何を言ったかじゃない、どう理解されたかが重要なんだ
メーカー | Libellud |
発売年 | 2008年 |
作者 | Jean-Louis Roubira |
プレイ人数 | 3-6人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
ユーロゲーム史に新たな潮流を産んだゲーム
2010年のドイツゲーム大賞受賞作「ディクシット」です。フランス産のゲームである本作は、後のボードゲーム史に新たな潮流を生み出すほどの影響を及ぼした作品となりました。
このゲームでは、84枚のユニークな絵の書かれたカードを使用します。1人のプレイヤーが語り手となり、自分の6枚の手札の中から1枚を選び、そのカードを連想させる文を全員に伝えます。この文は、ただ一言でも、長い文章でも、時には擬音でもかまいません。
次に、他のプレイヤーは自分の手札から「語り手の文」に最もマッチしていると思うカードを選びます。一旦、選ばれた全てのカードを語り手に裏向きに渡した後、語り手がシャッフルして公開し、語り手以外のプレイヤーが「語り手が最初に選んだカード」だと思うものに、チップを使って投票していきます。
この時、全員が語り手のカードを当ててしまうと、語り手は得点を得る事ができません。また、語り手のカードを誰も当てる事ができなくても語り手は得点を得る事ができません。難し過ぎても易し過ぎても勝てないという巧みなシステムです。
一方、他のプレイヤーは、語り手のカードを当てた場合と、誰かが自分のカードに投票してくれた場合に得点をすることができます。こちらも上手く出来たルールです。
この得点を、最も沢山稼いだプレイヤーが勝利します。詳細はプレイ記で。
凝ったコンポーネントと追加可能な続編
驚いたのは、立派なカード。通常のカード倍ぐらいある大きさのカードに、とても素敵な絵が書いてあります。しかも、84枚全て違う素晴らしい絵です。箱はそのまま得点ボードになっており、中央にカードがスッポリと入るカード捨て場が付いていました。
しかし、実はこの得点ボード、安定感が悪くしかも邪魔なのです。良くできているのですが、これがかさ張るお陰でカードを中央に置く事ができません。外周が得点で中央に見やすくカードを配置できる仕様だったら、と思っていました。
その後、ディクシットの成功を経て新たなカードセットや続編(「ディクシットオデッセイ」等)が発売されます。これらのカードサイズと裏面のデザインはすべて一緒なので、混ぜて遊ぶことができます。そして、ディクシッとオデッセイには見やすい得点ボードとペグ付きの投票ボード、そして続編のカードをすべて収納できるトレーが付属していました。「ディクシット」はこれらをすべて集めて完全体となったと言えるでしょう。プレイ人数も12人までに増えます。
初代「ディクシット」、「ディクシット2」、「ディクシットオデッセイ」を揃えるとカード総数は約250枚となります。チーム戦などのルールも追加されていますので、気になる方はこちらから日本語ルールをどうぞ。
印刷して遊べるPrint & Play版
長引くCOVID-19の在宅の時間を、家族が少しでも健やかに過ごせるようにとの願いを込めて、自宅のプリンタで印刷して遊べるPrint & Playバージョンを公開してくれています(リンク先:Asmodee社Print & Play)。初代ディクシットの84枚のカードのうち、36枚を印刷して3〜4人で遊ぶことができます。ルールは基本的に変わりませんので、こちらに公開している「ディクシットオデッセイ」の日本語ルールを見れば遊べると思います。遊んでみて面白かったら是非Asmodeeのゲームを購入してあげましょうね。
プレイ記
自宅ゲーム会にて、会社の後輩ヒロシ、カジ、JJと4人プレイ。
まず最初に、カジが語り手となった:
お題は「さよなら」です
各自が「さよなら」というお題でカードを選び、場に伏せてシャッフルしてから公開していく。その後、カードは左から順番に1・2・3・4と順番をつける。
手札にもよるが、いろいろなカードが出されるので、それだけでも「人それぞれ感じ方って違うんだな」感心する。ちなみに、左から2番目がCOQのカード。3番目は怪獣に喰われそうなヒト。これで「さよなら」という残酷な人間が混じっていることが判明した。
このラウンドの正解は・・・「1」番 クマが涙を流しているやつ。全員正解、カジ0点。素直過ぎる。
次はヒロシ:
お題は「パーティ」です
各自「パーティ」というお題でカードを選ぶ。これまた簡単すぎ、全員が「2」を選んで正解。ヒロシ0点。しかし、JJの出した「4」はどこがパーティなのだろう。病んでないか?
