胸躍るような冒険さ! …挑戦する勇気さえあればね
メーカー | Gamewright |
発売年 | 2010年 |
作者 | Matt Leacock |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲーム概要
お宝に辿り着くと沈む島の協力ゲーム
協力ゲーム『禁断の島』の紹介です。作者は有名な協力ゲーム「パンデミック」と同じデザイナーです。
このゲームでプレイヤーは、協力して禁断の島の財宝を獲得していきます。しかし!この島はその財宝を守るため、深海へと沈む仕掛けが施されているのです。プレイヤー達は各自に割り当てられたキャラクターの能力を利用して島が沈む前に4つの財宝を獲得し、ヘリポートから全員揃って脱出しなければなりません。
リプレイ性のあるモジュラーマップ
島は24枚のタイルで構成されています。配置は毎回適当にランダム。24枚の島タイルの中には、脱出の為に必要なヘリポートが1カ所と、財宝が隠された土地が4つの財宝それぞれについて2カ所ずつ、合計8カ所あります。また、扉のタイルは各キャラクターが降り立つ場所です。
プレイヤーは最大5枚まで財宝カードを持つ事が出来ます。財宝カードには、4つの財宝のうちいずれかを示すカードもしくは特殊カードが入っています。同じ絵柄の財宝カードを4枚集め、財宝が隠された土地に到達できれば、その財宝が手に入ります。財宝カードの受け渡しは、駒同士を接触させて行います。
どんどん沈む島!
島は、浸水カードに示された場所から沈んでいきます。各プレイヤーのアクションの後、浸水スピードを表すメーターの枚数分だけ浸水カードをめくり、出た場所が容赦なく沈みます。島の沈没には2段階あり、1度目の浸水ではタイルを裏返して灰色の状態にします。この段階であれば、アクションを一つ消費して排水を行い、元に戻す事ができます。しかし、同じ場所がもう一度浸水してしまうと、その場所のタイルは完全になくなり、復活もできません。したがって、ヘリポートが無くなったり、まだ獲得していない財宝の在処が無くなったりすると即ゲームオーバーです。
財宝カードの中には、今居るマスの全員を連れてどこかへ移動できるヘリカードや、好きな場所の浸水を復活できる砂袋という便利なカードも混じっています。ヘリカードは脱出の時にも必要です。そして、嬉しくない事に、財宝カードの中には水位上昇カードも混じっています。このカードを引いてしまうと、浸水スピードメーターが1つ上昇し、島が沈むスピードが早くなります。しかも、今までに引いた浸水カードが山札の上に戻るため、島が沈没してしまう可能性が高まります。浸水スピードも、ある一定以上まで達すると即ゲームオーバーなので注意が必要です。
いつ沈むかわからない地面の上に立ち、如何にしてリスクを最小限に留める1手を打つかに頭を悩ませる、協力ゲームの名作です。
超余談:版違い
本作『禁断の島』のドイツ語バージョンはシュミット社から発売されていました。筆者の所有しているドイツ語版は、冒険者の駒が彩色済みのフィギュアになっています。ドイツのゲームでは珍しい仕様です。
プレイ記
のっち、ヤスと3人プレイ。果たして、幼なじみと共に財宝を獲得し、無事脱出して祝杯をあげることができるか?
こちらが今回の禁断の島。なんといきなり6つも沈んだ状態からのスタート。厳しい!最初に沈んだ6つのタイルの中に、「海の杯」の隠し場所が2つある。既にピンチ!浸水メーターは易しめのNormalからスタート。パンデミックで身の程を知っている男たちの冒険だ。
これが手番のサマリーカード。一回の手番で以下の中から自由に3つのアクションを行う事が出来る。
自分は探検者(緑):斜めにも移動や排水ができる。
ヤスは配達人(白):同じ場所に居なくてもカードを渡せる。
のっちはダイバー(黒):島が沈没していても泳いで移動できる。
ゲームはCOQの手番からスタート。上にも書いたが、最初に沈んだ6つのタイルの中に、「海の杯」の隠し場所が2つある。早速、右斜め上に移動するという探検者の能力を使用し、着いた先で上と右のタイルを排水。両方の隠し場所を沈没から救う。流石探検者ていうかCOQ、使える男だ!
