ブラフは上手い相手にしか通用しない
メーカー | Ravensburger |
発売年 | 1987年 |
作者 | Richard Borg |
プレイ人数 | 2-6人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
南米の伝統ダイスゲーム
1993年度ドイツゲーム大賞受賞作『ブラフ』です。本作は元々、南米の伝統ゲームであり「ブラフ」をはじめ「ライアーズダイス」等さまざまな名前で呼ばれています。作者は「メモワール’44」のRichard Borgとなっています。名前の通り、このゲームはダイスを使用したブラフゲームです。プレイヤーは、自分の振ったダイスの目だけを見て全体の出目を予想していきます。
箱を開けると、6人分のダイスカップとダイスが5つずつ、ゲームボードが1枚とビットマーク用の赤いダイスが1つ入っています。ダイスカップはプラスティック製ですが、小さすぎず中々良く出来ています。
自分の出目だけ見て心理戦を戦うゲーム
ラウンドの開始時、全員で自分のダイスを同時に振ります。そして、自分のダイスだけを見たらビッドスタート。スタートプレイヤーから、全体のダイスの出目を予想していきます。予想は、ゲームボード上のマスに書かれた数字に赤いダイスを置くことにより行います。例えば、5のマスに「1の目」を置いたら、全体に「1の目」のダイスが5個以上あると予想したことになります。
このゲームに使用するダイスは特殊で、6の目の代わりに★が書かれています。★はジョーカー。1〜5の目は★のおかげで出易さが倍です。★の出易さは純粋に1/6なので★の個数を予想する場合には専用のマスが用意されています。予想をしたら、手番は次のプレイヤーへ。
次のビッドをする場合は、予想する出目を増やすか、ビッドマーカーを置くマスを進めるかしないとなりません。そのうち、予想が膨れ上がり絶対にありえない予想へ辿り着くというわけです。
自分の隣はギャンブラーか
異議を唱える場合は、全員のダイスをオープンします。異議に失敗した場合、予想と実際のダイスの個数の差分のダイスを異議を唱えたプレイヤーが失います。異議に成功した場合、予想と実際のダイスの個数の差分のダイスを直前にビッドしたプレイヤーが失います。席順も重要です。また、ダイスの個数がビッドピッタリだった場合、ビッドしたプレイヤー以外のプレイヤー全員がダイスを1つずつ失います。
異議が唱えられたら、ラウンドは最初からスタートします。こうして、ダイスを減らしていき、最後までダイスを持っていたプレイヤーが勝利します。負け抜けです。
尚、最低1つのダイスを固定して公開してビッドした後に、自分のダイスを振り直すことができるという上級ルールも存在します。
プレイ記
カジ、JJ、ヒロシ、修道士と5人プレイ。上級ルール有りでスタート。
早速第1投。全員でダイスを振って、自分の分だけを見る。正解のビットをした後に、異議を唱えられることが勝ちに繋がるので、サイコロの目は偏っているほうが望ましい。全部★とか。
最初のビットは修道士から。
じゃあ、★が7個あります
5人プレイだと、ダイスの数は30個。★の確率は単純に1/6なので、純粋に確率だけだと5個ということになるが・・
じゃあ、ダウトします
いきなりの展開である。全員のダイスをオープンにしてみる。すると、★の数はわずか4個、カジダウト成功。これで修道士は7ー4で3個のダイスを失う。自分のダイスの数が無くなると予想もし辛いし、見破られる確率も高くなる。ダイスを失うことは、負けに近づくだけでなく、プレイに制約がつくのだ。そのため、序盤はチャレンジをせずに自分の手番を静かに終えることを目指す地味な展開となった。
そんな中、手番の度にダウトを繰り返すカジ。初手のダウト成功は偶然の先頭打者ホームラン。これを理解できていなかった男が当然、早々に脱落する。
ここまでで、ダイスが無傷なのはCOQとJJだけ。★3個と中々の出目がでたところで勝負を仕掛ける。全体のサイコロの数は14個。
★が5個はあるよね
それはないでしょう!ダウト!
実際には、14個中5個を見て★が3つはあることを確認しているCOQ。つまり、残り9個中★が2個あればいいわけで、これは十分あり得る。あわよくばピッタリを指定してJJにもダメージを与えたいところだ。
しかし、残念ながら★は6つあり、ヒロシにダイス1個分のダメージを与えるに留まる。ヒロシは残り1個、修道士は残り2個となり、もはや虫の息。ダイス5個を残すJJとCOQとは勝負にならず、小者たちは脱落していく。ここから、JJとCOQの一騎打ち。
しかし、次々にサイコロを減らされてあっという間に敗北。上級ルールに頼るヒマもなかった。
勝者:JJ
プレイ時間30分
序盤に脱落したカジがヒマそうで少しかわいそうだった。
総評
Bronze
展開次第で爆発的に盛り上がる可能性を秘めたゲームなのはわかるのですが、いまだに一度もその境地に辿り着けていません。基本的には、運によって形成された場をブラフで仕切るゲームです。自分のダイスの目は見えているわけですが、他のダイスは見えません。如何に「自分のダイスの目は自分のビッドを肯定する目」という印象を相手に植え付けるか。の心理戦を楽しむゲームです。
ダイスゲームの面白さは、ダイスの出目に一喜一憂し、周りの景色がぼやけるような熱狂と、自分の目をほくそ笑むタイプがありますが、このゲームは後者。筆者の好みは前者です。
また、このゲームでは敗者はどんどんダイスを失っていき、窮地に追い込まれます。全体のダイスの数も公開情報なこのゲームでは場を支配するのは単純に確率です。従って、ダイスの数が少ないというのは致命的、ゲームが進む程(全体のダイスの数が少なくなる程)ダイスの数が少ないプレイヤーの逆転は難しくなります。ダイスの数が減ってしまったプレイヤーがモチベーションを維持するのは困難でしょう。ダイスの出目次第で這い上がるチャンスがあるほうが筆者の好みのシステムです。
さらに、ダイスを全て失うとゲームから脱落してしまうというシステムも古いです。やはり、皆が最後まで楽しくゲームに参加できるほうが良いと思います。特に子供には辛いのではないでしょうか。心理戦の部分は面白いので、ゲームに慣れた大人同士で真剣に勝負を楽しむような場合に向いているゲームだと思います。バーのカウンターとか。