切り上げか切り下げか、そこが問題だ
メーカー | Gryphon他 |
発売年 | 2007年 |
作者 | Stefan Dorra |
プレイ人数 | 3-6人用 |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲーム概要
シュテファン・ドラ作の競りゲーム「フォーセール」です。日本語版(コンパクト版)も発売されており、幾つかのバージョンがあります。コンポーネントの比較は最後のほうで。
ゲームは2段階の競りゲームで、与えられた資金で不動産を落札し、その不動産を高く売って、より高額な小切手を手に入れることを目指します。
不動産には1〜30までの価値のものがあります。それぞれに素敵なイラストが書かれていて、楽しいです。
前半では、資金をビッドしてより高い不動産の獲得を目指します。
こちらは後半で仕様する小切手カード。残念ながら、旧版から大きくデザインが変わってしまい、小切手らしくなくなってしまいました。ものすごい改悪です。
前半の競りでは、不動産カードを人数分表向けます。これらのカードに対して、「パス=脱落」の競りを時計回りに行っています。
競りとは言っても、一人勝ちの競りではなく、各人が1枚ずつのカードを手に入れる事ができるシステム。
ここがゲームの肝ですが、パスしたプレイヤーから、場の価値の低いカードを得られるのです。そしてこの時、今までビッドしていた額の半分をストックに支払います。最後まで粘ったプレイヤーは最高価値の不動産を手に入れる事が出来ますが、ビッドを全額支払わなければなりません。
続いて、後半は小切手の奪い合い。小切手には、0〜15000ドルのものがあります。
同じく人数分の表向けられた小切手を手に入れるべく、前半で手に入れた不動産カードを裏向きに1枚ずつだし、一斉に公開します。全員が同じ枚数の不動産を獲得できているというところがここで活きてきます。最後まで全員競りに参加できるわけですし、必ずしも突出した不動産カードを落札していたプレイヤーが勝つわけでもないということです。
こうして全ての不動産を売却し、最も手元に資金の残ったプレイヤーが勝利します。
プレイ記
TBGL宮原ゲーム会にて、ちきさん、JOSSさん、流さん、ほーまるさん、Kunさんと6人プレイ。コンポーネントは流さんに持ち込んで頂いたスバラ式旧版(この人は本当に良いものの目利きに優れている)。
最大対応人数の6人プレイなので、盤面には毎回ずらっとカードが並ぶ。価値ごとに違う絵柄が楽しくて、もうお気に入り。
お金は大事だよ〜というアヒル的な考えで、相場感の様子見のため、初回はマンホールハウスで我慢。後半になるほど、お金を持っていることが相手へのプレッシャーになるから。
何もビッドせずにパスをすれば、タダでカードが手に入る。
次のラウンド、第一ラウンドでお金を沢山使用した人達を尻目に、安価で良いカードを手に入れる。
そして現れる価値1の不動産。
クスクス
「あれ、○○さんの家だよ」
アハハ
みたいな。
冗談はさておき、かなり価値の高い28、29の不動産がまぎれている。このゲームは、最後まで粘らなければビッドの半額が戻ってくる。
こういう状況下で、如何にして直前で競りを降りて、安く良いカードを獲得するか。手番順、周りの所持金等の情報を頭の中で整理しながら慎重にビッドする。可愛い絵柄とは裏腹に、シビアな瞬間。
ここは見事、半額のビッドで28を手に入れる事に成功
まだまだ残る潤沢な資金で、それなりに価値の高いカードを獲得して前半折り返し。
続いて後半、今度は手に入れた不動産を売却していく。旧版の小切手はデザインも良く、何より単位が一桁違う。視認性は悪いけどね。
まずは、マンホールハウスで様子見。前半の初手と同じく、周りの相場感と疲弊を待つ。
残念ながら、初手は価値0$の小切手を掴む羽目に。まぁ、マンホールハウスだしね。
次のラウンド、14の不動産で120万$の小切手を手に入れる事に成功。残りのラウンドは、価値の高い不動産で順当に小切手を獲得してゲームセット。
様子見作戦がうまくいってCOQの勝利。
プレイ時間:20分
総評
Bronze
コンポーネントに関係無く、単純にゲームの面白さは太鼓判。
競りゲームというと、相場感やらで初心者には取っ付きにくいイメージがありますが、このゲームでは、全員がカードを手に入れる事が出来るシステムや、単純なカード構成とビッド方式のお陰で楽しみ易いと思います。
分かり易い競り方式だからゲームが単純かというとそんなことはなく、特に、競りを降りるとお金が半分帰ってくるというシステムが素晴らしく、所々でヒリつくような展開が楽しめます。繰り返しになりますが、情報はそれ程複雑でなく、全て公開されているので、あまり考え込まなくても展開の悩ましさを味わえるのが良いですね。よってプレイ時間も30分以内には収まりそうです。6人まで遊べるという仕様が何気にゲーム会で利便性が高いです。猫型ロボットじゃない方のドラちゃんは良いゲーム作りますよね。
コンポーネントに関係なく、旧版と新版の半額に関するルール(切り上げ、切り下げ)は、ゲーム開始前に皆で話し合って決めれば良いと思います。管理人は旧版のほうが好きです。
以前、日本語版が発売されましたが、残念ながらこれはGryphon Gamesのコンパクト版がベースとなっています。これに限ったことではありませんが、Gryphonのカードは刃がなまくらなのか、切り口がイマイチ。そして、不動産のカードイラストはそのままなので良いのですが、小切手カードにセンスを感じることが出来なくなってしまいました。しかも、単位が1桁下がり(ミス?)不動産なのに数百万円で買えてしまう計算。さらに、コンパクト版に付属するコインはカードから切り取るもの。通常のゲームに付属するような型紙ではなく、雑誌の付録のようでダメです。日本では手に入りにくいゲームであったので、これを日本語化して発売したメーカーには敬意を払いたいですが、私はこの仕様でこの値段は高いと思います。
私はFX版の初版をコレクションとして所有し、上記コンパクト版を遊ぶのに使っています。
①通常版コイン(デザインは新旧で違います)
②日本語コンパクト版コイン(カード切り抜き)
③旧版小切手
④新版小切手
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