真珠は深い海にある
メーカー | ABACUSSPIELE |
発売年 | 2019年 |
作者 | C Fiore, K Happel |
プレイ人数 | 2-6人用 |
対象年齢 | 6歳以上 |
ゲーム概要
多人数ジャイプルのようなセットコレクション
ABACUSSPIELEから発売されているカードゲーム『真珠の首飾り』です。日本では、GP社が日本語版を流通させています。プレイヤー達は海に潜り、真珠を集めてこれを売却していきますが、1種類の真珠を多く集めることで首飾りとして売却することのボーナスを得ることができます。2人用セットコレクションカードゲームの名作「ジャイプル」のルールを簡略化して多人数で遊べるようにしたようなカードゲームです。
真珠は7種類
真珠カードは鮮やかな色彩のカードが7種類計100枚です。描かれている数字は1枚あたりと得点で、枚数が少ないほどにその価値が高まるように設定されています。カードの上下には小さくカード総枚数が記載されているのが親切です。灰色のカードはワイルドカードです。カードを獲得する時は灰色として扱われますが、売却をする時には任意の色として一緒に売却できます。プレイ人数に応じてカードの種類を調節することもできます。
集めるか売るか、2択のみの手番
手番はシンプルで、真珠を集めるか、手札に集まった1種類真珠を売却するかの2択だけです。ゲームの面白みであるジレンマもこの2択に集約されており、非常にわかりやすいと思います。
この時、手札上限10枚を超えることはできません。同じ種類のカードをすべて取らなくてはならないので、上限を超えてしまう場合にはその種類の真珠カードはそもそも取れないということです。
売却する場合は1種類のカードのセットを手札から公開し、その後自分の前に裏向けて置きます。この時、早い者勝ちで4〜9枚までのセットを売却することができれば、早い者勝ちで首飾りボーナスのカードがもらえます。カードをなるべく多く集めたいところに手札上限と多人数プレイゆえの激しい競争が絡み、ゲームに緊張感をもたらします。
メモリーと場札の運のミックス
このゲームは初期手札6枚からスタートしますが、その後に手札に加わっていくカードと売却されるカードの情報はすべて一旦は公開される情報です(売却されたカードは裏向きに置かれる)。したがって、カードのカウンティングと記憶は勝敗に大きな影響を及ぼします。しかし、手札の上限と場札に登場する同じ種類の真珠カードの枚数によっては思惑がままならないこともあり、適度な運もその勝敗に介在します。大体どのくらいの枚数が登場したのかさえ覚えていれば楽しく遊べるので、あまりメモリーにこだわらずに遊ぶ方が良いでしょう。
ゲーム終了時にもひと工夫
山札がなくなるか、首飾りカードがなくなるかでゲームが終了します。終了時に自分の前に裏向けている真珠カードの合計と首飾りカードの合計が得点となるのですが、手札に残っている真珠カードの数字はマイナス点となります。ゲームが終了に近づいたら、手札を減らさなくてはなりません。
総評
Bronze
2択のみの手番で、ルールも面白さのポイントも非常にわかりやすいセットコレクションのゲームです。セットコレクションカードゲームの名作「ジャイプル」にそっくりのゲームですが、こちらのルールの方がシンプルなのでより初級者の方にもお勧めできるゲームだと思います。
このゲームの優秀なところは、手札上限を10枚に設定したところだと思います。これによって場札のカードの揺らぎが手番の選択肢を狭めることに貢献しており、シンプルなカードゲームに引き締まったプレイ感を提供しているように感じました。勝敗に強く影響する強いメモリー要素に対抗する運の要素にもなっています。
「ジャイプル」が2人専用であることに対して、本作は6人までプレイ可能です。2〜3人プレイでは真珠の種類を減らすことで冗長さのコントロールも可能です。逆に6人では(カードを増やすことはできないので)プレイ人数が多すぎます。個人的には、思惑がある程度は成就する3〜4人位が良いのではないかと思います。
難点は、カード枚数の多さです。多人数プレイとトレードオフなので仕方ないかもしれませんが、本作では計100枚の真珠カードを使用することがネックです(ジャイプルは約半分)。ゲームを遊ぶとセットコレクションされて同種のカードが集まります。次のゲームに際してこれを丁寧にシャッフルするのが少し面倒くさいと感じました。タイルやチップ(例えば「チーキーモンキー」)だと袋に戻すだけでシャッフルの必要がなくなるので良いと思いますが、コスト面の問題がありそうです。一方、カードのみで構成されていることで持ち運びには有利だと思いますので、旅行に持って行ったりする際には利点になる場合もありますね。
5歳児でも理解できるルールで楽しく遊べますが、カードを10枚扇型に持つことが難しいので、衝立などを用意して机に並べられるようにしてあげたほうが遊びやすいと思います。また、売却したカードを表向きに置くなどのヴァリアントを適用してあげるとより遊びやすくなるかもしれませんね。
日本ではあまりメジャーな作品にはなっていないのですが、シンプルに楽しめるセットコレクションのカードゲームとして良作だと思います。