Short Review
何かの間違いに違いない!
メーカー | iello |
発売年 | 2013年 |
作者 | Richard Garfield |
プレイ人数 | 2-6人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
巨匠のゲームだから大丈夫さ・・?
フランスIello社から発売されたカードゲーム「ゴォ〜スト!」それなりにコストのかかっていそうなゴーストのイラストと、何よりMtG(マジック ザ・ギャザリング)やキングオブトーキョーで有名な巨匠の作品ということで、それなりに世間の注目を集めていたようです。
大貧民+UNO
ゲームの基本はUNOと大貧民を足して2で割ったような内容。1〜14までの数字の書かれたゴーストカードを昇順に場に出していきます。この時、2枚から4枚の同絵柄のカードを出す事により、連続でカードをだすことができます。特に、4枚の場合は、所謂ボム扱いとなり、昇順のルールも無視して出す事ができ、さらに場を流す事が出来ます。手札からカードが出せない場合は山札の一番上のカードをめくってギャンブルをすることもできます。
結果、失敗もしくはギャンブルしないという選択をしたなら、場のカードを全て引き取って手札とします。意図的に引き取ることによって、一気にコンボを決める準備をすることができます。また、特定の数字にはスキップやリバースなどの特殊能力を発動させるものが含まれていてUNOっぽいです。数字が大きくなる程に怖いゴーストという扱いで、それまでのゴーストを追い出すことができるというフレーバーは、ゲームシステムにしっくりきます。
Iello社のゲームらしく、箱はきれいで、ゲーム中にカードを出す場として使用できるようになっています。
蛇足、あり〼
ここで説明を終えられれば良かったのですが、残念ながらここから蛇足が続きます。お覚悟。
このゲームは、実は前半と後半にわかれています。ゲーム開始時に、手札と共に後半用のカードがプレイ人数に応じて裏向きで配られます。先ほど説明したギャンブル用の山札が無くなったら後半へ突入します。後半になったら、まずは手札を完全に使い切る事を目指します。手札が枯渇したら、その後の手番では、開始時に配られた裏向きの山札を1枚ずつギャンブル(!)していきます。。当然、失敗したら場の札を全て回収して手札を枯渇させる段階に逆戻りです(裏向きの札は1枚減りますけど…)。
こうして裏向きの山札を消化しきった人が勝ち抜けで2点を獲得(紙と鉛筆をご用意下さい)します。その後にあがることに成功したプレイヤーには、1点が与えられます。ヴァリアントルールを適用すると、ブービーであがったプレイヤーにはなぜか3点が与えられます。ビリになったプレイヤーにはトークンが渡され、これが溜まるとその人の負けです。
2枚以上出す事によって連続手番が可能なので、ペアを揃えて一気に駆け抜けるのがコツです。
総評
弘法も筆の誤り
場の札を意図的に手札に加えて、手札の調整を行って一気に駆け抜ける!だけだったら壮快なゲームだったかもしれません。裏向きのカードがせめて1枚だったら、勝利を確信してカードをめくったプレイヤーががっかりする様子が笑いの渦につつまれるだけで済んだかもしれません。しかし、残念ながらこのゲームでは、裏向きの山札は最低4枚、2人プレイではなんと12枚も配られます。これを運だけでめくり続けるかと思うと気が遠くなりそうです。この意味の分からないシステムによって、前半部分はまるで意味をなさないし、ゲームプレイ中は見る間にやる気をそがれます。しかも、これだけダラダラと続く内容の勝利条件が複数ディールによる総得点とは。そして、ブービーが最も得点が高い事によってさらにダラつくとは。
世の中には2種類のクソゲーがあります。ゲームになってないクソゲーとゲームになってるクソゲーです。このゲームは後者のほうです。ゲームになってないことはなく、それなりに攻略法もありそうです。しかし、あまりに運の要素が強すぎるため、サイコロで1が出たら負けるゲームと大差ありません。異常に長い前置きにも、ゲームを盛り上げる効果がありません。そこに面白みを持たせるには、何かを賭けるなり、別の要素を用意する必要がでてきてしまっています。
これを遊ばせてくれた方は、「これはリチャード・ガーフィールドのだから何かの間違いだ」とずっと信じられない様子でした。実際私も信じられませんでした。