慣性の法則、転落の歯車は止まらない
メーカー | Möbius Games |
発売年 | 2004年 |
作者 | Jacques Zeimet |
プレイ人数 | 3-6人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
1人の敗者を決めるブラフカードゲーム
カードを使用したブラフゲーム『ゴキブリポーカー』の紹介です。このゲームはメビウスゲームズより日本語版が販売されています。ゲームの目的は、8種類の嫌われ者が書かれたカードを他人に押し付けること。各8枚ずつある嫌われ者のいずれか1種類を4枚押し付けられたプレイヤーが敗北します。
イラストの素晴らしさは流石、元々Drei Magierの作品だけのことはあります。同じ生き物でも各8枚の絵柄がすべて違うのも凝っていますね。
息を吐くように嘘をつく
ゲームの準備は、8種合計64枚のカードを均等に配るだけ。各自は手札を他人に見せないように持ちます。
スタートプレイヤーが手札から1枚のカードを場に裏向きでだし、他の誰かに向けて宣言します。
「これは○○○○○です。」
宣言されたプレイヤーは以下の2択を迫られます:
チャレンジが成功すれば、カードは宣言したプレイヤーが獲得しなければならず、失敗すれば、チャレンジをしたプレイヤーが獲得しなければなりません。そして、カードを獲得したプレイヤーが新たなスタートプレイヤーとなってゲームを続行します。
獲得したカードは自分の前に公開しておき、同じ種類のカードを4枚獲得してしまったら敗北決定。また、手札が枯渇しても敗北が決定します。カードを獲得しすぎると手札が減っていくので注意が必要です。
序盤はほぼ運が支配しますが、後半となるに連れてブラフ、カウンティング、集中攻撃で盛り上がる傑作ブラフゲームです。
プレイ記
自宅ゲーム会にて、カジ、ナカ、ブン、ヒロシと5人プレイ。
手札は結構多い。あんまり被るとキツいけど、少しくらい偏っているほうが攻撃ができて面白い。
「これはゴキブリです。」
「これはゴキブリではありません!うわっゴキブリだった!」
こんな感じでゲームは進む。序盤はほとんど情報が無いので運と若干の心理戦が場を支配する。
自分で気付いていないと思うけど、ウソをつくと瞳孔が開いているね。
などと口三味線を弾きまくって場を盛り上げながらカードを減らしていく。
次第にカードが公開されてくる。すると、2つの手掛かりが見えてくる。
4枚取りたくはない、リーチ(3枚)にもなりたくない。ということは、自分が2枚獲得しているカードに関連した行動に歪みが現れる。
各8枚のカードの使用状況が明らかになってくる。残りカード中、○○○は何枚残っているはず、手札には○枚あるから、アイツがこれを持っている確率は…。
こうなってくると、ゲームは一気に熱を帯びてくる。
そうこうしているうちに、COQも2枚獲得のカードが増えて来た。チャレンジに成功されるとカードを受け取らなくてはならないため、これらのカードを手出しする時にはすごく緊張する。
2枚獲得しているカードにはなるべく触りたくない。しかし、周りはニヤニヤしながらこれはカエルです、なんて言ってくるのだ。
劣勢と見るや、皆の目はそこに集まり、集中攻撃が始まって、脱落ジェットコースターに乗らされる。勇気をもってブラフとカウンティングで状況を打開し、疾走するコースターから飛び降りなくてはならない。
これはカジ君です。
何いってるんですか、そんなの8種類に入ってませんよ。
ごめん間違えた、ドブねずみだ。これはドブねずみです。
さっきまで”ドブ”なんてついてなかったじゃないですか、でも…これはねずみです!うわっ!
口八丁手八丁でとにかく相手を翻弄する。自分の身を守る為に、自分よりも状況の悪い人間を作る。これはなんだか、現代の歪んだ人間関係に良く似ている。
そんな甲斐もあり、カジがサソリとカエルでリーチ。最後の回答者となってしまったプレイヤーはもはや他人に判断を委ねる事は許されず、チャレンジをするしかない。カエルとサソリでダブルリーチのカジを最後の回答者とした「これはカエルです」攻撃が炸裂し、万事休す。
サソリが4枚貯まってカジ敗北。
プレイ時間:30分
間違えて、蜂と宣言してしまった瞬間も面白かった。そんなのいないよ(笑)
総評
Bronze
最初は当てずっぽうで始まり、誰かが隙を見せた瞬間からその人物への攻撃が始まるゲームです。残り枚数の把握や、標的の暗黙の了解などに気付くとこのゲームの心理戦の妙に気づき、面白くなっていきます。ただし、1人の敗者を決定するゲームなので人を選ぶと思います。人数は、ある程度居た方が楽しめると思います。
このゲームで勝つには少しコツがあります。あまり情報が無いところでチャレンジするのは運に頼ることになりがち、最初の回答者として選ばれたならば、他の誰かに転送するほうが自分にカードが溜まりにくい傾向にあリマス。そして、「カエル→カエル→サソリ→カエル」と来たら、ほぼカエルと思っても良いと思います。通常人間の想像力はそれ程豊かではなく、3種目4種目のカードをブラフに乗せる程卓越してはいないのです。あるゲーム会でこの考えを披露したところ、COQメソッドと呼ばれて対策されました。ここ1番の勝負期に活かしてください。
ところで、このゲームの対象年齢は8歳以上となっています。ルール自体は単純なので、子供でも十分プレイできるとは思うのですが、前述の通り、裏に隠れたゲームの本質と一人負けを決定するシステムから、あまり子供に向いているとは感じません。冗談を言い合えるような大人同士に最適なゲームだと思います。
シンプルなルールにアツい心理戦。ブラフゲームのお手本のようなゲームです。ルールがシンプルなので、説明が楽なのが助かりますが、初心者と遊ぶ前には、ゲーム開始前にコツを教えてあげましょう。