グランクリュ

近年まれにみるワインの出来で過去10年間で上位かもしれない雰囲気が漂う

メーカーEggert Spiele
発売年2010年
作者Ulrich Blum
プレイ人数2-5人用
対象年齢12歳以上

ゲーム概要

ワインゲームの当たり年、もう一本のワイン

エッガートシュピーレ社の「グランクリュ」です。本作は、木箱入りの特別版も発売されていた、2010年エッガート肝入りの作品でした。期せずして、2010年はワインに関するゲームが2つ発売される当たり年となりました(もう一つは「ヴィニョス」)。

ボード全景

プレイヤーは、フランスのブルゴーニュ地方で新たにブドウ農家を始める若者となります。まずは借金をして、利子を支払いながらブドウを育て、加工してワインを熟成し、宣伝をして商品を売ります。1年の終わりには楽しい(?)ワイン祭があり、ワインを沢山出荷した農園には、その名声に応じたボーナスが与えられます。誰かが借金を完済した時に、最も資産の多い農園の経営者が勝利者となります。

借金完済レース、スタート!

ゲームでは1年単位のラウンドを数年行います。1年はワイン畑の改良と年末の2つのフェイズに分かれています。ワイン畑の改良では、スタートプレイヤーから順番に1手番ずつ行って行きます。

手番でできること(次のアクションのうち1つ)

・ブドウ/改良チップを競る
・ブドウを収穫する
・改良チップを使う
・ワインを売る
・宣伝してワインの価値を上げる
・パスをする

自分の農園はそれぞれ自前の農園ボードが配られます。ボードの上半分にブドウの苗と改良チップを配置し、下半分で刈入れたブドウを熟成させてワインとします。

個人のワイン農園ボード。それぞれ紋章が違います。

ブドウや改良チップを農園に植えるには、ボードにある「オークショントラック」を使用します。ここのチップ提示マスに、その年にオープンされたチップのうち、欲しいチップを置き、値段を付けます。手番が1周して自分に帰ってくる間に、自分より高値を付けた人が居なければ、その手番を利用してチップを購入することができます。また、オークショントラックの最大価格である6フランを超える7フラン(!)を支払い、問答無用に購入することも出来ます。他のプレイヤーが、借り入れなどで忙しい時にひっそりと競りに掛けるのがコツです。

オークショントラック:ここを人数分使用して、その年のチップを競り合います。7はマハラジャ買い用の数字。

改良チップには、1つのブドウ苗から2つのブドウを刈り取る「豊作」や、1度に2つの苗からブドウを刈り取る「収穫手伝い」、ワインの熟成を早める「精製」、1種類のワインを同じ樽にある別のワインと同じ種類にできる「調合」、ワインを1個だけ最高価格でお得意さんに販売できる「当たり年」などがあり、超便利です。 改良チップが、その農園の方向性を決めると言っても過言ではありません。

ワインの熟成は万国共通、右に1マス

ワインを作るにはまず刈り入れからです。1フランを支払うことによって、1つだけブドウを収穫してワインに仕込むことができます。ブドウには5種類あり、早熟のガメ(緑)から長熟のピノ・ノワール(青)を自由に植えることができます。ブドウは苗を植えておけば、毎年1つ実ります。

仕込んだワインは、1年ごとに熟成され、右側の樽に移って行きます。仕込んだワインと同じ色のブドウマークが書かれた樽まで熟成が進んだら、ワインを売る事ができます。ワインの価格は「需要トラック」に示されており、手番を一回消費することで、1マス分価格を上げることができます。ワインを売る時は、1つの樽に仕込まれている同色のワインを一気に売る事ができます。1回ワインの売却を行うと、何個を同時に売ったかは関係なく、ワインの価格が1マス分下がります。 従って、ワインは同種をまとめて売ったほうが得なのです。

需要トラック:ワインの価値を表します。長熟成の種は値段も高い。緑は早熟型。

販売したワインは、プレイヤーの紋章が入ったワイン樽に置かれ、年末のワイン祭を待ちます。スタートプレイヤーが4回以上の手番を行い、誰かの畑のブドウが全て収穫されると、ブドウを全て収穫したプレイヤー以外がもう1手番を行って年末となります。

ワイン祭=決算

年末にはワイン祭が行われ、各種のワインごとに、その年最も沢山のワインを出荷した農園に名声点が与えられます。各農園は、この名声点を使用して、スタートプレイヤーマーカーの獲得や、ワインの宣伝、収穫しきれなかったブドウのブドウジュース化などのボーナスアクションを行う事が出来ます。

