ブルータスお前もゾロ目か!
メーカー | Queen Games |
発売年 | 2009年 |
作者 | Stefan Feld |
プレイ人数 | 2人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
フェルトのデュエリスト用カードゲーム
フェルトの2人用ゲーム『アリーナ:ローマII』です。このゲームは、同じクイーンゲームズから発売されていた「ローマ」の続編です。この2作を混ぜて遊ぶことも可能です。プレイヤーは様々な効果を持つ特殊カードを使って、古代ローマの真の統治者の座を競います。
このゲームでは、テーブルの中央に「アイコンバー」と呼ばれる帯状のゲームボードを置き、アイコンバーを挟んで自分側を自陣、相手側を敵陣とします。このアイコンバーは、大きく分けて4つのエリア(ダイス目/賄賂/お金獲得/カード獲得)に分かれており、ダイス目または賄賂の前には様々な効果を持つカードをプレイすることができます。
自分の手番では、ダイスを3つ同時に振ります。このダイス目をアイコンバーのそれぞれのエリアに適用して、お金を得たり、カードの効果を適用したりしていきます。
ダイスの出目をカード効果や資金獲得に割り振る
ダイス目に適用すれば、それぞれの目にプレイしてあるカードの効果を適用できます。賄賂に適用すれば、適用したダイス目の分だけお金を支払い、プレイしてあるカードの効果を適用できます。さらに、お金獲得に適用すれば、適用した目と同額のお金を獲得でき、カード獲得に適用すれば、適用した目と同じ枚数のカードをひき、その中の好きな1枚を手札にすることができます。
カードには、人物と建物の2種類があり、それぞれが強力な能力を持っています。人物カードには、騎兵隊長や象兵などの敵陣への強力な攻撃カードがありますし、建物カードにもバリスタやアリーナ等の強力な攻撃カードと勝利点を爆発的に稼ぐ議事堂等のカードがあります。
相手を攻撃するには、自陣の攻撃可能なカードの効果をアイコンバーにより適用し、攻撃相手を指定して攻撃用ダイスを振ります。このダイス目が、指定したカードの防御力以上の目なら撃破確定。敵陣のカードを捨て札とします。また、さまざまなカードの支援効果でこの出目に影響を及ぼすことができます。
相手のカードを破壊して勝利点の均衡を崩せ
手番の最初に、「空き地の評価」が行われ、カードをプレイ出来る場所(ダイス目6カ所と賄賂の計7カ所)にカードが無いと1ヵ所ごとにペナルティとして勝利点を1点失うので、撃破されるとかなり痛いです。逆に言うと、相手のカードを破壊することによって勝利点を削っていくゲームとも表現できます。
カードをプレイするには、カードごとのコストを支払います。強力なカードほどコストも高いので、お金アイコンに大きなダイス目を適用して、一生懸命お金を貯めなければなりません。そうなると、目の大きいダイスには強力なカードを置きにくくなります。中々悩ましいシステムです。
ゲームの勝敗は、以下の条件で決まります。
尚、ダイス目が被った場合は、一纏めとして扱わなくてはなりません。手番にできることが狭まるので、基本的には不利です。被ったダイスを振り直すことのできるカードがあるくらいです。しかし、この目が結構被ります。ダイス目被り(ゾロ目)が連続すると、一気に窮地に追い込まれます。
プレイ記
自宅ゲーム会にて、ヒロシ、カジ、JJと2:2でチーム戦(チーム戦=相談しながらの通常ゲーム)。
両陣営、勝利点を10点と専用ダイスをもってゲームスタート。
COQ&JJ(CJ軍) 対 カジ&ヒロシ(カヒ軍)
最初に、双方5枚ずつのカードを貰い、そのうちの2枚を相手と交換する。初回のみ、この5枚を自陣アイコンバーの好きなところに無償でプレイできる。スタートダッシュにはこの選択が重要である。
