スルージエイジス

人類文明の発展と歴史を君に!

メーカーCzech Board Games
発売年2006年
作者Vlaada Chvátil
プレイ人数2-4人用
対象年齢12歳以上

ゲーム概要

超重量級の歴史を作るボードゲーム

CBG発の超重量級ゲーム『スルージエイジス』です。現在は、細部の調整を受けた新版が発売されています。筆者が所持している中でも最も重いゲームだと思います。チェコの天才デザイナーVlaada Chvátilの作品ですが、最近は「コードネーム」などの軽いゲームの方が有名ですね。

出典:ボードゲームギーク

ゲームでは、青銅時代から近代まで4つの時代を通して人類の発展を競い合います。共和制や君主制等の政治体制を基盤とし、各自の労働力と食料を上手に運営していき、ボード上に公開される様々な発展カードを獲得していくゲームです。

鉱山や畑などに加えて、ジャンヌダルクのような歴史的リーダーの雇用や、ピラミッドのようなWonderの建設を行って、自分の陣営を成長させていきます。

上の写真が、個人ボードと初期配置です。右下のカードが政治体制を表すカード(上に乗っている紅白の駒は内政アクション数と軍事アクション数を表す)。政治体制を変更すると、手番で使用可能なアクション数が増えたり割合が変わったりします。

大きなボードは労働力と食料・資源そして市民の満足度を表す個人ボード。黄色の駒が労働力であり、食料と資源を支払って各カードに配置されるとその施設が稼働していることを表す。青の駒は畑に配置されれば食料、鉱山に配置されれば資源となる。畑や鉱山に配置された黄色駒の分だけ毎回青の駒が生まれるわけです。ただし、両方とも数に上限があり、個人ボードからカードに配置されるほどに厳しい制約が課せられます。青の駒が減ると横領が横行し、黄色駒が減ると食費がかさみ、市民の満足度に応じて暴動が起る、といった具合です。

例えば、哲学の研究所を設立するには、食料を支払って労働力を確保し、カードに書かれている資源(3つ)を支払って労働者駒(黄色駒)を配置します。すると、発明力が1ポイント上昇することになります。ちなみに、青の駒(資源)が置かれている部分のマイナス表示は横領されてしまう資源の数を示しています。駒が減れば減る程横領が酷くなっていくのですね。

こちらがメインボード。外周は勝利点となる文化ポイント。真ん中の青いマスは発明ポイント、赤いマスは軍事力、黄色いマスは文化力、一番下の青いマスは発明力を表します。毎手番、文化力の分だけ文化ポイント(=勝利点)が加算され、発明力の分だけ発明ポイントが加算されます。発明ポイントは技術カードの公開に使用する重要なポイントです。

技術カードは、ボードの上部に並べられ、ボードに書かれた○印分内政アクションを消費して落札します。人気の無いカードは次第にコストが下がっていくのですが、強いカードを沢山のアクションを使用して落札すべきか、非常に悩ましいポイントです。

また、右下にある「A」と書かれた山札は銀色のものが技術カード、黒いものが軍事イベントカードです。軍事イベントカードを引くには、軍事アクションを使用します。これには、戦争や紛争、植民地等のイベントが書かれています。その他、軍の再編成や徴兵等にも軍事アクションを使用します。

このように、内政アクションを使用して技術カードを獲得し、発明ポイントを使用して新技術の導入を行い、労働者を派遣して食料と資源を産出し、軍事力や文化力、発明力を高めて他に勝る文明を築いていくロマン溢れるゲームです。あまり細かく説明をしても理解は難しいと思われますので、リプレイに時間を割きたいと思います。

ゲームには、初級、中級、上級と3つのルールが用意されており、近代まで続くのは上級のみです。戦争も上級ルールでのみ発生します。上級ルールでは総プレイ時間10時間を越えると言われている、もはや伝説のゲームですね。

プレイ記

ほーまるさん、Mギさん、海賊船さんと4人プレイ。上級ルールをプレイするつもりで開始したが、時間の関係で中級ゲームとなった。

ゲームスタート。手番はほーまる>COQ(白)>Mギ>海賊船の順番。最初の時代は「A:古代」から始まる。

いきなり、「空中庭園」「アレクサンドリア図書館」等のWonderとシーザー等の英雄が顔を出している。しかも、Wonderはコストが1政策ポイントと断然安い。開始当初は軍事力プレイをしようと思っていたが、表向けられたカードを見るとほとんど軍事力的なものが無い模様。

