは後でも良いというところが面白い。また、虫を出せなければすべてが水泡に帰す可能性があり、同時に、降りるタイミングが良ければかなり手札の温存ができるというところも面白い。ダイスとカードでまったく異なるゲームになっているので、どちらが面白いかを語る関係性にはないように思います。

最後のパスではカードが補充されないというルールとプレイする数字の順番は問わないというルールのお陰で、競りから降りる駆け引きの奥が深くなっています。実は手番順がかなり重要な要素となっており、ゲーム中盤では手番順も考慮して早々に引き上げる読みも重要でした。総じて、このような洗面器ゲームは面白いです。

一方、ダイスゲームとしての盛り上がりや最高潮の熱さは当然ながらなくなっています。例えるなら、アベレージヒッターという感じです。いつプレイしても約束された面白さが期待できる作品と思います。収束性も高まっているため、フィラー(ちょっとした隙間時間を埋めるゲーム)としても使えるでしょう。美しいデザインです。

購入先情報

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