ドロンパさんて口がうまいのね
メーカー | Drei Magier Spiele |
発売年 | 1980年 |
作者 | Alex Randolph |
プレイ人数 | 2人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
これが心理戦、これがボードゲーム
故アレックスランドルフ作『ガイスター』です。チェスのような盤上でお化けの駒を取り合うゲームです。しかし、お化けには「良いオバケ」と「悪いオバケ」がいます。自分のオバケの種類は相手には見えません。心理戦を展開し、自分の悪いお化けを取らせ、相手の良いお化けを取ろうとするゲームです。ボードゲーム✖️心理戦といえばこれ、というほど有名なゲームです。
日本では長年DREI MAGIER SPIELE社版をメビウスゲームズが販売していましたが、その後メビウスゲームズが日本語版を制作して国内流通させました。当時はこれが世界で最後のガイスター(その他は絶版でした)と呼ばれていましたが、現在は色々と再流通しているようです。
良いお化けと悪いお化け
このゲームでは、各自8個ずつのオバケ駒を持ち、チェスのように相手のオバケ駒を取り合います。オバケは前後左右に1歩ずつ進むことができます。進んだ先に相手のオバケがいれば、その駒を取ることができます。
しかし!オバケには「良いオバケ(青)」と「悪いオバケ(赤)」がいるのです。これらは、オバケの裏側についた青と赤の印によって区別され、各自4つずつを持ってゲームを行います。相手からはオバケの種類は見えません。つまり、相手のオバケが「良いオバケ」か「悪いオバケ」かは、取ってみるまでわかりません。
このゲームで勝つ方法は3つあります。
これらのうち1つを達成すると勝利です。このゲームは如何に相手に自分のオバケの色を誤解させるかという心理ゲームの要素を多く含んでいます。相手に”間違ったロジック”を信じ込ませようとするゲームです。
プレイ記
このゲームはあまりに有名なので2人対戦の情報は多く公開されています。そこで今回は趣向を変えて、2対2のチーム戦の様子を掲載しておきます。自宅ゲーム会にて、カジ/ヒロシとCOQ/JJで対戦した時のリプレイです。2人専用のゲームを2対2のチームで対戦するのもゲームよっては面白いです。
このゲームは、初期配置も自分で好きに決められる。勝負はそこから始まっている。そして悩んだ末の初期配置がこれだ。各陣営、相談しながら初期配置完了。こちらは、前衛に悪いオバケを多めに配置し、相手の疑心暗鬼を誘う。相手が疑心暗鬼なうちに、良いオバケを脱出口へと導く電撃作戦だ。
悪いオバケを取りすぎると、中々相手の駒を取れなくなる展開になるはずなので、2重に苦しむはずである。ゲーム開始直後、早速、先攻させた悪いオバケを相手に取らせることができ、さい先の良いスタートだ。相手も、1個目は様子見であまり考えずに取った。
さらに、どうやら「突っ込んで来るオバケは悪いオバケだ」というイメージを先行させることに成功した模様。こうなれば、トラトラトラと打電をしたくなる。作戦成功だ。いよいよ、良いオバケ、通称Q太郎を脱出口目指して突入させる。
周りを挑発し、いつ取られても良いフリをしながら、良いオバケを脱出口へと近づけて行く。そして、脱出口1歩手前でこのオバケを暫く放置。気配を消し去る。敵も、まさか、これほど放置されている駒が良いオバケだとは思わない。
先行した良いオバケを放置しながら、前衛の悪いオバケで相手を挑発し、「先行しているオバケは脱出できないオバケだから、放置されている」というイメージが完璧に根付くのを待つ。
すると、相手のオバケが一体、こちらに突進してくる。JJと相談するまでもなく、コイツが良いオバケでは困るので、瞬殺。結果は悪いオバケだったが、1個目なので問題ない。そろそろ、放置オバケを使用し、脱出を試みようかと思ったところで、JJが今相手のオバケを取るために横に出たこちらの良いオバケを前進させようと提案してくる。
なるほど。素晴らしい作戦。乗った。そして、第2のオバケO次郎が敵陣深く進んで行き、相手を2択に追いつめる。
良いオバケを取り逃したら、脱出しちゃうよ〜
あっち(Q太郎)は絶対、違うと思うんですよ。
そうだよね、カジの思う通りにしていいよ。
Q太郎、O次郎のオバケ2体を突進させて、「どっち?」という質問をしたおかげで、両方が良いオバケかもしれないという可能性は完全に頭から消失している模様。ここで、カジ達に残された生き残るための選択肢は、”動かない”ことのみであったが、良いオバケはどちらか一方という自論に急かされるように、駒を進めてくる。よってO次郎は討ち死に。しかし!
序盤から布石していた第1の良いオバケ、Q太郎が脱出に成功。
勝負に”絶対”を持ち出した瞬間、そいつは既に負けている!
COQ陣営の勝利!
カジ&ヒロシ「両方だったんですね。こっちは絶対大丈夫だと思ってました。」
総評
Bronze
シンプルなルールですが、裏の裏の裏を読み合う攻防は中々の楽しさです。コンポーネントもかわいいですし、万人受けしそうですが、ブラフをふんだんに用いるのであまり小さな子供には難しいかもしれません。
攻め型、守り型などの性格が色濃く反映されるゲームです。心理戦のボードゲームの代表格です。駒を適当に動かすだけではまったく面白く有りませんが、相手に間違ったロジックを信じさせることを意識して遊ぶと格段に面白くなります。これが心理戦、これがボードゲームと呟きたくなるゲームです。
隣のあの人の腹黒さをコイツで確かめてみては如何でしょうか。案外、平気な顔して良いオバケを突進させてくるかもしれませんよ!