メディチ対ストロッツィ

楽しみをのぞむ者は楽しめ、明日は確かではないのだから

ロレンツォ I. メディチ
メーカーRio Grande Games
発売年2006年
作者Reiner Knizia
プレイ人数2人用
対象年齢10歳以上

ゲーム概要

胃粘膜破壊系デュエル

クニツィアの2人用競りゲーム『メディチ対ストロッツィ』です。同デザイナーの有名な競りゲーム「メディチ」の発表から約10年後に発売されたゲームです。

このゲームは2人用なので、港を挟んで対面に座る

基本は本家の「メディチ」と一緒です。袋から商品のタイルを3つまで引き、それを競りに掛けます。各自が落札した商品を自分の船に乗せ、港に接岸して独占を目指します。

タイルには、4種類の商品と宝箱があり、布袋から1〜3個引く

「メディチ」では、商品の荷揚げによって自分のマーカーを上昇させ、その絶対値によってお金を得る事ができます。「メディチ対ストロッツィ」では、これを2人用にモディファイし、真ん中に置かれた独占マーカーを巡り、綱引きのような争いをすることになります。

手番のプレイヤーは、引いたタイルを競りに掛ける

すべての思惑を「指値」に込めて

競りの方式は、手番プレイヤーによる指値です。相手のプレイヤーは、提示された金額をストックに支払って購入するか、拒否するかを選択できます。拒否された場合には、手番プレイヤーが落札しなくてはなりません。お金が足りない場合は、双方ストックから借金をすることができます。次の手番は、タイルを落札したプレイヤーとなります。

落札したタイルは、自分の船のいずれか”1隻”にすべて積むか、捨てなければならない

落札したタイルは、自分の船のいずれか”1隻”にすべて積むか、捨てるかしなければなりません。船の空きを超えるタイルを落札した場合は捨てるしかありません。また、1つでも荷物を積んだ船は、3つのうちどこかの港に接岸しなくてはなりません。これから先の落札タイルを接岸した船の空いている場所に積むことは可能ですが、手の内を明かさなくてはならないのですね。

指値は、相手プレイヤーに落札させたいのか、自分が落札したいのか、落札せざるを得ない状況を作って相手に多くの資金を吐き出させるのか、様々な思惑を伴って設定されます。指値が相手のプレイヤーをどのように動かすのか、毎回審判が下るような重い展開となります。

3ラウンドの勝負

こうして、どちらかのプレイヤーが全ての船をタイルで埋めるか、商品タイルが無くなるかすると、ラウンド終了となります。

ラウンド終了時の決算

3箇所それぞれの港で:
・船に積載した商品数字の合計が多いプレイヤー:20金
(5点として数えられる宝箱は、ここで大きな効力を発揮します。)

その後:
・商品の色に応じた独占マーカーの移動
・各商品の独占度によるお金の受け取り
 独占マーカーが自分のほうに偏っていれば10金。
 10もしくは20と書かれているマスまで来ていればさらにボーナス。

写真は独占マーカーを移動させたところ

商品タイルは、1枚につき独占駒を1マス自分の側に引き寄せますが、価値「0」のものは2マス分の効果を持っています。お金の計算を終えたら、独占駒はそのままにしてタイルをすべて袋に戻し、新たなラウンドを行います。

3ラウンド終了後、最もお金を持っているプレイヤーが勝利します。

プレイ記

TBGL2人会にてTさんと。
Tさんはメディチ、COQはストロッツィを担当。

先に動いたCOQ、機先を制するか

第1ラウンドは自分の船をタイルで埋める事に成功したCOQの有利で終了。しかし、Tさんも多くの資金を残していた。1ラウンド終了時では、結構なお金を使って独占マーカーを動かしたCOQ、そして、それを見守りながら節約をしたTさんのどちらが優勢なのかは微妙だった。

第2ラウンド。COQが既に20金ボーナスに届こうかという位置まで動かした「赤」の商品をTさんが落札してくる。この商品を引き戻す作戦か。

あのメディチ野郎、本気だ

相手は船倉が5つある船をきな臭いと睨んでいた港に接岸してきた。あのメディチ野郎…本気だ。ここでTさんが3枚のタイルを引いた。ここは牽制の意味もこめて一番小さい船に全てのタイルを載せるべく落札。ちなみに落札額は23金。

