目には目を、では全ての人が盲目になるだけだ
発売年 | 2017年 |
作者 | Inka Brand, Markus Brand |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 12歳以上 |
ゲーム概要
ダイスで分け入るインドの奥地
リア充夫婦デザイナーのブラント夫妻が手がけるインドをテーマとした『ガンジスの藩王』は、配置リソースとなるダイスの出目によってワーカーの置ける場所や効果が異なるダイスワーカープレイスメントの一種に個人ボードのタイル配置を加えたこのメカニクスの代表作として長年遊ばれる素晴らしい作品です。両面仕様の片方は2人用のマップとなっており、少人数でも楽しめます。
ダイスを振り、その色と出目をリソースとして利用しながらメインボード上にワーカーを置いていき、収入を得たり、個人ボードに配置するタイルを取得したりしていきます。個人ボードに配置したタイルに記載されている建物によって得点や収入が変化する要素や、道をつなげることでボーナスを得る要素などが絡んでおり、とても悩ましいです。出目については「カルマ」というポイントを支払うことである程度変更できるため、ダイス運が悪くても何とかなる絶妙のバランスも良いですね。
このゲームの得点システムは独特で、メインボードの外周をお金と名誉点のトラックのマーカーが別方向にまわっていき、駒が交差した時にその差分が最終得点となるという点です。お金はリソースとして支払いにも使用するので、緻密な計画性が功を奏するときもあります。配置できるワーカーもトラック上にマーカーを進めることで得られる(+ガンジス河の船を進めることでも得られる)のでその辺りの計画性も大事です。
総評
Gold
ワーカープレイスメントというメカニクスはとてもわかりやすく、早取り競争という明確なインタラクションを生むので多くのゲームに採用されていますが、それ故、驚きのない仕組みです。このゲームでは、ダイスの色と出目をワーカー配置のリソースとすることでこのメカニクスを革新的に面白くしています。このメカニクスを採用する上で、ダイスの出目をある程度コントロール可能にしたことがこの面白さをさらに別次元に押し上げていると感じます。このしっかりとしたメカニクスを軸に得点のためのパラメータ上げ、タイル配置が絶妙に絡んでくるのですから面白くないわけがありません。最終得点の仕組みもこのゲームの発明です。
ワーカープレイスメントを基にしているので最適プレイ人数は最も競争が激化する4人プレイと思いますが、2人でも遊べる配慮があることも素晴らしいですね。
ゲームには重要なコンポーネントとしてカラフルな透明ダイスがジャラジャラと付属しますが、このダイスの大きさも十分であることも非常に良い点です。「サグラダ」のようにダイスのコンポーネントが小さかったら、ここまでの満足感は得られなかったと思います。ボードゲームを実際にプレイする楽しみにも満ちています。
2023年現在はまだ日本語版が流通しています。もし未プレイなら是非手に取ってみることをお勧めします。