王「中世の街で人々をあやつり、都を繁栄させるのじゃ」
ー 王様を暗殺します…
メーカー | Fantasy Flight Games |
発売年 | 2000年 |
作者 | Bruno Faidutti |
プレイ人数 | 2-8人用 |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲーム概要
正体隠匿に新たな潮流をもたらした伝説のゲーム
ブルーノ・フェイドゥッティ作の「あやつり人形」です。アークライトから発売された完全日本語版には、後に発売された拡張(「ダークシティ」)も入っているお得なセットでした。とても斬新な正体隠匿システムを生み出した本作が他のゲームに及ぼした影響は大きく、後に多くのデザイナーがこの影響を受けたことを告白しています。
このゲームでは、中世の街の権力者の一人となり、8人の様々な職業の住人(基本セット)をあやつり、街を発展させることを目的とします。最も、街の発展に貢献したプレイヤーが勝利します。
ゲームの肝は職業ドラフトシステム
この「今回の手番であやつる職業」を選択する方法がこのゲームの肝でです。王冠マーカーを持つプレイヤーはそのラウンドのスタートプレイヤーとなり、8枚の職業カードをよくきって1枚(注:プレイ人数によって微妙に変わります)を裏向けて場に配置し、このラウンドから取り除きます。次に1枚(注)を表向けて配置し、このラウンドから取り除きます。次に、残りの職業カードを全て確認し、一枚を選んで左隣に渡します。次の人は残りのカードから自分の職業を選び、、と時計回りに職業を選択していきます。
こうすることで、スタートプレイヤーに近いプレイヤー程、このラウンドで有効な職業、ラウンドから取り除かれた職業、(恐らく)前の手番のヒトが選んだであろう職業、等の情報を得る事ができ、このラウンドで一番有利な職業を選択することができます。
職業の特徴を把握してピックする
職業には特殊能力が備わっており、自分の手番に特有の能力を使ったアクションを行うことができます。また、これらのアクションの対象はプレイヤーではなく、職業を選択することによって指定します。ここがすごく重要なルールです。さらに、選択した職業により対応する色の建物を建てていれば追加の収入が貰えます。
手番の順番はルールによって決まっており、いつも、暗殺者→盗賊→奇術師→王様→司教→商人→建築家→将軍の順番で行われます。
スタートプレイヤー(前のラウンドの王様)がそれぞれの職業を順番に読み上げ、担当するプレイヤーは自分がその職業であることを宣言して手番をスタートします。手番は、お金もしくは建物カードの補充、建物の建築の順番に行います。特殊能力は手番中いつでも使用出来ます。建物を建築するには、カードに書かれたコストを支払う必要があります。
誰かが8個の建物を建築したら、そのラウンドの終了時、ゲームは終了し、最も街の発展に貢献したプレイヤーが勝利します。
拡張セット
同梱されていた拡張セットでは、新たな職業と特殊能力のある建物をゲームに追加できます。
プレイ記
シカ、シカ嫁、カジ、JJ、イケメソと一緒に6人プレイ。
ゲームの説明をしてプレイスタート。カードデッキは基本セットにボーナス建物カードを1枚だけ混ぜたものを使用。説明後、カジはしきりにシステムに感心していた(カジは生粋のMTGプレイヤー)。
ラウンドが1〜2巡すると皆、スタートプレイヤーの重要性がわかってきた模様。そう、このゲームで情報は剣よりも強いのだ。情報を沢山持っていれば、ラウンドを掌握し、一気に有利な状況を築くことも出来る。だが、、、
ゲーム中盤、COQはあまりパッとせず。カジが建物の価値でわずかにリード。スタートプレイヤーはシカ。すんなり職業を選び、シカ嫁へ残りの職業カードを渡す。
やっぱこれやね。
何が「やっぱこれ」なのか解らず、残りの職業カードを受け取ると、王様が残っていた。(「よし、次のラウンドから挽回だ!」)と王様を選択。そして、暗殺者を選択したプレイヤーはおらず、盗賊の手番。
王様から盗みます。
ギャーーっ(正体をバラすのは自分の手番が来てから)
くそっ、COQもシカ嫁も結構お金を持っていた。シカにとってみればどちらでも良かったのだ。さすがにどちらかは王様をとるだろうと予想しての犯行だった。シカ嫁はそれを読んでいたのだ。「やっぱこれ」とはそういう意味だったのだ。やられた。
ここからのCOQは専ら転落人生まっしぐら。金がないので商人→暗殺、じゃあ盗もう…盗賊→暗殺、仕返し…暗殺者→対象者無し。さっぱり手番が進まない。
COQさん、判り易すぎです
この強盗夫婦が…
信長の野望全国版の六角のようにプシュプシュ暗殺されまくる。やがて、戦いはCOQを除外した残り5人の建物建築合戦へ。終盤になってくると人気の職業が変わるのも、このゲームの面白いところである。序盤は建物を壊す能力を持つ将軍などはあまり人気がないが、他人の勝利を阻止するために、終盤は大人気となる。
と、ここでCOQの手札にも一筋の光が!唯一導入したボーナスカードが手札に舞い込んで来たのだ。ボーナスカード「舞踏場」には特に面白い能力がある。すかさず、これを建築。既に貧民街と化しているCOQの街になど、皆は目もくれなかったので、すんなり次の職業の手番に移る。そして、念願のスタートプレヤーマーカーをゲットして次のラウンドで職業を読み上げる。
暗殺者の人いますか?
はい、はーい!王様を暗殺します!
やった!
COQさん、なにニヤついてるんですか?もしかして暗殺されました?
勝ち誇るカジ。
「下がれ、この下郎が!このカードの特殊能力を思い出せ!」
アッ!
そう、舞踏場の能力とは、「この建物を建てたプレイヤーが王冠を持っているラウンドで、職業を読み上げられたプレイヤーは『ありがとうございます、閣下』と言わなければならない。忘れた場合は一回休み。」なのだ。
そうや、カジ。お前はふとい奴やな。一回休みや。
ありがとうございます。閣下。
うむ。
ありがとうございます。閣下。
苦しゅうない。
こうして一矢報いたものの、勝敗には絡めず、シカが8個の建物を建設し、得点計算でもトップとなりゴール。妙な形でカジをトップから追い落とし、キングメーカーとなってしまったが、くやしい。
COQさん、このゲーム向いてないですね
プレイ時間20分
総評
Silver
数あるドイツゲームの中でも、秀逸なシステムだと思います。その証拠に、このシステムはこの後に続く他のデザイナーのデザインにも大きな影響を及ぼしています。そういった意味でも一度は遊んでおきたいゲームです。
3人プレイもしたことがありますが、6人のほうが面白かったです。2〜3人プレイだと、使用しない職業が多すぎて、別のゲームのようになってしまいます。
他人を攻撃することが必須なゲームですが、プレイヤーを指定するのではなく、職業を指定するので、少しマイルドになる点が非常にプラスな要素だと思います。