憂いのない宮殿
メーカー | Ravensburger |
発売年 | 2013年 |
作者 | Michael Kiesling |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
タイルを配置して庭園を散歩するゲーム
キースリング&クラマーのコンビが多いイメージですが、キースリング単体で由緒正しきラベンスバーガーから発表されたのがこの『サンスーシ』です。サンスーシとはドイツ北部にある宮殿の名前で、現在は世界遺産に登録されています。
この宮殿を舞台に、ゲームでは様々なモニュメントのタイルを個人庭園ボードに配置していき、同時に貴族駒を動かして得点していきます。配置するタイルは共通のストックから1枚ずつ獲得してくるため、思惑通りにいかないことも多々有ります。タイルの獲得には2枚持ちの手札を使用しますが、どのタイルをどうやって獲得するか、手番の度にプレイヤーの脳はフル回転することでしょう。
タイルの獲得は2種類のカードで
手札はたった2枚のカード。なぜ2枚なのかはゲームを遊べばわかります。これ以上は一度に把握ができない程にパズルで頭が一杯になるのです。各自はそれぞれ同じカードセットを受け取ってゲームを始め、そこから2枚のカードをランダムで手札に持ちます。
カードは基本的に2種類。モニュメント(噴水や石段など)が書かれたカードと、共通ボード上でタイルが置かれている場所の5色のうちの2色が書かれたカードです。手番ではこれらを出す事により、共通ボード上からタイルを1枚獲得します。獲得できるのは、カードのモニュメント通りのタイルか、対応する色のタイル置場に置かれたタイルです。
獲得したタイルはタイルが置いてあったサプライの色に対応した個人ボードのマスに置きます。悩まし過ぎて脳のメモリーが足り無い!
タイル配置と貴族移動、裏面配置が美味しい
タイルを獲得したら個人ボードに配置します。個人ボードにはモニュメントの列(縦方向)と、タイル置場色の行(横方向)が示されています。タイルを獲得したら、記載されているモニュメントとタイル置場の色に対応した行が交差する場所に置かなければなりません。タイルは全て十字路になっており、四方が道で繋がる様になっています。もしも対応する場所が既に埋まっている場合は、獲得したタイルを裏向け(ただの十字路になっています)ることによって、規定のタイルから十字方向の任意の場所に置けます。いきなり深いところにタイルを配置することもできますが、上から繋がる様に置いていった方が具合がいいです。
タイルを配置した後は、自分の貴族を1つ動かして得点を獲得します。貴族が庭園を散歩しているということのようです。貴族の駒は各列に1つずつあり、どのような移動経路を辿っても、最終的に同じ列に戻ってくる様にしなくてはなりません。また、下に行けば行く程貰える点数が高くなります。一気に下に移動させるのも手ですが、少しずつ刻んだほうが合計得点としては多くなります。タイルの道は途切れていても置けますが、貴族の移動はできません。毎回の手番で効率良く得点できるように、貴族駒を一気に動かさないことも必要です。
その他、ゲーム開始時に配られる2枚の目標カードには、何れかのモニュメント列を完成させるように指示があります。この指示の列か任意の横1行を全てタイルでうめる事によってゲーム終了時にボーナスが得られます。こうして、全てのカードを使い切った段階の最高得点者が勝者となります。
個人ボードを覆うような特殊タイルが同梱されており、タイルを配置するとマイナスになったりするヴァリアントルールも添付されています。
プレイ記
海賊船さん、MOGさん、流さんと4人プレイ。
個人ボードにはあらかじめ数枚のタイルの絵が描かれてる。取り敢えずはそれを利用して貴族を進める。次の手番でもある程度得点を獲得できる様にしておくのがコツ。手番の指針は最初に配られる2枚の目標カードだ。
基本的に他人との絡みはタイルの争奪戦。狙っていたタイルが奪われるとキツい。ゲームが進むにつれて個人ボードの下部、共通ボードの色にすると紫や水色のタイルが人気になるので狙いはまぁまぁ被る。みんな必至にウンウンうなっているので、「そんなタイル興味ないよ!」って演技をしててもほぼ気付かれない。自分が欲しいタイルを無情に獲得していく。筆者が超能力者だったら、流さんは3回程死んでいた。念力で。
貴族を一番下まで動かす事ができれば6点貰えるが、一気に動かすのはもったいない。できれば4点、5点、6点と刻んでいきたいところ。そうしないと次の手番でタイルがうまく繋がらなかった時にやることがなくなってしまう。時にギャンブルも必要だが、次の手番の保険くらいは考えていた方が良い。1人プレイなら最高得点を目指すために果敢に挑戦するのも有りだが、対人戦となると勝負しなくても良いところは勝負しなくても良い。
そして辿り着いた最終形。両端は深部まで貴族を送り込む事に成功したが、真ん中近辺は無駄が有る。横列も未完成。リスク管理はウマくできたので点数はそれなりに伸びたが平凡。貴族駒がお菓子の「おっとっと」の烏賊にしか見えない。
勝ったのはみごとに最新部へ烏賊を送り込んだ海賊船さん。一本道から横に伸ばす作戦を完遂しての大勝利だった。点数にそれ程差が付かなかったのは、この見事な布陣に至るまでに大分足踏みを余儀なくされたからかな。
プレイ時間:50分
総評
Silver
タイルの獲得から配置の流れが、毎回ミニパズルを解いているようで脳に心地よいです。タイル配置で目的地までの線路を引くようなゲーム。あみだくじのような移動とも評されます。
ソリティアでしょ?って聞かれますが、ソリティア的なゲームでも多人数で遊んだ方が面白いゲームの部類です。他人との絡みはサプライにあるタイルの奪い合いだけなのですが、点数の獲得が非常にシンプルでわかり易いお陰で、対面から観ていても競争しているのを感じ易いです。
一気に貴族を進めるかどうか、リスクアセスメントの一面を持ったゲームシステムにおいては、このわかり易い他人の得点状況が自分のプレイに与える影響は大きいです。多人数プレイの目的は、高得点を出す事ではなくて他のプレイヤーにこの一回のプレイで勝ることですから、これがあるとないとでは大きく楽しさが違ってくるでしょう。
アブストラクト色が強く、作者の後年の名作アズールの布石となったゲームと言えるでしょう。雑味のないピュアユーロと同梱されている拡張セットの組み合わせは、キースリングのお家芸です。家族みんなで楽しめる優良ゲームだと思います。
写真で本物を見ると、サンスーシ宮殿の雰囲気が結構忠実に再現されてますね。