ありのままの自分でいることは、人生ただ一つの目標である

メーカー | Bambus Spieleverlag |
発売年 | 2007年 |
作者 | Wolfgang Werner |
プレイ人数 | 3-4人用 |
対象年齢 | 10歳以上 |
ゲームレビュー
知る人ぞ知る、チーム戦トリックテイクの怪作「ジキルとハイド」です。隠れた名作として有名でしたが、中々手に入れる機会がありませんでした。

使用するのはジキルチームとハイドチーム各14枚ずつ計28枚のカードです。
これを全て混ぜ、各自に配ります。

配られたカードを順番に1枚ずつ出していき、カードの強さによってトリックを獲得します。
全てのカードを使い切ったら、チームごとに獲得したカードを集計し、得点を計算します。
獲得得点が規定を超えればそのチームの勝利です。
コレだけ聞くと、なんの変哲もないゲームに思えますが…

このゲームのポイントは、ジキルチームとハイドチームのカードを混ぜて配るというところです。そして、ジキルチームはジキルカードを、ハイドチームはハイドカードを出す必要があります。この時、カードは自分の手札から出さなくてもかまわないのです。
つまり、自分で出したくない場合は、自分以外のプレイヤーを指定することができるのです。(その為に、カードの裏面はどちらのチームのカードかわかるようになっています)ただし、どのカードを出すかまでは指定することができません。

カードは4種類。
・切り札的な「変身カード」:最強カードだが、トリックは次回持ち越し。
・A~Eの序列がついた「中堅カード」:それなりに強いが、得点が低い。
・得点の高い「情景カード」:得点が高いが、中々勝てない。
・得点を乗算的に増やす「行為カード」:得点するには必ず必要。
最終的に獲得したカードはチームに関係なく殆ど得点になりますが、行為カードのみは自分のチームのものしか効果がありません。しかも、3枚ある自チームの行為カードを1枚も獲得することができないと、そのディールの得点は0点になってしまいます。
こうして、得点を集計し、最初に決めていた得点を達成したチームが勝利します。

プレイ記
TBGL宮原ゲーム会にて、MOGさん、海賊船さん、Kunさんと4人プレイ。
COQ&Kunチーム vs MOG&海賊船チーム
善良な一般市民のCOQは、当然ジキル博士チーム。薬飲んで暴力なんて、とてもとても…。規定の点数は500点に設定してスタート。

序盤、取り敢えずは手札からカードをだして順調にトリックを獲得。手前がCOQ、向かいがKunさん、左が海賊船さんで、右がMOGさんです。
第1ディールは順調そのもの。
126対16
ゲーム中は当然、チームメイトと意思疎通を図ることは禁止されてる。従って、

海賊船さんあそこでアレだしてくれなきゃー。

そんなのわかったらエスパーですよ。
必然的にこのような展開になる。

次のディール。MOGさんが、変身以外では最も強いカードを出してトリックの獲得を企てる。
COQの手札にこれにかなうカードは無い… そこで悩む、こうなったら他の3人にカードを出させるしかないが。
他チームのメンバーは、こちらのチームのカードを複数持っていれば、当然自分に有利になるようにカードを出してくるだろう。そこで、ここはチームメイトのKunさんにかけてみる。

すると、ここで起死回生の変身カード。これで相手チーム折角の最強カードは台無し。
…しかし、ここからが転落人生。何をやってもうまくいかず、相手を指定すればロクなカードが出てこないし、
自分が指定された時にもロクなカードが出せない。挙句に、他チームを指定したら、得点に絶対必要なカードを殺される。

結果、176対254と大差を付けられる展開。

しかし、その後コツを掴んで波にのるCOQ&Kunチーム。相手に選択の余地が無くなるように誘導し、ここぞで指定してカードをださせる。カード運も味方して脅威の追い上げをみせる。
487対298

最後は少し追い上げられるも、勝つために必要な得点を奪って逆転勝利!
501対447

最後はカードを使って記念撮影。それぞれ今の気分をカードで表現。逆転勝利に驚くCOQに余裕なKunさん。そして、まさかの逆転に頭を抱えるMOGさん。
あれ? 海賊船さんは??

息をしていませんでした。
COQ&Kun:501(勝利) MOG&海賊船:447
プレイ時間 75分
総評

Silver
意思疎通がウマくいかず、何をやっても裏目ばっかり。そんな息を止めてゲームをしているような重苦しい展開の中、何かのキッカケで思考がはまりはじめ、場を支配しているような展開が訪れる。起死回生のトリック、その一瞬のためだけに今まで息を止めてきた。
そんなイメージのチーム戦トリックテイキングゲームでした。得点を得る為には絶対に獲得しなければならないカードがあるけれど(行為カード)、そのカードは最弱のため、チームメイトの協力が不可欠という縛りと、自チームのカードであれば誰が出しても良いというルールが秀逸です。チーム戦であることの必然性がきちんとあります。
ほぼ4人専用というところがネックですが、捻りの利いたルールが演出するプレイ中の重苦しい雰囲気と開放感はクセになりそうです。Tichuなどと比べると、カード枚数が少ないことが熱中度を高める良い要因になっているように感じました。
かなり面白いです。
ただちょっと時間が長いので、ゴール得点を適当に調節した方がいいですね。
テーマ的に、プレイ中にチームが入れ替わったりするのかと思っていましたが、全然違いました。
元々は1997年発売のトワイライトというゲームが2002年にリメイクされたようです。
購入先情報
「龍(TATSU)」としてリメイクされています。