ストウブ ピコココット
一昔前、SANYO(三洋電機)というメーカーがまだ生存していた頃、電気炊飯器と言えばSANYOであり、これ以外で炊いたお米とは天地の差があった。しかしSANYOはパナソニックに買収され、炊飯器部門も同社に吸収された。パナソニックはSANYOの『おどり炊き』ブランドを同社製品に取り入れ、1台10万円以上する高級機も発売した。
何者も時の流れには勝てず、我が家で大事に使っていた往年のSANYOの炊飯器も寿命を迎えたことから、仕方なく後継機と触れ込むパナソニック製の炊飯器を購入した。お米は毎日食べるものだからと10万円位支払った。
だが…
不味い、べちゃっとしていてツヤもなく一粒一粒のお米がまったく立っていない。水を減らしたり、浸水時間を調節したり、何をしても無駄だった。
一年位我慢したものの耐えきれず、この炊飯器を売り飛ばしてタイガー社の炊飯器を求めた。しかし、これも超イマイチ。そんな中、キャンプで飯盒炊飯をして米の美味しさを再認識し、本格的に美味しいお米を自宅で炊飯する方法を探すことにした。
お家で美味しいご飯と言えば、誰もが思い浮かべるのは土鍋炊飯である。しかし、我が家のキッチンはIH調理機のみ。この為だけにカセットコンロを設置するのも煩わしい。最早万事休すか、死ぬまで失敗したお粥のようなご飯を食べ続けるしかないのか…
そう思っていた矢先、妻の友人が高級な鍋を買い揃えたとマウントを取りに(=遊びに)来た。ストウブという鍋らしいが、これまでル・クルーゼのまがい物くらいに思っていた。まがい物ゆえに邪険に扱い、せいぜいキャンプでススまみれにして無水調理する位の用途しかなかろう…と。
しかし、少し調べてみるとどうやらその蓋の重さから美味しくご飯が炊けるらしい。しかも、ホーロー製だからIHでもイケるじゃないか!!
一気に興味が湧き、ストウブでの炊飯を調べまくってみるも、IHで炊飯する情報はあまりみつからなかった。果たしてIHでも美味しく炊けるのか…?サイズはどれを選べばいいのだ…?
ストウブ ピコ ココットという鍋には複数のサイズがあるようだが、大まかには:
が適している様だった。そこで、『うちにはこれから育ち盛りを迎える子供が2人も居るし、大は小を兼ねる』と考えて、24センチのストウブを購入した。
炊き方は、個々のIH調理器によって微妙に異なると思うが、我が家のパナソニック製のIHでは:
という手順で良さそうだった。
鍋が届いたら早速お米を炊いて食べるっ!
おいしーーーーっくない。。?
あれ?何でだろう、炊き方にムラがあって周りがべちゃべちゃしている。
今度はよ〜く観察しながら同じ手順で炊いて原因を探る。
強火で沸騰‥ 鍋の底から沸騰した泡がポコポコと出てくる。
おや?泡は中心部分からだけ出て来て、鍋肌に近い外周からは出て来ていない。
原因はコレだ!IHでは鍋の中心部分が主に温まるため、火力にムラができてしまっていたのだ。
試しにどのくらいの範囲から泡が出てくるのか計測したところ、どうやら直径20センチくらいが丁度いいらしい。そこで、早速20センチのストウブを買い直して再チャレンジしてみた。
おーーっ、同じ手順で炊いてみると24センチの鍋では中心部分からしか泡が出てこなかったけれど20センチの鍋では鍋底全体から泡が出てくる!
そして炊き上がったご飯はツヤツヤピカピカで、一粒一粒が立っているし甘味も強い!
とても電気炊飯器と同じ米とは思えない出来で満足。
H調理器でストウブ炊飯をする場合は、鍋底全体がキチンと温まるサイズの鍋を購入することが肝心なようだ。購入前に普通のフライパンなどで良いのでお湯を沸騰させ、どのくらいのサイズまでムラなく加熱できるのか、泡の出方の直径を計測してみると良いでしょう。
それにしても、IH調理器とストウブの組み合わせは電気炊飯器でも再現できるはずなのに味がダンチ。
電機メーカーさん、何か固定観念に囚われてやいませんか?
最後にストウブを購入する際に並行輸入品と正規輸入品があると思います。前者の方が安価ですが、シリアル番号が付属せず、永久保証(通常の使い方をしていて破損したら一生涯無償修理してもらえる)がつかないようです。この保証は塗装のハゲには適用できません。個人的な意見ですが、購入した際の点検をキチンとすれば、通常使用で破損することは稀なのではないかと思いますので、お財布に優しい並行輸入品がでも良いのかなと思います。期間限定色などは正規輸入品しかなかったりしますけど。因みに、シリアル番号は小さな冊子のようなものの裏表紙に刻印されています。並行輸入品には各国語の説明書冊子のみが、正規品には説明書冊子とシリアル番号の冊子が同梱されています。
お米は生涯最も多く食べる食材。
電気炊飯器に別れを告げ、美味しいお米を炊きましょう。
まぁ今回、最も得をしたのはストウブ ピコ ココットがいきなり2つ手に入った妻なのですが。