こちらはワイン祭。それぞれの紋章がかかれた樽が置かれています。
販売したワインは一旦ここに置かれ、その年の名声点を生み出します。

楽しいワイン祭が終わったら、借金の利子を支払い、新たな借金をしたり、借金を返済したりした後に、新しいチップがめくられ、新年がスタートします。

誰かが借金を完済した時に、最も資産の多いプレイヤーが勝利します。



プレイ記

埼玉ボードゲームサークルにて、あしかさん、タナカさん、じょーさんと4人プレイ。

ゲームスタート。綺麗なコンポーネント。

まるでワレスゲーのように、借金からこのゲームは始まる。コマを握り込んで、初年度の借金額を決める。毎年末、さらなる借金が可能なので、まさに「ご利用は計画的に」しなくてはならない。借金は7フラン単位(クレジット)で出来るが、利子は毎年1クレジットで3フラン。以降1クレジット増えるごとに利子も1フラン増えるという暴利である。

初年度の借金。借金王がスタートプレイヤーとなる。

初年度、COQ3クレジット、あしかさん4クレジット、そしてタナカ&じょーさんは無謀にも5クレジットからスタート。借金にまみれて生まれたプレイヤー達は、市場のチップを買い占める戦略のようだ…。

さて、この日は全員が初プレイ。競りの要素のあるゲームで初プレイの難点と言えば、相場がわからない事である。実はブドウの苗はゲーム終了時に5フランの資産価値がある。この辺りが相場じゃないかと思い、各自が競りを行っていく。

COQ農園では、まず緑のガメ種のブドウを4フランで落札して早熟なワインを運転資金にしようと企みる。他の農園も3〜4フラン程度で黄色や紫のブドウを植えていく。…が、じょーさんは長期熟成だけど最も価値の上がる可能性のある青ピノ・ロワールを買い占め、あわよくば混ぜ物にして大もうけする闇農園化計画をスタート。この為に大量に借金したんだとばかりに競りにかけずに7フランのマハラジャ買いをしていく。

まずは熟成の早い、ガメ種(緑)を植えるCOQ農園。

確かに、競りに掛けてから購入しようとすると、最低でも2手番必要となる。手番が4周以上回るとラウンドの終了条件(全員がパスするか、誰かの農場でブドウが全部収穫されるか)が発動するので、あっという間に過ぎ去る1年もありうる。利息は1年ごとに支払わなければならないので、短期勝負でマハラジャ買いもありなのかもしれないが。じょーさんは、この手法でピノ・ノワールを2苗獲得。

ブドウが競りにかけられる

収穫やら宣伝やら、やりたいことが沢山あるので、他人の競りの邪魔も出来ず、あしかさんが黄色のブドウを1〜2フランの安価で集めて行くのも横目に気になる。

マハラジャ買いは3クレジット(21フラン)しか借金していないCOQ農園にとって、ブドウ苗を買うにはあり得ない選択だったのだが、清水の舞台から飛び降りて1つだけ無理してチップを購入した。そう、改良チップである。購入したチップは「豊作」というチップで、1年に1度だけ、1つの苗からブドウを2つ収穫できるものだ。

只でさえ、手番にやりたい事が溢れている序盤、1手番で早熟なガメ種を2個仕込めるというのは魅力だった。当初、タナカさんが4フランの値を付けていたのだが、金に糸目をつけずに横からさらったのである。

そうこうしているうちに、初年度終了。COQ農園は、ガメ種の収穫こそしたものの、売却まで手がまわらなかった。その他の農園も、中長期熟成のブドウを選択したため、初年度出荷ワインゼロ。そして、1年目のワイン祭。

COQ
COQ

ワイン祭って、今年は誰もワイン売却してないけど、盛り上がるのかな?

ブドウジュースしかないワイン祭。ほんわかキャップが必要だ。

1年目は誰もワインを売却しておらず、ワイン祭どころではない。少しテーマとシステムにずれがあるのかもしれない。そんなこんなで誰も名声を得る事はできなかったが、初回は名声3点から始まるので、幾つかのアクションを選択することはできる。ここで、じょーさんは2名声点を消費して「ブドウジュース」を選択。収穫できなかったブドウをブドウジュースにして、1個につき1フランで売却できるアクションだ。

じょー
じょー

今年のワイン祭はブドウジュースで盛り上がろうぜ!

青のピノ・ノワールにかけるじょー農園。このブドウはブドウジュースとして出荷。

その後、今年度の利息支払いタイム。ここで、皆が利息の恐ろしさを知る。5クレジットを借りたじょー&タナカさんの利息は7フラン!なんと1クレジット分である。しかも、手元には2クレジット分ほど現金が余った状態での利息計算。タナカさんは早速、最初からやり直したがる。しかし、それぞれ追加の借金をして、無情にも次の年が始まる。

次の年、じょーさんは性懲りも無く、ピノ・ロワールの苗を植える。COQ農園は、赤と紫の苗を植え、カラフルな農園になる。あしかさんは黄色の苗を集めまくっている。この年、じょー農園では初めての収穫。早速、樽に仕込む。

じょー
じょー

世界一のワインを作ってやる、待ってろ皆!

