カード版トロワ
メーカー | Amigo |
発売年 | 2004年 |
作者 | S Dujardin, X Georges, A Orban |
プレイ人数 | 3-5人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
トロワと同じ布陣で挑むカードゲーム
侵略によって荒廃したベルギーの街を復興していくカードゲーム『トゥルネー』です。「プエルトリコ」から「サンファン」が生まれたように、「トロワ」から生まれたのが本作です。カードゲームとは言っても、多種あるカードを盤面に見立てて並べる仕様なので、ボードを省略したボードゲームという感じです。プレイヤーは、自分の前に仮想的に用意された3×3区画の土地に建物を建設していき、それによって生み出される勝利点を競います。
トロワと同じく、黄:市民、白:僧侶、赤:軍人という3系統の駒と、それに対応したカードを1〜3のレベルに応じて山札として並べます。ここからカードを獲得し、自分の区画に建設するわけです。
アクションには、カードの獲得や、イベントの対処、カードの活性化などがあります。
トロワによく似たシステム
上部に並んでいるカードはイベントカード。イベントカードと言いながら、厄災カードと呼んでも良いくらいに災いしか起りません。ある条件が発生すると、これらの効果がプレイヤー全員に適用されます。建物の効果で、意図的にイベントを起こしたりすることもできるようです。
手番のアクションでコストを支払うことによって、任意のイベントを解決することができます。イベントを解決しておくと、勝利点が手に入るだけでなく、後のイベントを回避できるようになります。トロワに非常に良く似たシステムです。
その条件というのは、カード獲得の際に、各山札に1枚ずつ入っているイベントカードが出た場合。どうみても、災いを知らせるカードです。
自分の労働力は自分の広場カードの上で管理します。使用した駒は、外に出して寝かせるか、活性化した建物の上で寝かせます。再び使用するには、アクションを利用して再招集しなくてはなりません。お金を支払うことで、他人の駒を一時的に使用することもできます。こちらも他人のダイスを買えるトロワに非常に良く似たシステムですね。
カードの獲得では、対応する駒をカードレベルと同じだけ消費します。基本は裏向きの2枚を見てどちらかを選ぶという方式。運の要素を減らせるシステムです。カードには、人物/建物/名声建造物の3種類があります。
獲得したカードは、アクションを利用することによって建設できます。各自は3×3区画の土地を持っており、ここに計画的に建設していきます。上書きも可能ですが、違う色の建物を建ててしまうと今までのカードは消えてしまいます。
建てた建物の効果は、対応する駒を消費することによって発揮できます。お金を手に入れる物からイベントを解決するものまで、効果は様々です。一度使用した建物を再利用するには、駒の再招集をかける必要があります。
人物カードは活性化する必要がなく、上下左右同じ列にあるカードとの相互作用でコンボを生み出します。建物の効果を2倍にするものや、お金を得るものなどが主流。
最後に、名声建築物は区画にあるカードや駒等から勝利点を得るための建物です。ゲーム終了に向けて、これを建設して自分に有利な条件を整えていきます。自分に有利な〜というのは、名声建築物は他人にも得点を与えるからです。ただし、建てた本人には2倍の効果があるので、建て損はありません。
一定数以上のイベントを告げるカードが引かれ、区画が埋まったらゲーム終了の合図。最後の1手番を行った後に、勝利点を最も獲得しているプレイヤーが勝利します。
プレイ記
ヤスと2人プレイ。事前に2人プレイがオススメとの情報を聞いて、ハナから2人で。このリプレイは2回戦目のプレイ模様。
照明が黄色いのは実家の仕様。自然光に勝る灯り無し。セットアップは、A型でなければそれ程時間はかからない。
最初は手札を増やさないとどうにもならないので、取り敢えず白いカードから物色。ランダムにレベル2のカードが2枚手に入るというカードが手に入った。(コレ結構強いカードじゃない??)
