天国に最も遠く、米国に最も近いカードゲーム
メーカー | Abacus Spiele |
発売年 | 1996年 |
作者 | Wolfgang Panning |
プレイ人数 | 3-8人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
絶対に出し続けられるゴーアウト
ボードゲーム界で再販が望まれる伝説のカードゲームの1つ『オーレ!』です。基本的には「ゴーアウト」と呼ばれる手札を最初に出し切ったプレイヤーが有利になるゲームです。再販が望まれるのはその希少性からだけではありません。様々なアイデアの詰まった傑作カードゲームの1つなのです。
変動する色のランク、階段状の数字
このゲームのカードには上下の向きがあります。カード裏面のイラストをみて、赤い帽子と黄色い太鼓のどちらを上にして持つかが重要です。なぜ重要かというと、カードの方向で色のランク(強さ)が変動するからなのです。
4つある色のランクは、カードの方向次第で「赤>青>緑>黄」と「黄>緑>青>赤」の順に変動します。色のランクの強さはカードの上部の色の並び順で示されています。そして、数字は全色同じ組み合わせではなく、最大の数字がジグザグ(赤13、青15、緑15、黄13)になっています。
ネバーエンディングカードプレイ
ゲーム中、カードは数字が大きくまたは色のランクが強くなるように出していく必要があります。お分かりになったでしょうか。そうです、このカード構成により、カードは出し続けられるのです。例えば赤が強い場合、最強の赤13を出したとしても、青の15を出せるのです。青の15を出されても、赤の2が出せるのです。赤の2を出されても黄の3が出せるのです。こうして、果てしなくカードを出していける神がかったシステムを持つカードゲーム、それが『オーレ!』なのです。
ゴーアウト!
「ゴーアウト」というのは、最初に手札を出し切った人が勝つというメカニクスです。有名なところでは、「UNO」や「大貧民」が「ゴーアウト」系のカードゲームです。さて、『オーレ!』も同じメカニクスを持つのですが、1枚ずつ出していくだけでは差がつきません。どうやって他のプレイヤーに差をつけるのかというと、色のランクと数字の大きさの両方が優っているカードを出した場合は、連続でもう1枚出せます。そして、1手番で最大4枚までカードが出せるのです。
ただし、勢いがつきすぎると大変です。出さなくてはならないのに出せない場合は、中央にあるペナルティチップを受け取らなくてはなりません。また、自分の手番に出せるカードがない場合もチップを取る必要があります。
誰かが手札を出し切った際に(もしくは、全員がパスした際に)ラウンドは即終了します。その時、手札に残っているカードの数字とチップ(マイナス5点)の合計がマイナス点となります。
弱者救済の見事なシステム
次のラウンドを始める際、次のラウンドで帽子と太鼓のどちらを上にするのか、現在負けているプレイヤーに選択権があります。もちろん、カードを配ってから選択します。弱者救済のルールがあることがドイツゲームの特徴の一つだと思いますが、それを見事に内包したデザインです。
数ラウンドの勝負を経て、合計のマイナス点で勝者を決定します。
プレイ記
あきおさん、タナカマさん、あっきーさんと遊んだ時の記事がこちら(ジョーコデルモンド)に掲載されています。
総評
Silver
大好きなカードゲームです。終わりなくカードが出せる神がかったシステムに感動して、色々なところに持ち込んでいました。「5本のキュウリ」のように延々と遊んでいられます。これはきっと、天国に最も遠い国であるメキシコのおじさん達が、お金や命をかけて遊んでいるゲームです。
絶版が続いており、日本からも数回にわたって作者のウォルフガング・パニングに再販の打診がされていますが、長年その願いは叶っていません。しかし、近年同じように再販は絶望的と思われたタイトルの再販が行われていることから、ひょっとすると『オーレ!』も再販されるチャンスが来るかもしれません。
ゲーム全体としてみれば、お手軽なゴーアウト系のカードゲームです。箱も今は廃れたキャラメル箱ですし、プレ値で高額紙幣を出すのはおすすめしません(筆者はかなり昔に海外から安価で購入しました)。掘り出し物を探すか、再販を待つかがおすすめです。
購入先情報
絶版です。