ラッキーナンバー

2次元ラックオー、面白さの次元はそれ以上

メーカーCMON GL
発売年2012年
作者Michael Schacht
プレイ人数2-4人用
対象年齢8歳以上

ゲーム概要

ビンゴのような見た目の数字ならべ

シャハトが2012年に発表した「ラッキーナンバー」。その見た目が爽やかにリメイクされ、再販されたのがこのティキエディションです。初版はラミィキューブのような無骨な見た目でしたが、リメイク後は庭にクローバーを配置するフレーバーが追加されました。

パーティなどでやる景品を配るビンゴのような見た目をしていますが、運試しという以外のルールはあまり似ていません。

クローバーを基調とした明るいコンポーネントになった

でも「ラッキーナンバー」のルールも超単純です。場にはプレイヤー人数分の1〜20の数字タイルが裏向けられています。手番ではこれをめくって自分のボードに配置していきます。そして「縦横すべての列で、それぞれ左から右/上から下に向かって数字が大きくなるようにタイルを置ききったプレイヤーの勝ち」です。簡単でしょう?

ルールは最小限

ルールは最小限:

配置ルール

・引いたタイルを自分の4×4のマスの空いているところに置くか既にあるタイルと交換する
・タイルは左→右にも上→下にもに数字が大きくなるように置かなければならない
・同じ列に同じ数字は置けない
・置けないもしくは交換されたタイルは場に表向きに置いておく

「15」は一番下の列ならどこにでも置けます、それ以外はダメ

これだけです。このルールに従いながらサクサクタイルを引いていき、最初に自分のマスを全部埋めたプレイヤーが勝利します。ちなみに、色はタイルを準備/片付けるための目印なのでゲーム自体には関係ありません。

2次元の数字並べ、面白さは2倍以上

場に出た数字を昇順に並べるゲームと言えば、まずは「ラックオー」の話からしなければならないでしょう。「ラックオー」は1950年代からアメリカで遊ばれている数字並べゲームです。現在はハズブロ社より販売されています。

カードを昇順に並べるゲーム

このゲームは、1〜60までの数字が書かれたカードを、自分の前のカードラックの上で昇順に並べていくゲームです。カードラックには最初から10枚のカードがランダムで並んでいます。これを手番で1枚ずつ交換していき、最終的に10枚すべてのカードを昇順に並べ替えたプレイヤーがそのゲームの勝者です。前の手番のプレイヤーのラックからあぶれたカードは捨て札置き場の一番上になるため、以降のプレイヤーは捨て札の一番上のカードも取ることができます。

正に1次元の「ラッキーナンバー」といえるゲームです。シャハトがこのゲームをデザインする際に「ラックオー」を意識したかどうかは定かではありませんが、「ラックオー」はランクオーダーゲームとして「ラッキーナンバー」の祖先の1つと言え、このゲームを語る上で欠かせない存在です。

「ラッキーナンバー」は1列の数字を4つに絞った代わりに、ゲームに縦横2次元の広がりを加えました。1列だけであれば、数字が4つしかないので昇順に並べることは容易いです。しかし、縦方向にもルールが適用されるために後々のことを考えなくてはなりません。単に1列10枚の数字を並べるだけだった「ラックオー」と比較すると、”置けるのに悩ましい”という感覚を提供し、実際に縦横4列について配慮をしなくてはならない「ラッキーナンバー」は次元が1つ増えた以上に考えることが増え、その楽しさを増しています。

ランクオーダーゲームの楽しさは何か

「ラッキーナンバー」は、とても単純なルールのゲームなのに、なぜか不思議な楽しさがあるゲームで、後日ふと思い出したりしてしまいます。こんな感覚を持ったのは私だけではないはずです。どうして面白いと思うのか疑問に思ったので深く考えてみました。簡単に表現するとランクオーダーゲーム(数字並べ)の面白さは、引き運のギャンブルと待ち受けを試行錯誤するパズル的感覚にあると思います。