次はJJが語り手:
お題は「明日」です
各自「明日」というお題でカードを選んでいく。4枚とも微妙な絵で、どの明日も選びたくない感じである。手札からしか選べないので、やむなくカードを選ぶこともある。ちなみにCOQのカードは「4」である。
結局正解は「3」。今度は難しい過ぎて誰も正解できず、JJ 0点。その分、カジとヒロシが「4」に投票し、COQが点数獲得。しかし、「明日」で2のカードを出すとは、やはり誰か病んでいないか?ヒロシとカジのどちらだろう。
後日談であるが、実はJJは次の日デートだったらしい。わかるわけがない。
再び、ヒロシが語り手となった:
お題は「月曜の俺」です
どうやらヒロシはこの前日、会議でコテンパンにやられ、「月曜日」に大きな仕事を残したらしい。そこで、選ばれたのがこのカード達。若手の月曜日が暗いのばかりだがこの会社は大丈夫なのだろうか。
結局、正解は「2」でCOQの予想は当たった。「1」はあまりに簡単。「3」は自分のでした。病んでいるのはこの男かもしれない。
そして最後、JJが語り手:
お題は「カジ」です
「1」のオルゴールの家みたいなところに一人残された少年は良いとして、それ以外のカジのイメージって一体・・。
どのカジも、文字で書くとパッとしない。このラウンドでCOQの出したカードは「2」火事つながりで得点を狙う。結局正解は、「1」で見事当てることに成功。しかも、火事インスピを感じた別のプレイヤーが居たため、二重得点。「4」を選んだ人が居なくて良かったな。
結局、COQが最高得点で勝利。終始笑いの絶えない楽しいゲームで評判はとても良かった。
総評
Silver
このゲームが大賞を受賞した時、正直驚きました。これまでの受賞作と毛色が大きく異なるコミニュケーションゲームであったからです。しかし、プレイ記にもあるように相手の人柄や内面を見ることができるし、勝敗の部分もゲームとして成立しているのでとても面白いゲームとなっています。身内でやるとさらに面白くなります。
カードはサイズが大きく、素敵な絵を一層素敵に見せます。実は絵柄も素晴らしくて、他のイマジネーション系のゲームと比較してもカードの物語性がずば抜けています。これもこのゲームが面白い理由の一つだと思います。よくよく絵を見ると、色々とイメージ出来るように工夫して描かれていることが伝わってきます。ルネ=マグリットのような不思議な絵が多いのですね。
このゲームが発売されて以来、コミニュケーションゲームが人気を博して様々なゲームが発売されるようになりました。これは、ディクシットの功罪だと思います。ゲーム史に新たな流れを生み出した反面、どうしようもないゲームも多く生み出してしまいました。それだけ、このゲームの登場にインパクトがあったということでしょう。やはりこのゲームの功績の部分を評価しないわけにはいきません。
このゲームはコミニュケーションゲームの頂点の一つとしてコレクションしておいて良いゲームだと思います。創造性に富んだコミニュケーションゲームを楽しみましょう。物語の扉を開けるのは、プレイヤー自身です。
コメント
[…] 都合3つ目のDixit。今まで発売された「Dixit(レビュー記事)」「Dixit2」のコンポーネントを全て収納できるという便利な機能を備えたバージョンです。Dixitと言えば、フランス生まれのドイツゲーム大賞受賞作。コミュニケーションゲームの流行を牽引したゲームで、シャレオツなゲーム性から、合コンアイテムとしても利用されてしまうゲーム。今作「Dixit オデッセイ」も、基本的な要素は一緒です。 […]