カール大帝

カール大帝なくしてコロビーニなし

メーカーVenice Connection
発売年2000年
作者Leo Colovini
プレイ人数2-4人用
対象年齢12歳以上

ゲーム概要

終盤に向けてアブストラクト色が強まるコロビーニの代表作

Leo Coloviniといえば、ドイツゲームデザイナーのレジェンドの一人です。しかし、その作品はボードゲームギークで6点台を連発しているものが殆どです。確かに、同氏は切れ味の鋭いルールのゲームをデザインする反面、大味というか、全体がエレガントにまとまっていないゲームも多く発表しています。しかし、本作『カール大帝』は切れ味が終盤に向けて研ぎ澄まされていくゲームでもっと話題になっていても良かったような気がします。しかし、本作でもボードゲームギークの評点は6点台ですので、もはや同氏のゲームは同サイトで評価されることは難しい部類なのでしょう。筆者はColovini作品の中で本作が一番好きです

ゲームの目的は「後継者候補の一人となって、帝国の領土に城を建てること」です。フランク王国の貴族達をコントロールしながら領土に自分のを建てることを目指すゲームです。

超余談:カール大帝って誰?

出典: Wikipedia

本作のタイトルとなっている『カール大帝』は昔の偉大な王様の名前で、フランク王国の国王かつ初代ローマ皇帝です。ヨーロッパ拡大の功績で知られていますが、フランス・ドイツの始祖的英雄とも伝えられています。世界史を知らないとあまりピンとこないかもしれませんが、トランプのハートのキングのモデルになっている王様と聞くとその偉大さというか、有名さの一端を知ることができるのではないかと思います。ちなみにその他のスートのモデルはダビデ王、シーザー・カエサル、アレキサンダー大王と錚々たる王様達です。

領土に騎士を派遣して争うエリアマジョリティ

ゲームでは、円形に並べられた領土に騎士を派遣して、その多数決マジョリティで自分の城を建てる権利を得ていきます。毎手番移動するカール大帝の駒がある領土での各プレイヤーの陣営を支持する騎士駒の数を比べ、多数決で優っているプレイヤーのを1つ建設します。

騎士駒の派遣

派遣する騎士の駒は、手元にある7つの駒から3つ選択します。これを領土のいずれかに置くか、騎士の色ごとの支持を決定するストックに置くかを選択します。騎士の支持は一定ではなく、絶えずストックに置かれている駒の数によってどちらの陣営を支持するのかが決定されます。すでに領土に派遣されている騎士も支持が変更されると相手に寝返ります。領土に派遣する前に、自分の陣営への支持を盤石にしておかないと、相手陣営を支持する騎士を領土に派遣することになりかねないというわけです。

ストックに騎士を派遣して相手の数に勝れば支持を示す円柱がもらえる

手元にある7つの駒は、手番終了時にダイスで補充します。このゲームで運の要素はこの部分のみです。毎手番、相手の7つの駒は見えているので、ほぼアブストラクト的な思考で支持のマジョリティと領土のマジョリティを考慮しながら騎士駒をストックもしくは領土へ派遣していきます。

王冠は何色でも可

超重要な手番順の競り

手番の順番は1〜5の数字の書かれたチップを使った競りで決定します。この競りは同時出しではなく、前手番が先行であったプレイヤーからチップを出さなくてはなりません。数字の小さいチップを出したプレイヤーが先に手番を実行します。

同じ数字は出せない

このチップの数字にはもう一つ意味があります。それが手番順の競りが”超”重要たる所以です。それは、カール大帝の移動です。カール大帝駒は、1〜チップの数字分移動します。そして、城の建設の判定は、カール大帝駒が移動を終了した領土で行われます。したがって、手番順の競りではカール大帝の移動先にも気を配らなければなりません。チップを後出しできることを考えると、手番は遅い方が有利かもしれません。

これらの手番の手順を表にすると以下のようになります:

手番の手順

① チップ提出による手番順の決定
② 騎士の派遣:ストックもしくは任意の領土のどちらかに3つ
③ カール大帝の移動:1マス以上、最大でチップの数字マスまで
④ マジョリティ判定:過半数以上の支持を保有するプレイヤーの城建設
⑤ 手元の騎士補充:ダイスを3つ振って騎士駒補充

合体する領土!

このゲームの最も重要で特徴的なルールです。隣接する2つの領土に同じプレイヤーがを建設したら、その領土は合体してエリアとなります。エリアはどんどん大きくなっていきます。

は、マジョリティを判定する際に、自分を支持する騎士駒と同じような扱いを受けることができるので、2つ以上のが建設されているエリアでの支配は盤石になりがちですが、一端奪われると取り返すのは大変です。

領土が3つのエリアになってもゲーム終了

こうして、先に10個の城をすべて建てきったプレイヤーが勝利します(もしくは、領土が結合して3つのエリアとなった時点での建設済城数で勝者を決定します)。

3人戦・4人戦

アブストラクト色が強いので、2人で遊ぶのが面白いと思いますが、3〜4人でも遊べます。4人はチーム戦です。3人の場合は10個ではなく8個のを建てきれば勝利です。

3人プレイでは3色

プレイ記

円形に並べた領土を時計回りに動くカール大帝駒を動かして、手持ちの5色の騎士を領土に派遣して占領していく。騎士の所属が展開次第で陣営感を行き来するのが面白い。隣接する領土を占領するとそれらが結合され、集まったお城の駒が大きな戦力となるところがポイントである。ある程度手也で立ち上がる前半から、詰め将棋のようになる後半までの緊張感のグラジエントが気持ち良い。上手に領土を結合していけば勝ち筋はある。

2人戦

1戦目、2戦目ともに終盤に向かってジリジリとにじり寄るような展開。2つある終了条件のうち、どちらも「領土が結合して3つになる」という条件を満たして決着。胃に重い類のゲームなので負けると凹む。

最終結果

1戦目 COQ:8 Tさん:7 (3領土条件)

2戦目 COQ:8 Tさん:7 (3領土条件)

総評

Silver

プレイ記にも記載した通り、序盤の手なり感から後半一気に詰め将棋のような展開へと発展するヒリヒリするようプレイ感が楽しい良作です。時間はそれほどかかりませんが、胃にズッシリと来るようなゲームです。

Coloviniのゲームの特徴として、個々のルールの切れ味は鋭いものの、どこか大味ということがよくあるのですが、本作の場合はさまざまな特徴的ルールがうまくハマったという印象です。

アクションを実行する最中は完全情報公開アブストラクトですので、結局はダイス運による騎士駒の補充にかかっているというゲームでもあるわけですが、それでも終盤の詰め将棋感は緊張感があって面白いと思います。適度な運の要素というレベルです。

テンデイズゲームズからリメイク作が発売されるという情報があります。楽しみに待ちましょう。

購入先情報

タイトルとURLをコピーしました