サンライズレーン

発売年2023年
作者Reiner Knizia
プレイ人数2-4人用
対象年齢8歳以上

ゲーム概要

クニチー自身によるロンドのリメイク

2014年に発売された「RONDO」という軽量級のタイル配置ゲームがありました。セラミック製のコイン型チップ(タイル)が大量に付属した知る人ぞ知るゲームで、日本国内の流通量はそれほど多くなく、筆者はドイツ出張の際に購入してきた思い出があります。このゲームはマスの色に合わせたタイルを重ねて配置していくだけのかなりシンプルなゲームでありました。

本作『サンライズレーン』はリメイク元の「RONDO」の基本ルールはそのままに、ゲーム終了時に高さ・マス数・繋がりのマジョリティボーナスを加えることで格段に考えどころを増やした中量級のゲームとなっており、筆者がSNSで推奨している公称プレイ時間45分ゲームズでもあります。共通のチップを配置するRONDOをどのようにリメイクしてマジョリティボーナスを追加したのか、早速みていきましょう。

高層マンション上から見るか横から見るか

手番でできることはカードを2枚補充するか、カードをプレイして建物を建設し、カードを1枚補充するかのいずれか。そのまま「RONDO」のルールです。カードは5枚までプレイ可能で、連続して建物を建てることができます。マスの色と同じカードが複数枚あれば、最大5段まで建物を重ねることが可能です。新しい建物は今建物が建っている隣のマスにしか建てられず、後から階層を追加することはできません。カードの色がマスにマッチしない場合は裏向きにプレイすることで公園を配置してそのマスを飛ばすことができます。

「RONDO」では、5枚まで持てる5色のチップを盤面に一筆書きで配置していき、置いたマスの色にチップの色がマッチしていれば記載されている数字の得点が得られました。この時、同じ色のチップを重ねて配置することができれば枚数分の得点を得ることができます。高得点のマスに同じ色のチップを重ねて置きたいところですが、高得点のまわりは低得点のマスが密集しているのでそう簡単にうまくはいかないのがゲームの面白みでした。この点は本作『サンライズレーン』でも同じです。しかし、「RONDO」のシステムでは一旦チップが置かれると、誰が置いたチップなのかはわかりませんでした。

「RONDO」の盤面

そこで、本作ではチップの代わりにカードを採用し、マスに配置するのは5段まで重ねることが可能な自分の家駒としました。こうすることで、同様のゲーム性を担保しつつ、誰が置いた駒なのかがいつでも判別可能になりました。同時に、テーマのなかった「RONDO」に、新興住宅地に住宅を建設するというフレーバーが追加された格好です。

こうして誰が配置したのか判別可能にしたことで、ゲーム終了時に配置結果による得点を計上することができるようになりました。ゲームボードには青枠と赤枠が2つずつ描かれており、それぞれでゲーム終了時の高さマジョリティとマス数マジョリティが集計されます。最も高い建物を建てたプレイヤー上位3名に得点が与えられるゾーンと最もマス数を占拠したプレイヤー上位3名に得点が与えられるゾーンが存在しており、まさに高層マンション上から見るか横から見るかです。

3種類のマジョリティ判定がプラス

さらに、これに加えて全体で最も大きな繋がりの塊をつくった上位3名にも得点が与えられます。この最終得点計算ルールが追加されたことによって配置の仕方がさらに悩ましくなり、また、マスの得点だけにかかわらず、得点を得るための作戦を計画できるようになりました。

青枠の中は高さマジョ・赤枠の中はマス数マジョ

なお、「RONDO」ではマスとマッチしない色のチップは裏向きで配置していましたが、本作では代わりに公園タイルを配置するように変更されています。大きな塊マジョリティが分断されるので、一層悩ましい行為になりました。

マジョリティを計上するマスがすべて埋まるか、誰かの建物駒の残りが2個以下になったらゲーム終了です。

難点!

最終得点計算ルールを排除すればRONDOである本作は、完全上位互換と言いたいところなのですが、難点が2つあります。1つ目はその色味。小さなシンボルで判別可能にしようと努力はしているものの、特に赤と紫の色味が似ており盤面がみにくい時があります。紫は黒などでよかったのではと思います。

見にくい・・・

2つ目は各プレイヤーの駒のスタッキング性能です。なんとこの駒は左右非対称で重ねるときに方向を気にする必要があり、重ねても完全に直立しないというできの悪い代物です。パトリツィアに付属しているような木製の屋根駒が選択されていたら…と残念でなりません。

サンライズピサの斜塔

総評

Bronze

45分ゲームズらしく、遊んだ直後に『もう一回!』となる良いゲームです。コンポーネントの質は落ちているものの、前述の仕組みによって最終得点計算の要素が加わったことは一連のゲームの完全体と評価して良いと思います。少々物足りなかったRONDOが正当に進化しています。どちらか選べと言われたら、筆者はサンライズレーンの方が好みです。考えどころがあります。

ただ、やはり色味と駒の質は残念でなりません。駒が木製の屋根駒であったなら、色味がもう少しだけ見やすかったらSILVER評価にしていたと思います。

実際に木駒に変えてみた”スペシャルエディション”

ゲームは面白いです。

Bronze
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The Board Game Laboratory – Rebooted!!
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