どうしようかな、と思っていると、先手のほーまるさんが図書館とホメロスを獲得。Wonderの建設には数アクションかかり、資源もかなり要する。また、建設中に他のWonderカードを獲得することはできない。その分、出来上がった時の効力は強力なものが多い。リーダーは各時代ごとに1人ずつだけ雇用でき、新たなリーダーを雇用すると前のリーダーは居なくなってしまう。リーダーも文明の方向を決定付けるほどに強力な能力を持っている。

ちなみに、図書館の能力は手札上限を増やす事。ホメロスは軍事力を増強すると資源が貰え、文化力(ポイントでなく力なところが強い!)も増える。ムム、ほーまるさん軍事プレイか?

で、COQの手番。どうせ文明を作るなら何かに特化したい!と思い、選んだのはハンムラビ(リーダー)。
この人は軍事アクションを1減らす代わりに内政アクションが1増える。当初の軍事プレイにあっという間に見切りをつけて、多彩内政アクションプレイを目指す。こういうゲームってグルグルとアクションが回ると気持ちいい。

カードの中には、アクションカードと呼ばれ、1度しか効果のないカードがある。建設コストが安くなったり、食料が貰えたりするカードなわけだが、それらを獲得するのにも、使用するのにも内政アクションが必要。ハンムラビ法典の力でこのカード達を乱用しようってわけだ。ハンムラビの獲得に2政策ポイントを消費し、残りのポイントは適当にアクションカードを獲得して終了。

次の手番。ハンムラビ先生を公開し、平和主義をアピール。そして、COQもついに最初のワンダーを手にする。
ピラミッドの能力は、内政アクションをプラス1。同時にWonder建築関係のアクションカードを獲得して、一気に建築を進める。着々と内政アクション国家に育つCOQ文明。

他の文明が内政アクション4ポイントなのに対し、この時点でCOQ文明だけが6ポイント。手番が1.5倍行えるわけだ。

右下の政治体制カードにのった白い駒がCOQ文明の内政アクションの潤沢さを表している。このまま資源の産出を増やして一気に差を広げれば噂に聞く仏恥義理(ブッチギリ)って奴じゃないの?

…と、ここでほーまる文明に不穏な動き。海賊船文明と同盟を結んだ模様。同盟カードには同盟を結んだ文明の色を表すキューブを置き、その同盟関係を示す。この同盟は、食料で資源を、資源を食料で代替しても良いというもの。序盤の資源不足を補う上でとても有利な条約だ。戦闘国家的な二人が同盟を結んだ事で軍事を疎かにしていることが不安となり、軍事力の増強の必要性を感じる。

だが、COQ文明は軍事アクションを極力削りとってしまっているため、軍備拡張には時間がかかる。ここは資源拡張を優先し、少ない軍事力で効率的な陣形を組んで守るしか無い。間に合うか?

資源の採掘施設を4つに増強。これで毎手番資源が4つ生まれるウハウハ状態。

そして、陣形カード「中世式軍編成」を公開することに成功する。現時点でCOQ文明の軍隊は歩兵の1軍事力のみ。通常であれば、騎馬隊を設立して雇用しても騎馬隊の2軍事力と足して3軍事力となる。しかし、この陣形カードがあれば歩兵と騎馬隊の組み合わせ1つにつき2軍事力のボーナスが貰える。少しの資源で5軍事力という序盤としては十分な力を得る事ができるわけだ。

しかし、間に合わなかった。平和主義のCOQ文明に野蛮な海賊船文明が襲いかかる。血の色をしたボード上で着々と兵力を蓄えていた海賊船さんが紛争を起こして迫って来た。

紛争では、攻撃側が派遣する兵力を決め、次に防御側が防御する兵力を決める。この時、防御側は兵力を破棄することによりさらなる防御力の向上を望むことができる。…が、虫も殺せないCOQ文明では兵力を破棄したところで焼け石に水。一瞬で蒸発する我が防御部隊。

蓄えていた資源を海賊船文明に根こそぎ奪われる。しかも、奪った資源で大学を設立するという鬼畜っぷり。資源を根こそぎ奪われて、貧しくなったCOQ文明から、無邪気に大学ではしゃぐ学生が見える。(敵意と言うのはこうして芽生えて成長していくのだ)

というのはウソで、「説明書にはゲームが終わったら感想を楽しみましょう。そして、紛争や暗殺をしてしまった相手に、●●を暗殺しちゃってごめんね等と言いましょう」と書いてある。