1枚ずつしか獲得できないカードが、2枚獲得できる。通常のカードゲームであればゲームバランスを崩しかねない強力カード。…と思ったら、相手はこちらのカードを勝手に活性化できるカードを利用してきた。ある程度突飛なカード能力でも、相手のカードを使える能力があるので釣り合いがとれるということか。
とにかく、これを起点に白のカードをガンガンひいて行く戦略を立てる。相手は黄色のカードを中心に集めているようだ。必然的に黄色カードでの得点を目指すであろうから、こちらもそれに乗る準備をしなければならない。
むさぼる様に黄色のレベル1のカードを漁るヤスのせいで、あっという間にイベント発動。イベントが発生した山には、イベント発生カードを横向きにさしておいて既発生を伝える。お金や駒が消費されたり、建物が一時的に使用不能になったりとロクなイベントが無い。
黄色に染まる隣家をよそに、COQの区画では白が先行。白のカードを引きまくり、それを活性化するには白い駒が必要。それを見越して白の駒を安価で追加するカードを建設。
ついでに、相手の黄色に乗る為に黄色の駒を追加するカードと、相手の黄色のカードを問答無用で活性化するカードを建設。
そうこうしているうちに、2枚目のイベントカード発動。イベントカードがプレイヤー人数+1枚出現することがゲーム終了条件の1つ。カードの獲得は必要不可欠な行為なので、こちらの条件は案外早く達成されるようだ。
…とここで、何気なくひいた赤のカードの効果を表と照らし合わせていてほくそ笑む。例のイベント達の嫌な効果を他人にだけ発揮させるカード。
イベントのカードには、発生した回数分だけコインを置いていく。このコインを置ける個数はイベントにより制限がある。コインの置き場所に余裕がある場合にはそこにコインを置き、イベントの効力を相手に押し付けることができる。イベントカードのコイン配置場所の空きを数えていると、
どうせイベント発動する系だろ?
流石に付き合いが長い。
バレたら仕方ない、やっておしまい!
しかし、イベントカードにコインが埋まってる。仕方ないのでしばらくお預け。…と思っている隙にイベントカードが更新され、カードにコインを置くスペースが生まれる。チャンス!と思ったら、
じゃあ、このカードの効果でその赤いカードの効果を発動するわ
(!)
これで主要な白の建物を封鎖されてしまい、再招集を余儀なくされる。完全に後塵を拝する展開、まずい。
善し悪しはあるが、相手のカードを利用できる様にしておくのはこのゲームの得策らしい。COQも遅ればせながら相手の全ての建物を利用できるカードを建設して後を追う。
しかし、ゲームはもう終盤。イベント発動カードは規定枚数登場し、区画にも名声建築物が埋まり始めた。最後の建築チャンス、相手の名声建築物を見比べながら、どうにかして点数を伸ばそうとする。
届くか?
結局、カード1枚差で追いつけず、敗北。赤のカードを乗っ取られたのが響いた(精神的にも)。
プレイ時間:40分
総評
トロワから受け継がれたアートワークは相変わらず圧巻の出来。好きな人には大いに刺さるでしょう。箱の大きさも、カードゲームという仕様に合わせて気取らず薄くなっているところに好感が持てます。しかし、”カードゲーム”というところには、少しこだわり過ぎてしまった感があります。
レビュー中では触れていませんが、なぜか5金まではコインであるお金が10金から急にカードになったり、ボードがあった方がわかり易い部分もボードを使用しなかったりといった具合です。とくに前者は、デザイナーがカード縛りの罰ゲームでもさせられたんじゃないかと疑りたくなる部分です。
アートワークに限らず、ルールの部分でも前身「トロワ」の影響を色濃く受けています。イベントの対処、カードの属性、相手のリソースを利用できるバランス等々、ほぼトロワのままという印象を受けました。これが、デザイナー達が見せるトロワの新しい切り口だと良いのですが、これなら「トロワ」を遊べば?という感想も出てしまうかも。本作は2人用の「トロワ」という評価も散見されるので、2人の時に取り出すのが良いのかも。
傑作であった「トロワ」との対比をメインに論じたせいか、少し辛口な総評となっていますが、コンボを求めてカードを配置していくプレイ感は悪くはありません。このゲームも、お互いがカード効果を把握すると面白くなるスルメゲーの可能性を秘めてはいると思います。ただ筆者にとっては、ゲームバランスの取り方として自分が配置したカードを相手に利用されるというのが結構ストレスなので、エンジンビルドの楽しみが削がれてしまう気がしました。ゲームのバランスには重要な要素だということはわかるのですが。