これは「麻雀」に例えるとわかりやすかもしれません。「ラッキーナンバー」の祖先の1つとして「ラックオー」を紹介しましたが、1次元の数字並べゲームと「麻雀」のような手牌を整えるゲームは近い存在ですよね。

楽しさの1つ目の源は、狙ったタイルの存在比率を知った上でドローをするところです。毎手番の運試しの熱さが面白いと感じるポイントではないでしょうか。

この点について、再度「ラックオー」「ラッキーナンバー」の比較をしてみます。前者ではカードが山札となっている分、一番上のカードしか取れないので「自分で運を引き寄せる感」が薄いです。後者では任意のタイルを引くことができるために「自分で運を切り開いている」という気分、すなわち、熱い運試しに重要な感情である「俺ならできるさっ!」という能動感がプラスされて余計に面白く感じられるようになっているのでしょうね。ビタッとハマるタイルをめくれた時には脳内麻薬すら出そうな気がします。中毒性の原因はこれかもしれません。

ランクオーダーゲームのもう1つの楽しさは、自分の待ちを整えるパズル的要素だと思います。麻雀でも手を進めていく中で、様々な可能性から自分で最良と思う”待ち受け”の手を作っていく過程は楽しいです。可能な限り広い”待ち受け”を構築していくパズル的要素「ラッキーナンバー」でも手軽に楽しめます。このパズル的要素については、前述の通り2次元になったことで楽しさが倍増しています。

ソロルール

このゲームにはソロプレイ用のルールと40問のソロプレイ用問題集が付属しています。しかし、ソロプレイは完全にソリティアパズルで、用意されている盤面のタイルをボード上で交換していき、最短何手でルールに即した盤面に変更できるかというものです。これはこれで楽しめると思いますが、本編とは別のゲームです。

ブルーノ・カタラによるヴァリアントルール

このゲームを楽しむ上で、適用をお奨めするヴァリアントルールがあります。シャハト自身の手によるものではありませんが、著名なフランス人デザイナーのB. カタラ氏(「キングドミノ」などの作者)が考案したものです。ゲームがより一層楽しくなるヴァリアントだと思いますので、是非取り入れてみてください。日本語版販売元のケンビルさんのHPでもダウンロードできるようです。簡単なので下に内容を載せておきます。

ヴァリアント”もう1手番”

「斜めに隣り合うマス」に同じ数字のタイルを配置した場合(空きマスへの配置でも交換でもOK)、そのプレイヤーは連続で手番を実行できます。連続手番で同じように条件を満たす配置を行なったなら、さらに連続手番を実行できます。

もう1つ、シャハト自身による初期配置のヴァリアントがありますが、こちらはルールブックに記載があるので好みに応じて導入していただければ良いと思います。

総評

Bronze

初プレイした時、単純だけどなんか面白いと感じてました。そして、後日ふと遊びたくなるような不思議なゲームです。購入しておかなくては、と思いながら月日が経ってしまっていましたが、デザインの変更されたバージョンを手に入れることができました。

結局最後に勝負を決めるのは引き運のゲームだと思うので、運ゲーとして嫌う人もいることでしょう。場のタイルが減るに従って、次第に運の要素も収束していくのでロジカルになっていきますが、剛腕の運を見せられるとどうすることもできません。でも、ゲームが短いので大丈夫。簡単に楽しめる引き運のギャンブルと待ち受けを試行錯誤するパズル感覚は結構楽しいです。ルール説明も簡単ですし、ゲーム会の合間のフィラーとしても優秀でしょう。家族でサッと遊ぶのにも適しています。

難点は準備と片付けの際に人数分のタイルを選び出すのが面倒なことですが、タイルの色で判別可能になっており分類のための袋が付属していますので、商品としては最大限の配慮がされていると思います。

このゲーム自体が主役になることはないかもしれませんが、色々な場面で活躍しそうです。同様のゲーム性をもつ「コンプレット」と比較するとこのゲームの工夫が際立ちます。筆者はどちらかといえば「ラッキーナンバー」の方が好みです。

購入先情報

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