COQ文明、ここで失速。施設を破壊されなかっただけましだが、資源の枯渇で進行が大分予定を外れる。

それでも遅れ馳せながら騎馬隊を設立して防御を固める。狙い通り、資源は潤沢。目下の問題は、文化点(=勝利点)を生み出す文化力がまったく無いこと。文化力を生み出すには、竪琴みたいなマークの建物をアクティブにする必要がある。

そのお陰で、白の文化点は他の文明からどんどん遅れていっている。ただ、この時点ではまだ2つの時代が残されているので、発明力を高めれば最後に逆転可能と考えていた。

というわけで、発明力を伸ばすべく「錬金術研究所」を設立する。各施設は3段まで発展するが、発展の上限は政治体制カードの家のマークで決められている。3段まで発展させるには古い政治体制から脱却しなくては。

この時、既に「君主制」の政治体制カードを持ってはいたのだが、コスト的な問題で体制を変えられない。政治体制の変更には平和的と革命が存在する。平和的に体制を変更するには、大量の発明点が必要。反対に、革命で変更するには発明点の消費は少なくて済むが、政治アクションを全て使用するという手番を飛ばされるに等しいコストを支払わなくてはならない。う〜ん、悩む。

この時点での他の文明の様子。Mギさんは空中庭園や万里の長城等のWonderの建設が完了しており、施設の発展は未だ途上なものの、市民の満足度だけはダントツ。ほーまるさんの文明はホメロス効果で軍事力と文化力をうまく融合させている。こちらも、序盤から資源の採掘に力を入れていたので発展が早い。要注意。海賊船さんの根こそぎカビキラー文明は、歩兵を強化している印象。実は斜向いで遠くてあまり見えなかった。

と、ここで素敵なイベント「暗黒時代」発生。イベントには植民地の発見やら、豊作やら色々あるが、マイナス的なものも含まれている。イベントを仕込むのはプレイヤー自身。自分の仕込んだイベントが数ターン後に発動するわけだ。従って、負のイベントを仕込んだ場合には自分だけがそのイベントに備えることができる。

で、暗黒時代は兵力の最も少ない文明の人口(黄色駒)が減ってしまう。兵力の増強を行っていたCOQ文明は僅差でこの影響を逃れ、Mギさんが犠牲となる。どうやらこのイベントを仕込んだのはほーまる文明、確かにあそこはホメロス効果で兵力が潤沢。みんな独自の発展を進めている。

文化点では益々引き離されて行く。しかし、隣にそびえる「Ⅱ」と「Ⅲ」の時代のカードが見えるだろうか。まだまだゲームは序盤、と自分に言い聞かせる。

というわけで、引き続き発明力を極める。錬金術に労働力を割いて、地球一の科学力を目指す。そして、「Ⅰ」の時代が終わりを告げ、「Ⅱ」の時代が始まる。実は2世代以上過ぎたリーダーや建築中のWonderは時代遅れとして排除されてしまう。ここで、ハンムラビ先生とはお別れ。新たなリーダーを捜さなければ。

…とここで重大なお知らせ。この時点でプレイ時間はインストも含め6時間近くなっていた。このままフルゲームを続けると日付が変わる恐れがあるということで急遽「Ⅱ」時代までの中級ゲームとすることに。すると、「Ⅲ」時代に賭けていた発明戦略では到底勝利は望めない。

失意の中迎えた次の手番。ニュートン博士のカードが。ニュートンは発明力を増強すると共に、新技術の公開にアクションを消費しなくてよくなるという強力カード。ゲームに勝利することは難しくなったものの、そうなれば出来るだけ上を目指すのみ。発明力を極限まで増強し、発明力プレイの限界を後世に示すことを目的とする。

依然、文明力はゼロのままなものの、発明力では他国を圧倒。それに伴い、発明点もダントツ。どんな新技術でもモノに出来る科学者集団。

うなる程ある発明点を消費して、ついに政治体制を君主制へ変更。アクションポイントの総数が増え、ニュートンと相まって手番でアクションが豊富に行えて楽しい。

Mギ
Mギ

COQさんそれって、手番がブン回って楽し過ぎて勝利点ゼロって典型的な駄目パターンですよ(笑)

ぐうの音もでない。…が、でも実はそれだけじゃない。

少しずつ兵力を増強し、反撃の機会を伺っていたのだ。手札に「暗殺」が潜んでいたから。周りの様子をぐるりと見回す。現在の兵力で暗殺することが可能なのは、海賊船文明。

すると、必然的に暗殺するのはカビキラー文明の指導者ということになる。しかも、あのリーダー(クック船長)は前の手番で公開したばかり。クック船長は植民地政策を進める能力を持っている。そうはさせるか。

