コンセプト キッズ(アニマルズ)

彼らは生まれながらの革新者である

メーカーRepos
発売年2018年
作者Gaëtan Beaujannot他
プレイ人数2-12人用
対象年齢4歳以上

ゲーム概要

2014年にドイツゲーム大賞にノミネートされて話題となった「コンセプト」。同デザイナーがこれをキッズゲームとして発表したのが「コンセプト キッズ」である。お題の内容を子供が知っている動物に限定し、本家コンセプトと同様に盤面のアイコンを使ってプレゼン&回答するゲームとなっている。全員が協力し、12枚出されるお題カードをなるべくたくさん正解することを目指す、協力ゲームである。

実はこのゲーム、2019年のドイツゲーム賞の子供ゲーム賞(Deutscher Spiele Preis, DEUTSCHEN KINDERSPIELE2019)を受賞しているが、日本では殆どその存在が知られていない。

ルールは非常に簡単:

基本ルール

・お題カードを12枚引いておく(残りのカードは箱に戻す)
① お題カードをカード立てに挟み、子供達だけで見る
② 子供達が1人ずつヒントを出していく(ボード上のアイコンに枠を置いていく)
③ 大人が答える(子供達は正解か不正解かのみ答える)
④ 正解できれば1ポイント獲得
⑤ 子供達がこれ以上ヒントを出せないとなった時点で正解していなければ0ポイント
・12枚の問題を消化した時点での合計点を記録する

基本的にはこれだけ。とても単純なルールだ。公式のヴァリアントルールとして、出題を子供1人ずつ持ち回りで担当することもできるが、この場合には、24枚のお題カードを引いておき、毎ラウンド2枚ずつ使う。どちらか好きな方をお題とし、選択しなかった方は箱に戻す。2枚使うのは、お題につまずく可能性を下げる工夫と思われる。

お題のカードには言語依存はない。うちの5歳児は箱絵の「?」を構成している動物の名前をすべて答えることが出来た。したがって、ほとんどの動物は日本人の子供でも答えられるだろう。お題カードにはEasyとDifficultが計110枚入っていて、一応、カードと動物名の一覧表も同梱されている。これらを混ぜることでも難易度調整が可能となっている。

このゲームのポイントは「出題者は子供」というところである。その理由は最後に記載する。



プレイ記

自宅にて5歳児(シュウ)・2歳児(ほぼ見学)、AMIとプレイ。Easyカードで。

お題は「リス」だった

まずは手始めにAMIが問題を出してみる。説明書に例題が載っていることには後から気付いた。植物食で地面を歩き、オレンジ色で小さくてフサフサ。誰も答えられない。

COQ
COQ

一瞬「リス」かと思ったけど、地面を走るから違うよね

AMI
AMI

それ!移動のところ一箇所しか置いちゃいけないのかと思ってた。

説明のためのリングは何箇所に置いてもいい。それより、1箇所しかダメだと思ったなら迷わず木登りだろうが!

このように、何箇所にリングを置いても良い。1箇所なら普通は木登りを優先すると思うが・・。

でも、とりあえずこのデモンストレーションでシュウは遊び方を掴んだようだ。そして本番、シュウが出題者となる。

5歳児が出題者となる。

水の中を移動する、青色、くちばし。ヒントはこれで全部だという。AMIは答えられない。しかしCOQはひらめいた。みなさんはわかるだろうか。

COQ
COQ

イルカ!

正解!!これが子供の感性である。大人だと、どうしてもイルカの口をくちばしと例えることができない。しかし、そう言われてみればこのように見えなくもない。これを一瞬で出題できるのがまだ創造性を失っていない子供の成せる技だ。驚いた。

この後もシュウは終始目を輝かせて出題していった。何度も延長戦となり、結局20分のゲームを2時間遊んでしまった。AMIのリス以外は殆ど答えることができた。今後はDifficultのカードも混ぜて遊んでみても良さそうだ。

総評

Bronze

キッズゲームには2種類あると思う。ルールがシンプルで原始的な欲求を刺激して楽しむというポイントは共通しているが、1つは大人も一緒に同じ楽しみを感じられるもの、もう一つは子供と大人で違う楽しみを感じるものだ。このゲームは後者のキッズゲームである。

このゲームは大人も一緒にゲームとして同じ感覚を楽しもうと思ったら、「簡単すぎる」などの理由で評価は低くなるだろう。しかし、ルール説明の項で触れたように、このゲームの肝は「出題するのはキッズだけ」というポイントだ。大人が参加する場合に、キッズと同様の役回りはルール上もまったく求められていない。この点を理解すると、このゲームの購買層は限定的となる反面、その価値が高まることだろう。

本家コンセプトでも同じだが、人間は基本的に自己表現をしたい動物であり、共感を心地よいと感じる動物である。ましてや創造性を失っていない子供達が「表現をする機会」を与えられたら、その可能性は無限であり、その喜びは将来のクリエイティブな才能に大きく磨きをかけるに違いない。実際、我が家の5歳児はキラキラと目を輝かせて2時間も遊んでいた。

子供は本能的な楽しさで時間を忘れ(そして、子供達は自分に自信を持ち、推測する楽しみを知り、図鑑などを読む時に動物の外観の特徴や動きなどに興味をもって学べるようになる)、大人は子供の成長と意外なクリエイティブな一面を見て時間を忘れる。そんなゲームである。もちろん難解な動物クイズとしても答えるのは十分楽しかったけれど。

また、協力ゲームであるので、全員で協力して最高得点を目指すという点も家族で楽しむにはプラスポイントであるし、今やIQよりも重要とされるEQ(心の知能指数)を育んでくれるような気がする。

いわゆるボードゲーム子育てのような目的に当てはまるゲームかもしれない。想像上の動物をお題にしたプロモカードがあるらしいが、現在は手に入らない。しかし、想像上の動物の認知度は子供によって大きく異なるので不要と思う。図鑑などで自分でお題を作る方が有用だろう。また、成長したら「ポケモン」カードなどで出題しても面白いかもしれない。

明日もこのゲームで遊びたいと寝言のように呟き、子供達は眠りについた。

購入先情報

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