中央の小さな港には、Tさんはセオリー通りの小さな船。こちらは小さな船を既に隣で利用しているので中堅を採用。2つの商品を積む相手に対して、まずは価値合計の勝利でプレッシャーをかけるべく、宝箱を1つだけ積載する、慎重に、本当に慎重に値踏みをしながら。

ゲーム中盤になってくると、次第にこのゲームの相場がおぼろげながら見えてくる。その時々によって高い低いの差はあるかもしれないが、このゲームでは、場を支配する相場のようなものが次第に出来上がっていく印象がある。

この相場ににじり寄る様に、1金や2金の安さをちらつかせたりして心の汗をかく。「さぁ、どうだ、買ってみろ」と心の中で呟きながら。

第2ラウンド、転機は突然に

第2ラウンド中盤を過ぎた辺り。ここまでは、ある程度相手に合わせる様子見の展開。

しかし、転機は突然訪れた。

Tさんが3枚のタイルを落札し、3隻目の船を接岸してきたのだ。落札したタイルには、独占マーカーを大きく引き寄せる0が2つも含まれている。

これがチャンス。アップの写真ではわからないチャンス。圧倒的僥倖ぎょうこう

船倉オール1の隙

そう、Tさんの残りの船倉は、すべて1ずつ。そして、手番を牛耳るTさんが、タイル1枚に35金の高値をふっかけてくる。

しかし、COQは相手の思惑に反してここで大枚35金をはたき、わずか1枚のタイルを手に入れる。35金はこれまでの相場からすれば相当な破格。しかし、これで良いのだ。これで手に入れたのだ。

タイルを引ける手番を。

ジワリジワリと商品と勝利を引き寄せる

そして、タイルを2枚ずつ引いていく。相手は置ける船倉がないので、落札したとしても捨てるしかない。相場より安い、しかし相手からしたら落札してお金を捨てるには痛い。このギリギリの隙間をジワリジワリと突く様に、じっくりと値付けをしていく。

地図を持って地雷原を進むかのような慎重さで。

そして、相手の船倉を1つも満たさせる事無く、このラウンドの終了条件を達成。自由に配置したタイルでの優位は揺るごうはずもなく、このラウンドで大勝。

第3ラウンドでもこの流れを維持したCOQの勝利。終わってみれば、第1ラウンドでまったく攻めなかったことが最後まで尾を引く結果になった。さらばメディチ家。

最終得点

COQ:647 T:276

プレイ時間 50分

総評

Platinum

圧倒的胃潰瘍ゲームズ。相場を掴むまでは、なんとなくスタートしていきますが、次第に相場が明らかになるに連れ、そして、次々に船が接岸して相手の狙いが明らかになるに連れ、どんどんと値付けのロジックが浮き彫りになってきます。そして価格は高値になっていきます。一寸先が闇なのかどうかは、己の手で引くタイルにかかっている…というゲーム。面白いです。

慎重につけた指値で落札されるかどうか、そしてその指値に込めた思惑が通るのかどうか。この審判を待つ間がたまりません。胃潰瘍になりそうです。タイル運があるので、展開次第ではあっさりライトに終わりますが、大抵の場合、適度な運が良い清涼剤となります。タイル枚数が少ないので、カウンティングも可能です。十二指腸潰瘍になりそうです。手番は落札したプレイヤーにあるというのがとても良いです。いつかは勝負に出なければならないのです。虎の子の資金をはたいて。

本家の「メディチ」も良いゲームですが、クニチーの切れ味鋭いルールとジレンマをじっくり楽しむには、2人専用のこのゲームこそ至高です。

箱はコスモス2人用が薄くなったようなサイズですが、コンポーネントが満載です。タイルの厚みもあり、アミーゴ版のメディチと同じ仕様ですね。「メディチ」系列のゲームで商品がタイルかカードかには賛否両論ありますが、筆者はタイルのバージョンが好みです。なぜなら、袋に入れるだけで、シャッフルしなくても済むからです。これは凄い改善点だと思いました。

名作です。濃密な時間が過ごせるでしょう。このゲームを一緒に楽しめる好敵手がいるなら、あなたの人生はplatinumです。

購入先情報

絶版です。

タイトルとURLをコピーしました