これは、あらゆる動物集団の持つジレンマである
メーカー | NGO |
発売年 | 1994年 |
作者 | Reiner Knizia |
プレイ人数 | 2-5人用 |
対象年齢 | 7歳以上 |
ゲーム概要
カードを1枚出すだけのゲーム
よく「このゲームは手番でカードを1枚出すだけだよ」と誘われてみたら滅茶苦茶な重ゲーだったという笑い話を目にしますが、本作『ボツワナ』も「カードを1枚ずつ出していくだけのゲーム」と説明されるゲームです。古参ゲーマーには「フリンケピンケ」と呼んだ方が親しみやすいかもしれません。Reiner Kniziaの名作の一つとして知られているゲームです。
カードを1枚ずつ出していくだけで、多人数でジレンマを楽しませることができるのがクニチー(Knizia)の凄いところですよね。以前の版のボツワナではアニアの動物フィギュアのような立派(過ぎる)コンポーネントが大量に付属しており、収納性の問題から手を出していませんでしたが、この度、木コマでリメイクがされたとのことで、遂に1つ手に入れてみた次第です。
カード1枚でクニチーが生み出すジレンマの世界
ゲームに使用するのは動物各種類0〜5の数字カードが1枚ずつ、計30枚のみです。これを1枚ずつ出していくだけでゲームになるのでしょうか。実は手番では「カードを1枚出す」以外にもう一つすることがあります(話が違うというツッコミが聞こえました)。場には各種類5個ずつの動物コマが並べられています。カードを1枚出した後に、これらのコマのうちの1つを取っていきます。カードの動物と同じである必要はありませんし、同じでも構いません。
最終的に得点となるのは獲得した動物コマです。ゲーム終了時に各動物について一番最後にプレイされたカードに記載された点数がその動物の点数になるのです。そして、ゲームはいずれかの動物のカードがすべて(6枚)出されたときに突然終了します。終了のタイミングをはかりながら、動物たちの点数をなるべく思い通りに操作しなくてはなりません。
手の内は明かしたくない、でももう他に出すカードがない!
当たり前ですが、自分の得点は高く、他人の得点は低くしたいのです。自分の集めている動物の点数がなるべく高くなるようにして、なおかつ、他人が集めている動物の点数はできれば0にしてからゲームの終了を迎えたいと誰もが考えることでしょう。先に手の内を出してしまって他人に上書きされてはたまりません。しかし、相手は(運よく)1種の動物カードを複数枚持っているかも知れず、一気に同種のカードを出してゲームを終了させてくるかも知れません。このように、なるべく出したくないカードを温存しながら、出さざるを得なくなっていくジレンマが楽しいゲームです。
人数分のディールを行い、最終的に得点の最も高いプレイヤーが勝利します。
総評
Bronze
さすがクニチーというシンプルでソリッドなカードゲームです。カードを溜め込む強烈なジレンマといえば代表作である「ロストシティ」が思い浮かびますが、多人数用としてジレンマが大きく薄まってはいるものの近い感覚が手軽に楽しめます。単純なルールで複数人でジレンマを楽しめるカードゲームとして優秀です。リメイクによりコンポーネントも木コマになり、日本でも定番のファミリーゲーム足り得るようになったと思います。カードのアートワークについては賛否あるとは思いますが、カード背面のデザインは結構好きです。
リメイクで更新された木コマはかなりサイズの大きなもので、そのままHABAの「ワニに乗る?」が遊べそうです。シンプルなルールゆえにコンポーネントで満足度を向上させようという気遣いと思いますが、これでも少しtoo muchな気はします。コンポーネントの遊び心はアナログゲームの醍醐味でもあるので難しいところですけどamigo小箱サイズでのリメイクが望まれますね。
総評として、持っていて損はない定番フィラーの一つだと思います。