そして、手番の終了時にはメーターに記された枚数だけ浸水カードをひく。今回は、この2カ所が沈む。最低でも2カ所が沈むことになるので、1手番に2回以上排水しなければどんどん陸地は無くなっていく。
そしてヤスの手番。早速水位上昇カードがでる。まじか、早過ぎる。
水位は上昇し、メーターは3を指す。これで毎手番3枚が沈む。手番全てのアクションを排水に使わない限り、島は沈み続ける計算。まだ1つも財宝を獲得していないのに、すでにゲームオーバーがちらつく。
早さを増して沈み行く島。最初のタイルが沈没し、海の深くへと消えていく。ここは特に何もない陸地だったので見送った。タイルが沈むと一緒にそのタイルを示す浸水カードも取り除かれるので山札が濃縮され、さらに厳しくなっていく。
しかも、最初の手番で排水したはずの海の杯が隠されたタイルがまた二つとも沈みかけている。水位上昇カードのおかげでめくられていたカードが山札の一番上に戻ったせいだ。手番が進むごとにどんどん沈むスピードが速まる恐ろしいシステム。
…とここで、配達人のヤスより杯のカードが届く!これで4枚のカードがCOQの手元に揃った。もはや島が沈むのを止めるべくもないので、さっさと杯を獲得し、無用のタイルは無視してしまおうという作戦。無事に最初の財宝「海の杯」を獲得。
すると今度は上部に位置するヘリポートが沈没寸前!出口が沈んだら即終了なので、ヤスが排水に急ぐ。なんとか間に合い、ゲームオーバーは回避。そして再び財宝のカードをCOQに集める。探検者は斜めに動けるので、移動がかなり速いのだ。様々なところに散らばった財宝を集めるには探検者に行かせるのが有利。
東奔西走し、なんとか2つ目の財宝である大地の石をゲット!なんだか、TDLのお土産のクランキーチョコのような見た目の財宝だ。遠くに見える島はもう既にかなり沈んでいる。。
ヘリポート周辺の中央部はなんとか死守するが、既に辺縁は虫の息。特に、既に1つとなった、ライオンみたいな風の像が隠された場所は沈ませるわけにはいかない。
しかし、ここで水位が一気に上がり、もう一度上昇すると、一度に4つの場所が沈むようになってしまうところまで追いつめられる!しかも、水位上昇が出るたびにカードが戻されるので、辺縁部はほとんどが海に消えていった。
なんとか風の像のタイルは死守するものの、未だCOQの手札にはカードが2枚しかない。誰かが引き、カードを届けてくれるまで、なんとか島が沈まない様に皆で頑張る。
自力で風の像のカードを引き、残り1枚!
その間にも水位は否応無く上昇し続け、ついに毎手番5つずつのタイルが沈む事に!誰か風のカードを引いてくれ!
ギリギリのタイミングで配達者からカードが届く。そしてついにカードがCOQの手元に揃う!これで、風の像を手に入れれば、残すは1つ!
風の像を手に入れ、すぐさま引き返してくるCOQを迎え入れる2人。あとは炎の水晶を残すのみ。折角皆が集まっているのでここでカードを集めながら耐え忍びたいが、遠くに見えるヘリポートへの道が崩れ落ちそう。斜め移動や潜水のできない配達人のヤスは一足先にヘリポートで待つことに。
先に行け!ヘリポートで会おう!
すると…
斜め移動できない配達人(白)がヘリポート直前で孤立!一環の終わりか??しかし、この直前に追加のヘリカードを引いていたヤスは、探検家の通り道を排水してヘリポートへ移動!間一髪、ナロウエスケイプ!
後は、ダイバーに排水を任せながら、カードを集めることができればッ!そして、来たッ!! 3枚!!
いらないカードが……(´ω`)
そして、「ターミネーター2」のラストシーンのように、沈み行くタイルの上で親指を立てるCOQとのっち。
この後、ゆっくりと海の底へ沈んでいく。
残念ながら、財宝獲得失敗! 負け。しかも、ダイバーはヘリポートに泳ぎ付き無事。沈んだのはCOQだけでしたとさ。
おしまい
総評
Bronze
このゲームもパンデミックと同様、迫る危機を回避するうちに、どんどん入り込んでいけます。熱中度はかなりのものです。あまり協力ゲームが好みでない筆者も楽しめました。
このゲームは協力系の中ではルールが比較的シンプルなほうです。準備も楽ですし手軽に楽しめると思います。でも、迫る危機が生温いと言うわけではないので「もうだめだ」感をタップリと楽しむ事が出来ますし、いつの間にか世界観に引き込まれています。
このゲームをクリアするには、運も必要ですが、先々のリスクを正確にとらえ、出来るだけリスクを回避するリスクアセスメントとリスクマネジメントが重要です。そう言った意味では、非常に戦略的なゲームと言えるでしょう。
一つ難点は、全員が最高の動きをしないとまず勝てないということです。それ自体は悪い事ではないのですが、少し初心者が混ざりにくいかもしれません。初心者が居る場合には、上級者が少しサポートしてあげることが必要ですね。シンプルなルールなので、1回やればすぐに渦中の人になれると思います。
中古がかなり安価に手に入りますので、協力ゲームをやってみたいという方は最初の1手としてオススメです。