今日この日、この時のため、研ぎすまされた深紅の槍をくらえ
メーカー | KOSMOS |
発売年 | 1992年 |
作者 | Dirk Henn |
プレイ人数 | 2人用(4人用) |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲーム概要
極限までエレガントな2人用陣取り
コスモスの2人専用ゲーム「ローゼンケーニッヒ」です。「ヴァレンシュタイン」や「将軍」をデザインしたDirk Hennのゲーム。当初は「TEXAS」というアメリカ南部をテーマにした作品でしたが、1999年にテーマを薔薇戦争に変更して現在の形になっています。
どこまでもシャレオツな2人用ゲームの名作の1つです。
薔薇戦争
このゲームでプレイヤーは、「ランカスター家」と「ヨーク家」に分かれ、中世イングランドの薔薇戦争を戦います。
1455~85年イングランドのランカスター家とヨーク家との間で王位をめぐって戦われた内乱。両家の紋章がそれぞれ赤ばら,白ばらであったのでこの名があるが,実質的には百年戦争の敗北により大陸領土を失って引揚げてきた封建貴族の2派に分れての生存闘争。
「薔薇戦争」コトバンク
プレイヤーの目的は、戦場に自分の色の紋章を配置して得点を得ること。ゲーム開始当初は中央にある王冠駒を動かすことによって動かした先に自分の紋章を置き、領土を確保することができるのです。王冠を動かすには手札のカードをプレイします。
手番でできることは3つのうち1つ。
王冠の移動に使用するカードには8つの方向と1~3の距離が描かれています。これに従って、王冠を移動させるわけです。カードにも王冠のマークが記載されており、このマークとボードの端に描かれている王冠のマークの向きを合わせてプレイする必要があります。
起死回生の騎士カード
王冠の移動先は、通常空きマスでないといけないわけですが、「騎士カード」を同時にプレイすることによって、相手の紋章を自分の紋章に変える事が出来ます。ただし、数に限りがあるので、ご利用は計画的に。どうしても移動できない場合には、パスをせざるを得ませんが、騎士カードがあるならば使用しなければいけません。
手札は公開なので、時には相手のカードを見ながらの戦略も重要。最終的な得点は、繋がった領土(斜めは駄目)の2乗分与えられます。『如何に相手の領土は分断し、自分の領土を繋げるか』が重要です。相手の領土を分断する瞬間の騎士カードの働きが最高に英雄です。
4人プレイ用ペア戦ルール
「TEXAS」には、4人用のペア戦ルールが付属していましたが、1999年のKOSMOS版には収録されていませんでした。最近再販された現在のバージョンにはこれが再掲されているようですので、翻訳しておきます。昔の版でも遊べると思います。
パートナーは互いに向かい合って座ります(1つのチームはボードに対して横向きにプレーすることになります)。 ただし、パワーカードはボードの王冠の向きに合わせるようにしてください。ボードの北側にある王冠です。 パートナーはボード上の動きについてコミュニケーションすることはできません。
各プレイヤーはパワーカード3枚と騎士カード2枚を受け取ります。 2人のプレイのルールと同様に、パワーカードはテーブルの上に表向きに置きます(公開情報です)。 各プレイヤーのパワーカードの最大所持枚数は3枚です。 すでに3枚のパワーカードを持っている場合、アクション2(パワーカードを引く)を選択することはできません。 各プレイヤーは各自の2枚の騎士カードしか使用できません(パートナーの騎士カード)を使用することはできません。
プレイ記
自宅にて。のっちと一勝負。
手札は移動距離の長いものばかりだったので、まずは上方へ進軍。
このゲームの得点計算方式では、駒が繋がっているほうが有利なので、相手のカードをチラ見しつつ、中央付近の領土を狙う。すると、戦場は左側へ。ここでもなるべく中央付近の領土を確保できるように頑張る。距離の長いカードばかりだと、展開を読むのも大変だ。距離1のカードが欲しい!
狙い通り、中央にグランドクロスが出来つつある。これを繋げる事ができれば、ランカスターの勝利は揺るがない。・・が、左側に戦場を定めたのっちヨーク家が領土の固まりを作り始める。邪魔したいが、下方へのカードばかりで中々横槍を入れられない。
騎士の使用が頭をよぎるが、重要な局面はまだと判断し、温存。暫くは、カードの補充をしながら様子見。このゲームでは、カードの補充だけでも1手番消費してしまうので、ついついカードの補充を疎かにしがち。しかし、手持ちのカードが少ないと、行く末を予測できないので行き当たりばったりの采配となってしまう。うまくできてる!
だけど、あまりカード満杯も「パス」する羽目、もしくは騎士を使用する羽目になるかもしれないので、おすすめできない!そうこうしているうちに、クロスの中心部に白薔薇を置かれてしまう!でも、固まりになった領土を分断したり、2重に隔てられた領土を繋げるよりは全然楽勝の展開。騎士の一撃の目標は決まった。あのクロス中心部だ。
「騎士で戦況をひっくり返しつつ、相手がすぐさま反撃できないチャンス」を待つ事数ターン。来たッチャンスがッ!!
今日この日、この時のため、研ぎすまされた深紅の槍をくらえッ!
騎士でクロスの中心部を手に入れ、見事に繋がるランカスター家の領土。この1手で点数が飛躍的に伸びる。
げッ!!
まだまだ!
ご一緒にポテトもいかがですか?
さらに返す刀で、戦場を過疎化している下方へ移動し、とどめ。
COQちゃん、相変わらずエグ味タップリだねぇ
その後、領土は相手の騎士により分断されるも、中央の覇権は譲らず、僅差で勝利。
プレイ時間20分
総評
Silver
このゲームだけは、熱中しているところを意中のあの娘に見られても大丈夫。昔、クリアケースにニュートン入れて歩いている謎のアピ〜ル人っていたじゃないですか?このゲームならあれを再現してもおかしくない。むしろ、オープンカフェで遊ぶくらいが「ナウでヤング」。
冗談はさておき、ゲームでやることは、単純な陣取りゲーム。しかし、お互いのカードが公開されている事と、自分のカードの枚数を調整できること。ここにカード引きの運が加わり、実に適度なアブストラクトゲームに仕上がっています。駒が無くなるか、どちらも駒を置けなくなったらゲーム終了なのですが、それまでの時間が丁度良く、最後まで集中してゲームができます。テーマとコンポーネントの雰囲気が抜群なのでボードゲームを遊んだ満足感が得られます。
また、駒が素晴らしい。かなりの数の駒が付属しているのですが、全て木製。こんなに素晴らしい駒を作れるメーカーがなぜ、カタンの駒をプラスチックにしたのか。
唯一、得点計算が面倒ですが、ゲーム終了時にお互い同じ数の駒を相殺していけば、数えるのは残った駒だけよく、簡単に勝敗の判別がつきます。
最近、日本語版が販売されている模様ですが、良いチョイスだと思います。