こちらに配られたのは、象兵/バリスタ/神の像/幸運の女神/カッシア通り。「幸運の女神」は手札を交換するカードで、手札0からスタートする序盤はあまり必要ないということで一致。神の像はお金を払う事によって相手の好きなカードを1枚破壊できるという、強力なカード。防御力も最大の6。
ヒソヒソ(しかし、神なのに金次第って凄いですね)
ヒソヒソ(いいんだよ、世の中金が重要だってのは日本の政治家も体を張って訴えてるじゃないか)
「カッシア通り」という左右のカードをコピーすることのできるカードを残したいCOQ派と「神の像」を残したいJJ派に別れたが、コスト9のカードを無償でプレイ出来る利点を語るJJを信じて、神の像/バリスタ/象兵を残す超攻撃的布陣で勝負することに。
いざ、それぞれの陣営を初期配置してみると、城門(山札の一番上のカードを空いている場所に無償でプレイ出来る、強力な守りカード)を2つ(カッシア通りを加味すれば3つ)も配置した守りのカヒ軍と、ほとんどが攻撃カードの攻めのCJ軍にくっきりと別れていた。
最初の手番はCJ軍からスタート。7箇所のうち最初に埋まっているのは5カ所のみなので、2勝利点を失う。この失点は、ライフをいきなり20%削られたようなもので、かなり痛い。そこで、両陣営ともに、まずはカードを引き、空き地にカードをプレイしていく。
このゲームには、勝ち方が2通りあるが、攻めの手札を選んだ時点で、相手の陣営のカードを撃破し、空き地の評価で勝利点を削る戦法を選択したようなものである。
次の手番からは、間髪いれず、バリスタが火を噴き、象兵が突進し、神の怒りが降り注ぎ、カヒ軍のカードを破壊していく。バリスタは前面3枚の建物カードのうちどれかに強力な攻撃を仕掛ける事ができるし、神の像はお金が貯まり次第、スナイパーのように敵陣のキーカードを破壊することができる。
カヒ軍には攻撃のカードが無いため、防戦一方。破壊されたカードの跡地を城門の効果でひたすら埋めていくという展開。しかも、よく見ると、”両側の”カードをコピー出来る能力を持つ「カッシア通り」のカードを端にプレイするという愚を犯しているす。これが後々まで響いた。
空き地の評価は手番の最初に行われるので、次第に両陣営の差が広がっていき、CJ軍に漂う楽勝ムード。しかし、ここからが大変。あと少し、というところまでは行くものの、あの手この手で復活するカヒ軍。このゲーム、大逆転も可能なゲームバランスである。ついには、同点付近まで復活し、すわ大逆転!と沸き立つヒロシとカジ。
しかし、この後カジの出す、奇跡としか言いようのないダイス目が、カヒ軍を滅亡に導くのであった。まずは、バリスタの攻撃で左端に孤立した「カッシア通り」をアクティブにする1のゾロ目。しかも、コピーする対象が無いので空振り。しかしこんなのはまだ序の口。
まかせてください。よしっ………コロコロ………うわっ!
なんと、ゾロ目の5。その後も、要所要所で計4回もゾロ目を振るカジ。奇跡的な失態である。
もう嫌ですよ、振るの……
これだけアシストしてもらえば、あとはゆっくりとカードを破壊して勝利点を削るだけ。しっかりと仕留めたCOQ&JJの勝利。
ヒロシ、敵は3人居たな。気の毒に。
総評
Bronze
フェルトの作品としては珍しい2人用のカードゲームです。デザイナーとしての懐の深さを感じさせてくれます。こう見えてカードバランスは取れており、トレーディングカードゲームのデュエルのようにシーソーゲームの熱いプレイが楽しめます。
別の機会に、1対1でもプレイしてみましたが、カードの全容を把握すると、より熱くプレイする事ができました。一方的な展開にはなりにくく、粘りながら起死回生の1手を打ったりすることができるので、秋の夜長に仲の良い友人とプレイするのに最適です。
このゲームは「ローマ」と混ぜる事もできますし、「アリーナ」を2組を使用して、完全な個有デッキ戦を行うこともできるようです。この方が本作の真の面白さを感じることができるかもしれませんね。