そこに河があるから
メーカー | Zoch |
発売年 | 2004年 |
作者 | Thomas Liesching |
プレイ人数 | 3-5人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
最大限にキャッチーなナイアガラのギミック
ボードゲームが面白いと言うと、大概の人の最初の反応は「何それ食べれるの?」的なものが多いです。そんなメンバーと最初にゲームをする時は見た目なキャッチーなこのゲームも1つの選択肢となるでしょう。『ナイアガラ』は、圧倒的なコンポーネントの豪快さでツォッホ社を一躍有名にした、2005年度ドイツゲーム大賞受賞作です。
このゲームでは、各プレイヤー二隻ずつのカヌーを利用し、ナイアガラの滝壺に果敢にアタックして五種類ある宝石の獲得を狙います。勝利条件は、以下の組み合わせで宝石を集めること。頻繁に変わる天候、宝石の奪い合いなどを巧みなパドルさばきで乗り越えます。
上下の外箱を二つ並べ、高さを演出することにより、迫力あるナイアガラの滝壺を表現しています。また、河の流れは透明な円盤プレートをラウンドの最後に上流から押すことによって再現しています。このプレートは左右一つずつ落ちていくのですが、たまに同じ側が連続で落ちる時があります。この時にドラマが生まれることが多いです。
パドルだっ!パドルするんだっ!
プレイヤーはパドルタイルを他のプレイヤーに見せないように場に出し、全員揃ったところで一気にオープンします。パドルタイルには自分のカヌーを進めることのできる数が書かれており、順番に手番を行っていきます。雲マークは天候を変えるためのものです。河は、全員のパドルタイルのうち、最低の数+天候分流れるので、他のプレイヤーのパドルの数と、天候を読んで自分のカヌーをコントロールする必要があります。一度使用したタイルは、全てのタイルを使用し終えるまで返ってきません。宝石を得るには、特定のマスでパドルを2ポイント消費するのですが、ラウンドの最後に河が流れるため、滝壺近くの宝石はかなりリスキー。また、他人と同じマスで移動を終えると、相手の宝石を奪えるというのがミソです。
拡張セット
本作には『ダイアモンド ジョー』というミニ拡張と『スピリッツオブナイアガラ』という6人までプレイ可能になり、新たなパドルタイルと大きいカヌーが追加される拡張が発売されています。
プレイ記
カジ、JJ、シカと4人プレイ。
ゲーム開始当初は天候も安定しており、カヌーも一隻ずつしか漕ぎだせないため、静かな立ち上がり。ラウンドの最後に見事に滝壺に落ちるプレートに歓声があがる。各人がカヌーを2隻ずつ漕ぎだし、河が混雑してくるも、最初のうちは近場の宝石を和気あいあいと取り合っていた。
宝石の数には限りがあるので、勝つためには滝壺近くにあるブルー、ピンクの宝石にチャレンジをしなければならない。しかし、カヌーは一方向にしか動かせないというルールがあるので、滝壺付近に自ら漕ぎだして宝石を獲得しようとすると、その後滝壺に真っ逆さまなのは明白。河の流れを読んで、自然に下流まで流された後、大きいポイントのタイルで宝石を獲得して戻ってくるというのが正解の動きである。この法則に気付き始めると、本当に濁流を自分のパドルで捌いているような感覚が味わえる。
ここで、シカが果敢にピンクの宝石にチャレンジ、見事に獲得して上流に上ってた。しかし、そこにJJが空のカヌーを寄せ、宝石を奪っていく。そして、さらにその宝石をCOQが奪うという泥沼の展開。
別にええよ。
と言いつつ熱い火花。その時、カジも滝壺付近のピンクの宝石にアタック。
ちょっと待てよ?あいつ大きなタイルほとんど使ってなかったか?
そう疑問に思ったところで、シカが空を悪天候へと誘う。カヌーが落ちたら買い戻さなければならない。
大丈夫です、見ててください。
カジは次の手番で”4”をプレイして宝石を獲得し、河が1本になっている所まで戻ってくる。皆がなぁんだ、と思うや否や、河が2マス流れる。
この時起った!ドラマが!
なんと、ここで片方の河が2回流れたのだ。一気に転落の危機に陥るカジ。ここは皆が勝負を忘れて叫んだ。
パドルだ!パドルするんだ!カジ!がんばれ!
しかし、残りのタイルの数字が小さいため、濁流からまったく抜け出せないでいるカジ。そして、、、カジは宝石と一緒に、滝壺に消えていった。最後はシカが宝石7個を集めてゴール。ぶっちぎりのビリをカジにプレゼントして、楽しい河下りは終わったのでした。会社の後輩であったカジ、いまだに彼が困っていると「パドルするんだ!」と心の中で思ってしまう。
プレイ時間30分
総評
Bronze
河をパドルしてカヌーを操っているような感覚に陥ることができます。誰かが滝壺に落ちそうになる瞬間の盛り上がりは流石です。一方で、パドルタイルを使った非公開入札がゲームの主軸であるので、現代の派手なゲームに慣れている我々には少し地味で大味に感じるのも否めません。
総評としては、ゲームの内容よりもゲームボードのダイナミックな見せ方が秀逸な作品です。任意の相手から宝石を奪えるアクションが存在するのも最新のユーロと比較すると少し古いと感じるかも。河のプレートの流れ方が法則崩れをした際のドラマを楽しむ感じですかね。ヘイト値の管理が大事なので、終盤、誰かが勝ちそうになると足の引っ張り合いとなり、目立たないようにすり抜けた人が勝つようです。
少し大味な部分もありますが、見事なコンポーネント、ギミック、そしてドラマは一度体験してみて損は無いと思います。追加セットも販売されているようです。