まるで、戦争映画の冒頭で許嫁の写真を見せて回る新兵のような、今後の展開が予測できるお約束の一言である。自ら破滅フラグを立てるじょーさんをよそに、COQ農園ではガメ種のワインを初出荷。年末のワイン祭が楽しみとなった。

じょーさんやっと念願のワインを仕込む。しかし、黒の借金マーカー、残すは3クレジット。危うし。

予定通りに名声点を得て、ワイン祭でガメ種の宣伝を行い、価値を上げるす。「豊作」チップのおかげで、1つのガメ苗から2つのワインが仕込めるため、序盤かなり有利なコンボだ。次の年への借金タイム。じょーさんの顔がピノ・ノワールと同じ色に青ざめる。そう、ピノ・ノワールは長熟。出荷に最低5年かかるのだ。

じょー
じょー

やばい、このままだとワイン出荷まで資金が続かないかも

新兵の戦死は早々に訪れた。どうやら、資金繰りがギリギリのようだ。もはや、借金は次の年の利息の為だけに行う状態に陥ってしまう。世界一の高級ワイン農園を目指すはずが、ブドウジュースを出荷しただけで終わる危機である。

さらば!平成の借金王!

途中、最後に残った1名声点を1フランへと換え、名声点も0点となるじょー農園。高級ワインどころではなくなり、倒産の危機。手番では、ひたすら青ワインの宣伝を行って、来るべき売却の日を待つ。このワインさえ売れれば!と息も絶え絶えな農園経営。

一方、あしか農園は、黄色のブドウを独占し、黄色のブドウだけを宣伝しては高値で捌いている。一同これはやられたかもと悟る。ワインの売却は1樽に仕込まれた1種類のワインをまとめて行うので、単一色に統一されたワインは手番の消費も少なく、とても有利なのだ。

まだまだ黄色のブドウを落札しようとするあしか農園

終盤、初年度に大量の借金をしたじょー&タナカさんは利子を払うので精一杯。じょーさんは借金が最大の11クレジットにあと1と迫る10クレジットの借金をして平成の大借金王へと成長。なんとか、ピノ・ノワールの出荷に成功するも、全ては利子の返済へと消え、やがてじょー農園は荒れ地となった

タナカ農園も、借金の利子に追われ、火の車。勝負はCOQ農園とあしか農園の一騎打ちの様相だ。COQ農園は、皆が収穫などにかかりきりなっている間にブドウ苗をどんどん安価で仕入れ、「収穫手伝い」のチップで収穫スピードをあげ、終了時のブドウ苗資産価値での勝負を狙う。

最終系。かなりワインを仕込み、あとは売却して借金を返済するのみだった。1〜2年差の敗北。

しかし、あしか農園が一足先に借金を返し終え、大量に仕込んだCOQ印ワインの売却は叶わず、ゲーム終了。生産力は上回っていたが、一色を早期に独占したあしか農園の戦略にやられた。無念である。

最終得点

最終資産:あしか36、COQ26、じょー4、タナカ マイナス点

 

プレイ時間90分



総評

Bronze

よくまとまった経済ゲームです。時にテーマとシステムがマッチしていないと感じる部分(ワイン祭にワインがなかったり)があるものの、借金に悲鳴を上げながら生産力を上げていくくだりは好きな人も多いと思います。ワインというよりは、薬の種に投資する製薬会社みたいなテーマでリメイクすると面白さが増すかもしないと思いました。

でも、考える事がいっぱいあり、手番もサクサクすすむので、ゲーム中気を抜くヒマはないですし、慣れてくると、邪魔のコツも掴めてくるため、色々な戦略・勝ち方があるゲームのようです。この手の自分の生産力を高めるようなゲームではソロプレイ感が難点となる場合がありますが、このゲームは、競り、ワインの価値、ワイン祭でのアクション選択と他人との絡みが満載なので、インタラクションが好みの方にはおすすめです。インタラクションが多い分、ゲームバランスが難しいところではありますけど。

とにかく、自分の農園で栽培したブドウを収穫し、長い年月をかけて熟成させたワインは、出荷時に涙がでそうなくらい愛着が湧きます。難点は、改良チップのアイコンの解りづらさと、各人の紋章の色が薄いものが多い(その分、ワイン駒が鮮やかなんですけどね)でしょうか。

あまり目にすることのないゲームと思いますが、ワインゲームを語るならプレイすべき作品です。

購入先情報

駿河屋

ボードゲームグラン・クリュ (Grand Cru) [日本語訳付き]
タイトルとURLをコピーしました