暗殺実行!そして成功。ぽっかりと穴があく海賊船文明。秘密裏に準備した作戦が形となるのは本当に気持ちいい。このゲームの醍醐味の一つかも。

なんとか、3位の海賊船さんを引きずり降ろして順位をあげたい。でも後で言わなきゃ「クック船長を暗殺しちゃってごめんね」って。

ほどなくして、Mギさんが遂に指導者を招聘する。ミケランジェロの能力は文化点を爆発的に稼ぐというもの。既に先行くMギさんのさらなる加点に場がざわめく。

対するCOQは2つ目のWonder「大陸横断鉄道」を建設。もれなく軍事力が5上昇するという強者。そして…

手札には「略奪」の軍事カード。現在、トップを走るほーまるさんの軍事力が手薄になっている。早速、頂きます。

その影響もあってか、Mギさんがほーまるさんについに追いつく。COQは…ダントツのビリ。だけど、内政力はピカ1、残りカードに逆転の目があるカードがあればすかさず手に入れるだけの力はある。

そんな中、ボーナスカードが公開される。本来ならば時代「Ⅲ」で出てくるイベントの一つであるが、中級ゲームではこのイベントカードの中から4枚を抜き出してゲーム終了時のボーナスとする。技術と人口、植民地、発明点に応じたポイントが配分される。発明点のポイントは結構高いので、ビリは免れられるかも?

同時に、この地球に最大のターニングポイントが訪れていた。海賊船文明が新たな指導者としてバッハを招聘し、オペラ座を建築していたのだ。写真左上に新たな指導者を招聘した海賊船文明がチラリと見える。このコンボは強力で、爆発的に文化点を叩きだす海賊船さん。いつのまにか、トップの二人に近づいていく。

COQも歩兵を近代的にアップグレードし、植民地を増やして他国への侵攻の機会を伺うがなかなか良いカードが来ない。そうこうしているうちに、COQ以外の文明は文化点のデッドヒートを繰り広げている。

そして、時代「Ⅱ」のカードが枯渇してゲーム終了。最後に、ボーナス点を加算する。

加算後も順位は変わらず。COQも大分追い上げたが、ビリ。残念。抜群の内政力は活かせず。科学者の面目を保つぐらいしか出来ませんでした。指導者が暗殺されようと、数少ない逆転のチャンスをものにした海賊船さんの勝利。流石でした。

プレイ時間はなんとインスト込みで9時間。

総評

Gold

めちゃくちゃ面白いです。カードとトークンで文明の発展を見事に表現し、長いプレイ時間でもダレル事無く最後までエキサイティングな展開。地質学的な要素(地図ボード)を排除したことが良い方向に働いています。絶えず、盤面に目を凝らして未来の文明の姿を描いていなくてはならない。そして、自分だけが知っている作戦が成功したときの喜びはもはや快感。あまりの内容の濃さに、長時間もあっという間です。

おすすめ人数は3人です。4人とほぼ変わらない濃密なゲームが楽しめる上に総プレイ時間が少なくなります。また、このゲームは2人でも楽しめるので、主に2人で遊ぶ方にもおすすめです。

手番での得点や生産の処理は結構複雑なので、コンピュータでやれよという突っ込みも聞こえてきそうなのですが、これをアナログでやるから面白いのではないでしょうか。異常な程に時間がかかるので、万人にオススメするわけにはいかないでしょうが、是非一度触ってみて欲しい傑作ゲームの一つです。

欠点としては、カードの表記に曖昧な部分があり(新版では改善されているかもしれません)、効果について話し合う時に少し時間を浪費することでしょうか。事前にカードの効果を明確にしたり、複数回のゲームをこなすことによって、もう少しスピーディにゲームを進めることができそうです。

ちなみに、今回の紹介で使用したゲームは2006年版なのですが、筆者が所有している2009年版では幾つか改良が加えられているようです。特に時代「Ⅲ」のリーダーなどはシャレが効いていて面白いです(有名デザイナーがモチーフになっています)。そして、現在は大きな修正が加えられた新版が日本語化されてニューゲームズオーダー社から発売されていますね。今から手に入れるならこちらがおすすめです。

中々プレイする機会も無いゲームだと思うので、本記事のリプレイで少しでもこのゲームの雰囲気が伝われば幸いです。

購入先情報

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