多人数アブストラクトのほのぼのリメイク作
メーカー | Blue Orange |
発売年 | 2010年 |
作者 | Francesco Rotta |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 7歳以上 |
ゲーム概要
毎手番訪れる岐路の選択、あの時こっちのウェイトを上げておけば
2010年に欧州Blue Orange社から出版された「Splits(分割)」というゲームがありました。積み重ねたディスクを手番ごとに分割しながら動かし、陣取りを競うという多人数アブストラクトゲームです。このゲームの作者は不明でしたが、これを仁義なき羊達の戦いにほのぼのリメイクしたのが本作『バトルシープ』です。
最初に、バトルの舞台となる草原を作ります。各自が4枚のヘックスボードを順番に1つずつ置いていき、全部置き終わるまで続けます。こうして草原が出来上がったら、今度は自分のスタート地点を決めます。スタート地点には自分のディスク16枚を重ねて置きます。これでゲームの準備は完了。
手番がきたら、自分のディスクの塔のうち1つを分割し、その一方を6方向のうちの1方向に向けて動かします。ボードの端か、他のディスクに当たるまでずーっと。つまり、手番ごとに占有するヘックスが増えて行くことになります。この時の分割の割合は任意で、両方の側に最低1枚のディスクがあればどのようにでも分割することができます。終盤、必ず「あの時こちらの枚数(ウェイト)を上げていれば・・」と後悔します。
各自のディスクに書かれた羊のイラストは16枚すべてユニークです。触り心地も良く、ナイスなコンポーネント。
おい!それは俺の牧草だぜ!
分割したディスクの移動方法は多人数アブストラクトの傑作の1つである「おい!それは俺の魚だぜ!」に似ています。何かに当たるまで移動して行くというところは特に。(2022年追記:この記事執筆当時に冗談で言っていたら、本当に『それは俺の牧場だぜ!』という名前で日本語版が出たようです)
両方の側に最低1つのディスクがあるように分割するということは、移動する元のヘックスには必ず最低1枚のディスクが残るという事で、このヘックスはゲーム終了まで自分の陣地となるわけです。こうして誰も動けなくなるまで手番を行っていき、最終的に最も多く繋がっている自分のディスクの数が多いプレイヤーが勝利します。
この「最も多く繋がっている」がポイントです。単純に多くの陣地を持っているプレイヤーではないので、なるべく陣地を一塊にできるような動かし方が必要です。コツは、不可侵の陣地を自分のディスクで囲ってしまうことですね。
プレイ記
ジョーコデルモンドにあきおさんとタナカマさんらと遊んだ時の臨場感あふれるレビューが掲載されています。
総評
Bronze
ルールは単純過ぎて書く事が殆どないです。リメイク元もゲーム性はなんら変わらないと思いますが(プレイ人数を除けば)、軽くテーマをのせて明るい雰囲気にしたことと、ポップでかわいい羊イラスト付きの触り心地の良いディスクを用意したことでキッズや初心者の方向けに大分敷居を下げたグッドリメイクです。
でもこれ本当は結構奥が深いゲームなのです。大量のディスクを敵の懐に送り込んだ後の思惑とか、ゲーマー同士がガチで対戦すれば、心の出し入れみたいな濃厚な感じでも楽しめます。ゲーム自体は内容を理解すれば20分程度で終わるので、ライトなフィラー(スキマを埋めるゲーム)としての役目も果たしますね。
注意点は、2〜4人用となっていますが偶数のほうが良さそうな感じがしたところです。奇数(3人)だと2人がチクチクやってる間に漁父の利になっちゃいます。