テネリフェ

テネリフェ島は新大陸への重要な足がかりだった

メーカーHolstein Spiele
発売年2011年
作者Dirk Holdorf
プレイ人数2-4人用
対象年齢10歳以上

ゲーム概要

新興メーカーゆえに露と消えたバッティングゲーム

2011年、ドイツの新興メーカーであったホルスタインシュピーレが発表したバッティングゲームです。プレイヤーは、貴族としてスペイン領のテネリフェ島で勢力争いをします。家や市庁舎を建てたり、特産物を売却したり、時には対戦相手に泥棒をけしかけたりしながら勝利を目指します。木駒が美しいゲームです。

プロット系アクションの読み合い

このゲームは数ラウンドに渡って行われ、各ラウンドには3回のアクションを実行できます。実行するアクションの指定は、各人に配られたタイルを伏せて置くことによって行います。

6枚のアクションタイル

アクションタイルは、5種類6枚の構成です。家を作る「石工」、商売を行う「商人」、特産品を倉庫に送る「農夫」、特産品を出荷する「貿易商」、盗みを働く「泥棒」があります。

このゲームの重要なポイントは、アクションを1度ずつ解決するのではなく、1ラウンド分のアクションを一気に指定するところです。いわゆるアクションのプロットです。手番順に1枚ずつタイルを好きな場所に伏せていき、一気にオープンします。そして、1番から順にアクションを実行していくのです。

アクションを盗む泥棒の連鎖

家を建てるスペースは限られており、商売や貿易の回数も限られています。従って、皆が1に近いところに勝利点に繋がるアクションタイルを置きたいのは当たり前です。しかし、「泥棒」がそれを阻みます。自分のタイルの後ろに「泥棒」を置かれてしまうと、アクションが盗まれてしまうのです。そのアクションタイルで指定したアクションが、このラウンドに無効になってしまうのに加えて、家を代わりに建てられてしまったりするのですからたまりません(原文のルール説明でわかりにくい注意点です。石工が盗まれた場合、盗まれた側は家を建てることができません)。しかもこの泥棒は連鎖します。泥棒の後ろに泥棒が続く限り盗まれていき、最後の泥棒だけが得をします。ゲーム中は、終始この読み合いを続ける事になります。

島に点在する町のどこが今回の主戦場になるかは、1ラウンド1枚めくられるタイルによります。主戦場となった町に対して、家を建てたり、商人を送り込んだりして得点を獲得します。全ての町が主戦場となった後は、市庁舎の建設を行う終了フェイズに入ります。最後は石工が大活躍して市庁舎が出来上がっていきます。

配置の隣接によるボーナスが加わるので、配置順はとっても重要です。しかし、ここでも泥棒には気をつけなくてはなりません。こうして、市庁舎が出来上がった後、最も得点の高いプレイヤーが勝利します。

プレイ記

TBGL会にて3人プレイ。COQは緑。

3人プレイなので、商人と貿易商のスペースは2つしか利用できない。ますます1番が恋しくなるけど…泥棒の存在が気になる。

ジャンケンで勝ってしまったが、読み合いのゲームなのでまったく有り難くない。渋々スタートプレイヤーの権利を頂く。泥棒をどこに置くかが重要。好きなスロットに置くことができるので読み合いが熱い。

一番前に置く事には意味が無いので、3番に置く。そうすると、早速周りがざわつく。

流

泥棒は切り札なんだから最初には置かないよね?

海賊船
海賊船

いや、でも3番とか超怪しくない?

などと言いながらも埋まる1番と2番。4番に泥棒を置かれては泥棒が連鎖して元も子もないので、4番にも自分のタイルを置く。

そしてオープン!見事青の「農夫」から盗むことに成功。…したと思ったら、4番に置いた自分の「農夫」も盗まれていた。

COQ
COQ

盗んだと思ったら盗まれていた…何を言ってるかわか…(以下略


このラウンドは、盗みも成功させ、自分のアクションもやりきった黄色が一歩リード。こんな感じでゲームは進んでいく。


そして最終フェイズ。ここまでの間に出荷する商品を盗んだりしてトップに躍り出たCOQが、市庁舎の建設も平均的にこなして最多得点。38点で勝利。

プレイ時間 35分

総評

Bronze

3人と4人で遊んでみました。どちらもプレイ感にあまり差はなく、楽しく遊べました。どちらかと言えば、3人のほうが他人の動きが読み易くなるのでわずかにオススメですかね。4人だと、狙い通りなのか、偶然なのかの判別が自分自身でも付きにくい時がありました。

5種類のうちから、指定されている町に適したアクションを選んでいくわけですが、このアクション選択がとても面白くデザインされています。恐らく、作者の狙いはとてもうまくシステムに組み込めたのだと思います。それぞれのアクションは早い者勝ちなので、一番前に置きたい…でも「露骨に前に置いたら泥棒が襲ってくるかも!」これがたまりませんね。時には、自分の泥棒の後ろに泥棒を置かれたりする大どんでん返しも起こるので、盗んだり盗まれたりしてもギスギスすることはなく、終始笑いながら楽しめると思います。プレイ時間が短いのも良いですね。

強いて欠点を挙げるとすれば、序盤のヒントの無い状況では、誰がどのアクションを行いたがっているのか検討がつけにくく、アクションの実行が運次第になりがちなところですが、プレイ時間がそれ程長いゲームでもないので、ライトに楽しめれば良いのだと思います。

BGGの評価も殆どされていないマイナーゲームですが、もっと話題になっても良かったゲームだと思います。当時、作者から日本の代理店紹介のお願いをいただいたのですが、今日程には日本のボードゲームシーンが盛り上がっておらず、発売には至らなかったようです。

盤上に置かれている駒によって、展開がよりわかり易くなったバッティングゲームという感じ。ファミリーにもオススメです。見つけたら是非遊んでみてください。

購入先情報

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